模様替え
ここ数年、何も変えなかった。充分だと満足していたから。
ある日、視線をむけたとき、急に変えたくなった。持ち上げたり、ずらしたり、黙々と集中した。変えないままにしておくのは、何かもったいない気もした。生きてるうちに創意工夫、試行錯誤が出来るのは、長生きした場合でも限られた時間の中だけ、と気付いたからでもある。
向きを変えたり、新しくスペースを作り少しばかりの装飾をして、季節を味わい堪能する。
入れ物や置場所、年数がそれなりになるものは、あとどれくらい使えるか、それともこの際、リサイクルに出すか。良い機会に改めて、今のものをゆっくり点検した。
自分の背より高い収納家具。ここから先、背伸びしても取るのに困るかもしれない。時が経てば、変わりゆくことが、いろいろと起こるものだ。見上げながら思っていた。
余裕があればある程、まだ大丈夫、とついついそこで解決しながらになる。全てのバランスを考えれば、その一点で何もかも済ませるのは、そこに重圧が、とんでもないくらいに集中する。先を見据えれば、危険なことである。
空いた場所を掃除した。意外と埃が取れたり、汚れが付いた。当時は置くことで掃除しやすく、ある程度そのままの美しさを保てるだろうと思っていた。怠けていたわけでもなく、年末の大掃除も毎年続けていたが、これからは間を短く、こまめにしてみようとも考えた。
板が少し歪んでいる、木製の棚。今度再利用で旅立つ。どこかで何かの役に立つだろう。外を向いたスチール製のラックは壁面につけた。押し入れ。今までになかった場所ができた、記念日になった。