虐げたメイドの末路
善人でも悪人でもない人間の話です。
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あら どうも奥様 そして その一味の方々
…痛ったあ… どうもすみません つい
ああ 2発目はやめて下さい 誰だって 蹴られれば 痛いのですよ
それで 一体全体 辞めたメイド如きに 何の御用で?
…ええ そうですよ 私は あの家の 正当な跡取りである 兄妹を 虐げました
…だって 邪魔だったのでしょう? 旦那様を洗脳し終えて 隙をついて 2人を殺す計画を 進めておられた
だから貴女方は 身分の低い者たちを 使用人として 破格の給金で 雇い入れた
屋敷の全てに 見て見ぬふりを させる為に
実際 お金さえ貰えれば 見て見ぬふりをする 民度の低い者たちばかり 引き入れられて おりました
私も その 1人
でも そんな境遇ならば 少しくらい ストレス解消に 付き合って貰っても 宜しいでしょう?
そう 考えたんです
…ええと 私が した事ですか?
そうですね まずは 屋敷の掃除を 手伝わせました
…いえいえ サボってなどおりません
2人とも 掃除のやり方を知らず 仕方なく 指示を出し やり方を教えました
…ええ その時に 叱りつける事は まあまあ スッキリしましたよ
それと 洗濯も させました
毎日 大量の 洗濯物を 押しつけて
シミ一つでも 残っていれば 怒鳴りつけ
ええ ええ なかなか スカッとしました
…ええ? 食べ物を こっそり 与えて いただろうって?
ええ だって 普通の食事だけだと 全く 動かないんです
それに 食べ物と言っても 残り物で 適当に作ったものですよ
本人達に 手伝いも させましたしね
…ああ 分かって頂けました?
ええ そうでしょう? しっかり 虐げて いたでしょう?
…え? こんな事を した理由ですか?
…いえいえ 何か 誤解をなさっています
私は 元々は 2人まで 連れて行く予定は なかったのです
まあ 流石にですよ? 奥様の御命令とはいえ 明らかな お家乗っ取りを 見て見ぬ振りして そのまま暮らすのは 危ないか と 思ったのです
ええ 私 他の使用人どもよりは 頭が まわるのです
だから 給金を貯めて 逃げる準備を していたのです
ええ 勿論 自分だけ
夜な夜な 背負い鞄に お金や 着替えや 携帯食など 詰めて
どうして ああいう荷造りって わくわくするのでしょうね?
ええ 家族にも お金を渡して 先に移住して貰って
逃亡先を 決めるのも わくわくしました
くすくす くすくす
ああ ごめんなさい 真面目にお話ししますから また蹴るのは 御勘弁を
それで 遂に 夜逃げしようと しましたら
あの2人に 見つかって しまったのです
仕方なく 口封じの為 連れて行った
それが 真相で ございます
え? ああ あの2人の 居所ですか
教えません
残念ながら 拷問も 無駄ですよ
だってもう 毒を 呑んでしまったのです お酒と一緒に
くすくす くすくす
だからでしょうか 何故だか 楽しくて 楽しくて 仕方ないのです
だって 貴女達から 逃げるのは とても 難しい
だから 目が合ったとき 逃げながら2人を隠して 私は毒を飲んだ
こんなこともあろうかと 準備しておいて 正解でしたね
おやおや 何か 話してらっしゃるのですか? 何も 聞こえなく なっていますね
あらあら 段々 御姿も ぼやけて…
ああ ここまでですね
其れでは皆様 御機嫌よう
ああ もう 口も 動かない
乗っ取りを企む 毒婦と その一味よ
掃除や洗濯 料理を覚えて
高級でなくとも 栄養のあるものを たっぷり食べて
毎日の労働で 体力もつけて
髪を切り 染め 見た目も変えた
あの子達を 捕まえられると 思うのか
父さんも 母さんも 亡くした私の 代わりにして 可愛がってくれるだろう
お前達を 地獄で 待つ
…あーあ 本当に こんなつもりじゃ なかったんだけど
まあ でも 可哀想な子供がいたら 同情しちゃうよねぇ
…ねむ……
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癖のある、こんな文章を読みたかった。人間臭いキャラが好きだった。だから書いた。