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前の世界で運営者に消されたNPC姉妹が新しい世界で生きて行く  作者: あいか
序章 この世界で妹と再会するまで
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40話 シャーリーの出立

皆様、いつもありがとうございます。


夕食を食堂で食べてからとなります。


いつもなら、食後に部屋で集まって皆とお話をするけど、今日は行わなかった。

リディアはお母さんと居たいだろうし、ローランは邸に居るけど、所在不明でメイドに明日の話を伝えてもらった。

フィリスは、まだやる事があるらしい

みんな頑張っているので、私も頑張らないとね

シャーリーは所用で少し離れるらしく、私は別のメイドの人とお風呂に入る事にしたり

1日の疲れを癒す為には必要な事なのだ。

ゆっくりとお風呂に入り、体を癒して部屋に戻る

部屋に戻り、さて、何をしようかと考えようとした時に、シャーリーの声が廊下から聞こえた。


「お嬢様、今宜しいですか?」


「うん、大丈夫だよ。どうしたの?」


「奥様にも許可を頂きましたので、今から商業街へ出発いたします」


シャーリーは入ってこないまま話すので、私は飛び出す様に開けて外に出た。


「ちょ!シャーリー!今から出ていくの?」


「はい、今なら朝には着くと思いますので、まだ真夜中と言うわけでもないので、問題ないと思います」


外は既に日は落ちて真っ暗ではないが、暗めだ。

夜道の危険性も知ってるし、魔物も活発になる

これから出るとなると、移動してるうちに真っ暗になるだろう


「シャーリーが強いのは知ってるけど、本当に大丈夫なの?」


「至急という、あの者に珍しい言葉で伝えた事もあり、胸騒ぎが少しするのです。後は旦那様が心配という事もありますね。一応、報告次第で動き方は変えますが、旦那様をお守りしながら戻ろうと思うので、少々戻りの日は遅くなると思います」


シャーリーは、お父様が王都に向かった事で、動きを変えたようだ。

王都が商業街を通らずに向かえれば、気にする事は少ないけど、それ以外のルートは森を通ったり、山を越えないとダメなので開拓された道を通るしかない


「お父様の事は私も心配してたから嬉しいけど、シャーリーの事も同じぐらい心配だよ」


「お嬢様…」


「私が何言っても止めないと思うから、トニトリスのお守り絶対肌身離さず持っててね。それと、使わないのが一番だけど、念の為にポーションを渡すね」


低級ポーションを20個ほど渡した。

雷水晶(ライトニングクォーツ)、あれなら大抵の事は防げるはず

シャーリーなら大丈夫…

お父様も問題ないはず…

でも、少しだけ、胸に感じてるのは何だろう…


「かしこまりました。では、お嬢様、情報の確認と旦那様が安全に帰れる様尽力致します」


シャーリーも警戒してるのか、魔法剣を装備して部分的な防具を取り付けて、馬に跨った。

私はそうだと思い、収納魔法から1つの魔法道具(マジックアイテム)を取り出す


「シャーリー、これ持っていって、周囲を照らす魔法道具だよ」


そう言って渡したのは、ランタン型の魔法道具(マジックアイテム)で、魔力を込めれば何度でも使える物だ。

通常は、松明や一時的に発光させる発光石という物を使うが、暗いのと消耗品なので、夜道を安全にと思い渡す事にした。


「宜しいのですか、貴重な物だと思いますが…」


「魔力を注げば何度も使えるから、今後も使ってくれると嬉しいかな」


「ありがとうございます」


「照らす時は、ランタン部分の上を捻ると明かりがつくから、消す時は反対の動作で、魔力を込める時は、中心の魔石に魔力を注げば、大丈夫。注意してほしいのは、かなり明るいから咄嗟に使うと、眩しく感じる所かな」


通常のランタンと違い、発光魔法なのでかなり明るい

目眩しにも使えるのでは、と思うほど明るい物だね


「使いやすそうですね。では行ってまいります」


シャーリーは、自身の腰の器具に魔法道具(マジックアイテム)を取り付けて、馬を走らせて行った。

私はその姿が見えなくなるまで、手を振り続けたのだった。


「あれ、何で…」


何も起きてない、問題ないはずなのに、目から涙が自然と溢れてきたよ

何でだろう…わからない…

邸に入ると、フィリスが待っていたが、驚いた表情をしている


「どうしたのですか!」


「わかんないけど、勝手に出てきた」


そう言うと、フィリスは私の涙を拭い、優しく抱きしめた。

優しくて温かい気持ちだ。

心の中のモヤモヤが、薄れていく気分になる


「フィリス、ありがとね。落ち着いたから大丈夫。何で、ここで待ってたの?」


「シャーリーさんに頼まれた事もありますが、私自身お嬢様にお会いする時間が少ないので、そろそろ補給をと思いました」


え?なんて?

最初は聞き取れたけど、最後よく分からなかったけど、聞くのが怖い


「そ、そうなんだ…部屋でお話しする?」


「はい!是非!本のお話をもっとしたいと、思ってましたから!」


本のお話し、確定なんだね

嫌いじゃないからいいけどね

2人で私の部屋に向かうことにした。

テントを出しっぱなしにしてるので、部屋の前でフィリスに待ってもらいさっと入って収納魔法で片付けた。

秘密にしたい訳じゃないけど、テントはオークの拠点にもあったから思い出させたくない

フィリスに入ってきてもらうと、低いテーブルとクッションを中央に動かしてお話する準備が完了した。


「お話の前にお嬢様、お飲み物をお持ち致しますね。何か、ご希望はありますか?」


最近、気になるんだよね

人前では仕方ないにしても、2人で話す時もメイド化してるこの感じを正さなければ!


「フィリス!友達だから、お嬢様呼びは禁止!」


「え!でも!メイドさんはそう呼びなさいって、メイド長が…」


「友達からそう呼ばれると、何かねチクチク胸が痛くなるよ」


シャーリーは昔からだけど、距離を置かれてるみたいで寂しくなるからね


「うう…わかりました。他の人の前では、お嬢様と呼びますからね」


「フィリスが無理しない範囲でいいよ。メイドも辛ければ、辞めていいからね」


「メイドさんは楽しく思えるのと、何でしょうね、綺麗なお嬢様に使えるのって、本の中の人になった感じがして、気分が高まります!」


「フィリスが楽しいなら…いいかな…」


いいのだろうか…

大丈夫だと信じたい…

家族を失ったフィリスが楽しく思えるのなら、私は不満はないけど、何か違う気もするよ


「では、アニエスさん、飲み物は何にしますか?」


「クッキーに合う飲み物なら、何でもいいかな」


「この時間からクッキーは、止めた方がいいのでしょうか」


「シャーリーは、いつも食べていいと言ってるから大丈夫!フィリスの分もあるからね!」


いつもは怒られるが、たまには良いはず…


「そうでしたか、では用意してきますね」


仕草が完全に板についてるのか、出ていく時も綺麗なメイドがする仕草をして出て行った。

まぁ、フィリスが楽しいならいいかな?

さて、私も準備をしよう

テーブルにクッキーの袋を置いて、後は私の保管してる他のお菓子も出して、準備完了!


「お待たせしました。えっと、良い茶葉が届いた様で、クッキーに合うのに致しました」


「ありがとね!待ってたよ!」


テーブルに飲み物を2人分置いて、準備は完了だ。

一口飲むと、スッと口の中に香りが広がる様な感じで、とても美味しい

そこに、この大好きなクッキーを食べると…


「これ飲んだ後にクッキー食べると、美味しさが増し増しで凄いよ!」


増し増しって、この使い方で合ってるよね…プレイヤーからの会話データだから合ってると思うけど不安

ふとフィリスを見ると、ニコニコ顔でこちらを見ていた。


「どうしたの?」


「つい、アニエスさんが笑顔で食べてると、私まで楽しく感じました」


そい言って、私と同じ様に食べ始めた。

私は、ちょっぴり恥ずかしくなったよ


「確かにすごく美味しいですね。このクッキーっていつも持ってますが、一体どのお店の物なのですか?」


「んとね、このクッキーはリリアナが作ってるから、言えば貰えるよ」


「えっ、リリアナさんって…あのメイド長が作ってる所、全く想像出来ないです」


「優しい人だけど、ちょっとだけメイドに命かけてるからね」


「命かけてて、ちょっとだけなのですね。確かに厳しめですが、優しい人なのは間違い無いですね」


リリアナはメイド長なので、厳しめだけど、優しい人だからね

趣味がお菓子作りで、定期的に渡してくれる


「ではでは!本のお話しですが!この間、お借りした、あの本凄いですね!」


フィリスの本愛を私はこの後、長時間聞く事となった。

私も本の話は嫌いじゃないし、他の人の感想を聞くのも楽しい

交互に本の話をしたりする

最近こんなに楽しい時間は、少なかった様な気がした。

フィリスは私の部屋の本を大半読んでいて、そろそろ本が貸せなくなっている

本自体、手書きになるので、数が少なく手に入りにくい

リディアみたいに、図書室に閉じ籠るのも時間の問題だろう

夢の様な時間は、あっという間に過ぎていった。


「アニエスさん、そろそろ寝ましょうか」


「確かに眠くなってきたかも、お話しありがとね」


「私も本の話するの楽しいので、いつでも大歓迎です!」


私はさて寝ようかと思ったけど、フィリスは部屋から出ずにベッドの方に歩き始めた。


「ま、まさか、一緒に寝るの?」


「はい!アニエスさんと一緒に寝ると、それだけで頑張れます!」


家族を失って辛い、フィリスの助けになるのなら…

しかし、夜は暑いから、抱きつき禁止と言っておかないと私が死ぬ


「いいけど、前みたいに抱きつき禁止だからね」


「はい〜」


絶対やる気だよ

そう思った私は、恐る恐るベッドに入る

フィリスから離れて端にいる事で回避をしようとするが、無意味だった。


「端は危ないです!ほらこっちにきて下さい」


「近寄ると、抱きつくでしょ…」


「しないですよ」


ずるずると近寄ると、中央に着く瞬間に抱きつかれた。


「やっぱり!抱きついた!」


「アニエスさん、冷たくて、ぷにぷにで柔らかくて、抱きつかないなんて有り得ないですよ!」


あれ?私ぬいぐるみと変わらない扱いなんじゃ…

私の体温は低い方なので、どんどん暑くなるよ

でも何だか、悪くないかもしれない

暑苦しい事を除けば、だけどね!


「苦しい!力強い!潰れるぅ!」


「ごめんなさい!アニエスさん可愛くて、力入っちゃった」


「はぁ、力入れなければ、いいよ」


「ありがとうございます!」


少々、寝苦しいが我慢しよう

でも、他人の体温って、何だか安心してぽかぽか温かい…

瞼が重い、もう寝そう…


「フィリス、おやすみ…」


「アニエスさん、おやすみなさい」


私は、真っ暗の空間ではなく、何もない空間に漂っていた。

正確にはあるかもしれないけど、全く何も見えない

平衡感覚もなく、宙に浮いている感じだ。

前にもこの空間に居たような気もするけど、思考が定まらず、思い出せないや

考えても、それが消えてしまうのだ。

怖い、夢なら早く覚めてほしい

この状態が続くと、自分自身が溶けて消えてしまいそうだ。


『今回は、大丈夫そうだね』


誰かの声なのか、念話に近い感覚で、直接頭に響いた。

私は声を出そうとしても、声も出ないし、体も動かない

誰の声なんだろう

誰かいるなら、助けてよ


『1つ間違うと、人の命は簡単に消えちゃうから、常に最適な選択をしてね』


どう言う意味なんだろうか

選択とは何だろう、選ぶ事なんて、今まであったっけ

考えようとしても、頭の中が霞がかる感じだ。

何とか記憶を辿ろうにも上手くいかず、モヤモヤする


『見守ってるからね』


見守る?私を?わからない…

なんとか考えようとしていると、現実に戻される感じがした。

その覚醒する瞬間、今まで見えなかった視界が真っ白に染まり、こちらに手を振る少女を微かに見た気がした。


「苦しい…暑い…目が覚めちゃった…凄い汗が出てる」


暑さのせいだろうか、汗が凄く出ている

苦しく感じた理由は、直ぐにわかった。


「うーん、アニエスさんがいっぱい居て幸せ…全部私の物…」


まだ朝早いが、起きた原因は、私の腹部を抱きしめてるこの手だろう

寝言を言いながら、今も私を抱きしめていた。

何の夢を見てるのか、時折ぎゅっと締め付けられる

そっと起こさないように手を離して、私は起き上がり汗をタオルで拭うとベッドに戻った。

流石に暑いし、まだ寝ていたいし、夢も気になる

あれ?私何の夢、見てたんだっけ

思い出そうにも、全く思い出せなかった。

黒い空間に居る時は、大抵の記憶が起きても覚えてるのに、それ以外の時は忘れてしまう

夢特有の曖昧さを感じていた。


「まぁ、いいや、もうちょっと寝よ…」


まだ寝足りない体は、瞼を閉じるとすぐ眠りについた。


「アニエスさん、朝ですよ!」


元気な声で、私は目を覚ました。


「ふぁ〜フィリス、おはよう」


少々、眠気が残っていて、欠伸をしながら体を伸ばした。

睡眠時間が勿体ないけど、対処法がないから仕方がないね


「アニエスさん、おはようございます!良い天気ですね」


良い事が起きそうなぐらい、晴れた日の光が窓から入っていた。

朝起きて太陽の光を浴びると、元気になる気がする


「さぁ!アニエスさん、お着替えしましょう!」


「うん?まさか…」


「メイドですから、お手伝いします!」


「1人で着替えれるから大丈夫!」


「いえいえ、私にお任せください!」


「やだ!いい加減にしないと私嫌いになるよ」


「うう、メイドになった理由の1つなのに…」


「まだ見習いだからね。一人前になったら考えるよ」


しょんぼりしていたので、私なりのフォローをした。

床に座るフィリスの頭を撫でると、元気になったようで明るい顔に戻った。


「約束ですよ!私頑張って一人前のメイドになります」


「考えるだけだからね」


フィリスは先に支度してきますと、自室に戻って行った。

シャーリーが居なくても、同じ扱いを私受けてる気がするよ

私は1人で着替えを済ませて、フィリスが戻ってくるのを待つ事にした。

数分でメイド服に着替えたフィリスが戻ってきた。


「お待たせしました。着ていた服はお洗濯致しますので、預かりますね」


「ありがとね。でもフィリスがそこまでしなくても大丈夫だよ」


「いえ、一人前になる為には必要な事です」


凄い意気込みだ。

フィリスがあの出来事を忘れる事ができるなら、今のままの方がいいかもしれないね

私ができる事は少ないから、出来る事は叶えてあげたい


「ご朝食の準備が出来てますので、食堂に向かいましょう」


私は元気に返事をして、食堂に向かう事にした。


お読みいただき、ありがとうございます。

よければブクマなどいただけると、転がって喜びます。

評価、いいね、ありがとうございます!


基本アニエスの扱いは、殆どの人が同じ感じなので、本人も特に変とは思ってないです。

アニエスの知識は、元々のデータとVRMMOのAIによりプレイヤーとの会話で増えてますが、偏ってます。

特に深い意味はなく、皆から愛されてるのですが、本人の受けるダメージは、下手な魔物よりも大きいです。


次回は魔術のお話予定です


何か気になる事や、こうした方が良いのでは、とかここはダメという所など、あればコメント頂ければ幸いです。

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