35話 29階層、30階層予想外の戦い
皆様、いつもありがとうございます。
少し長めです。
29階層に到着からです。
29階層に降りても、スケルトンが沢山出現する
私的にも倒しやすいから嫌いではないが、沢山出てくると倒したくなる
私が前に行こうとすると、ローランとシャーリーに止められ大人しく後ろで見守る事にした。
「予想外にスケルトン祭りだったな」
「スケルトンは怖くないね」
3人はスケルトンを問題なく倒して行く
数が多くなっても変わらないので、シャーリーもリディアもレベルが上がっているのだろう
後から進む方角を指示していると、私は気配を感じて足を止めた。
足を止める私に皆が気がつき辺りを確認する。
「アニエス嬢、何かいるのか、俺は何も感じないのだが…」
「私も何も感じません。お嬢様、如何致しましたか?」
「ちょっと、気のせいならいいけど、さっきから何か見られてるんだよね」
「あ、アニエスちゃん!やめてよ!怖いよ!」
「アニエス嬢、どこら辺からとかあるか」
「さっきは後ろで、今は何だろう、分からないけど近い気がする」
『皆下がれ、真上に居るぞ』
シェイドが真上からの攻撃を防ぎ、教えてくれた。
瞬時にその場から距離を取り、警戒をする
真上を見ると、空中にまるで逆立ちしてる様な異様としか言えない人型の魔物が居たのだ。
一瞬古代遺跡で死んだ人と思ったが、未踏のはずなので、元々死体の魔物だろうか
正直人型は怖いけど、そんな事を言ってる場合じゃない、グッと拳に力を入れて体の中に怖さを押し込めた。
魔力眼を使い見ると、全身を黒いモヤモヤが包んでいた。
「ローラン、この魔物わかる?」
「すまないが、俺も見た事ないな」
「魔物図鑑にも載ってないよ、姿形が恐ろしくて怖いよ」
「お嬢様が知らない魔物は危険度高そうですね。それに見てるだけで体が震えそうです」
それは純粋な恐怖だろう
たとえ強くても、恐怖を人は何かしらで感じてしまう
すると強者であっても足が動かなくなり、命の危険が伴う。
決して、私が怖い言い訳とかではない、恐怖という精神攻撃なのだ。
実際に姿を見ると心の奥から恐怖が湧き上がる様に感じる
「28階層のアンデットウルフも知らなかったから、多分知らない魔物が増えてるんだと思う。私も戦うから魔法使うよ」
未知の魔物よりも寒気を感じる恐怖心から、すぐ倒したいと思う
この状況下で攻撃をしないという事はできない為、空中の魔物へ魔法を使った。
「複製魔法、ファイアアロー!」
複製魔法でファイアアローをさらに増やして、複数の火矢でその異様な魔物を攻撃した。
全て当たるともがき苦しむのだが、それが人間が苦しむ様に声にならない唸り声を上げながら蠢く姿は更に恐怖を連想させてしまう。
さらに全身から血を垂らし始めて、それを見ると足がガクガクしてしまう
「あ、アニエスちゃん、私怖い…あれ何なの…」
「クソ!見続けるとヤバイな、何か魔法使われてるのか…」
その魔物は大きく声を上げると、今まで辺りには魔物がいないはずが、スケルトンの集団が何処からともなく集まり出した。
スケルトンアーチャーがいないのが、救いなのかもしれない。
現状出てくるスケルトンは、剣を持つ通常のソルジャータイプなので対処がしやすい。
スケルトンを使役する事は、やはりボス格のようだ。
「フレイムランス!」
空中に炎の槍を展開して異様な魔物に飛ばした。
鋭い槍は串刺しにして燃やし続ける。
空中にいる事が保てなくなったのか、そのまま地面に落ちたのだった。
ぐちゃっと音を発生させて地面に落ちる様はさながら強い精神攻撃としか思えない。
「うっぷ…吐きそう」
魔物の死体は問題ないが、コレは人型、明らかにモデルになった人間がいる様な者が落下したのを見ると流石に私もダメそうだ。
「お嬢様、私のそばに居てください」
シャーリーはやっぱり頼りになる。
ソルジャースケルトンを的確に頭を潰して倒すのはやはり強者だ。
ローランもリディアを庇いながら剣を解放させずに倒し続けていた。
「アニエス嬢、流石にスケルトンが湧きすぎで変じゃないか」
「うう…確かに変だね。ちょっと私の考えを試してみるよ。魔法使うから私の近くから動かないでね」
絶え間なく襲い続けるという事は何かしらのギミックがあるとしか思えない
可能性が高いのはあの異質な魔物が呼び寄せた事から関わってるのは間違いないと思った。
さらに空中から落ちたまま動かないのも気になる
最初は倒したと思ったが、もしかすると生きてるのでは、と思った。
何故なら倒れた状態でも黒いモヤモヤが見えるからだ。
もう面倒になってきた。
私の魔法を耐えるのなら、絶えれない超高温で焼き尽くすまでだ。
「根源の種火、灼熱の炉、絶えず燃える火、天界の火を今ここに、プロメテウス・ファッケル!」
特殊な火の超級魔法、プロメテウス・ファッケル。
天界の火を現界に呼び出す魔法だ。
種火の様な小さい火が現れて、対象を燃やし尽くす。
次第に広がり、赤色から白色の火となり、一定範囲のアクティブ状態の敵を燃やし、広がっていく広範囲魔法。
白い火は希少属性となる聖を含むので、耐える事など出来るはずがない
「すげぇな、見惚れてしまうほど綺麗だ」
「ええ、すごく綺麗です。心が清められる様な感じですね」
「アニエスちゃん、これも火属性の魔法なんだよね」
「ちょっと特殊だけど、火の超級魔法だね。そこに魔法を更に使うよ」
ふぅ、と息をしてリングから魔力を引き出す。
流石に通常よりも消費魔力が多い、特殊な超級魔法を2回使う魔力はないからだ。
体に痛みが走る、声を出したいが、グッと堪えて耐えた。
「白い火、聖なる火、悪き者を退け、浄化する天の裁きをここに、ヘブンパニッシュメント」
私がそういうと辺りを燃やす白い火が弾ける様に飛び散り、魔物を次々と倒し暗かった階層が明るく照らされた。
「これは…一体…」
「さっき撒いた白い火を媒体に、広範囲を攻撃する連続使用が必要な光属性な魔法だよ」
そう言いながら、光の粒子が天井に上がっていくのを見つめた。
先程まで沢山いたスケルトンも全て粒子になって上がっていく
特殊状態異常を全て解除する効果があるので、恐怖や怯えも無くなっていき清々しい気分になった。
「綺麗…」
「ええ、この光景は心から美しいと思います」
皆も見惚れる様に見続けた。
広範囲の魔物は粒子となって消えていくのだが、全てが消えた後も白くなった空間は残り心が安らぐ状態が維持された。
魔物の発生を抑制する効果が残る為だ。
「アニエス嬢には驚きっぱなしだな。見てると綺麗で浄化されそうだ」
「うーん、ローラン。言動に影響が出てるね」
私はパンと手のひらを合わせて音を出す。
すると、皆がハッと我に帰った。
「皆戻って来れた?」
「あ、ああ、心地良すぎて変になってたな…」
「お嬢様が偉大すぎて、天に昇る体験をしました」
「心がぽかぽかして宙に浮いてる感じだったよ」
ふむ、この魔法はあまり使わない方が良さそうだね
人の精神に左右する魔法は、使い方一つで危ないからだ。
後、シャーリーの言ってる事は意味がわからないよ
「えっと、状況を説明すると、聖なる火で広範囲を浄化したから殆ど魔物はいなくなってるのと、さっきの元凶も消滅したよ」
しかし、先程の魔物は、本当に何だったのだろうか
あのもがき苦しむ魔物は粒子となったので、調べる術はない
魔法に対する耐性が高すぎるのも気になるけど、魔物を呼ぶ力も強すぎた。
階層主と言っても、納得できる強さだと思う。
うっ、やっぱり回復力上がっても超級魔法を2回使うと、魔力消費が多くて辛いな
リングから借りた魔力分のダメージがやっぱり痛いよ
「ちょっとだけ、休憩しよう。暫く魔物は出て来ないから」
そう提案した時に体がふらついた。
シャーリーが私の体を支えてくれた。
「お嬢様、お体の調子が悪いのですか」
「大丈夫、ちょっと魔力使いすぎただけだから、暫く支えてもらっていいかな」
「それは構いませんが、本当にお体は大丈夫なんですね」
「大丈夫だよ、いつも心配かけてごめんね」
「あんな強力な魔法を2回使ったら魔力減少状態になるのは当たり前だよな。アニエス嬢、俺達のために済まない…体を休めてくれ、万が一にでも魔物が出たら俺が何とかする」
やっぱり28階層の時もだけど、ローランは責任感を感じているようだ。
私が自分で決めてやった事で苦しんだり、悩んだりはしてほしくない
「私もアニエスちゃんを守るからね」
皆の優しい言葉が聞こえるだけで、私は元気になれる気がした。
私の体で何とかなるなら、皆を守る為にこれぐらいどうって事はない。
私は自然と笑顔になっていた。
目を瞑り思考加速させる。
やはりこの古代遺跡は異常としか思えない。
他の古代遺跡はローランの話だとこの様な事はないと言ってたので、何かがあると思う。
そこに神様の50階層が手の届かない所にあるという言葉だ。
神様ですら手の届かないというと一度調べておきたいけど、行くと確実に死ぬらしいし、考えれば考えるだけ難しい
戻ったらお父様に報告して、立ち入りを完全に禁止にさせるのが1番なのかな
スキルの恩恵はやっぱり凄い、この短時間で体力も魔力も殆ど回復できた。
「シャーリー、ありがとう。もう大丈夫」
「お嬢様、無理してないですよね」
「うん、もうバッチリ回復したよ」
「アニエス嬢、このまま進むか、それとも一夜過ごすか?」
「私のミスで時間を消費したから、できる限り進みたい。目的の魔導コアは何としても集めたいからね」
古代遺跡がこんなにも変わってるので、早く街の防衛力は高めたいと思うからだ。
マップを頼りに、明るくなった29階層を進む事にした。
「明るくなって進みやすいな」
「うん、この明るさならもう怖くないよ」
「28、29階層結構暗かったからね」
そんな話しをしていると、30階層へ降りる階段に到着した。
「20階層のことを考えると、大丈夫と聞いても俺でも怖く感じるな」
「そうですね。今度はお嬢様だけに戦わせる事は致しませんので、私は何があっても戦いに参加します」
シャーリーの気持ちは嬉しいけど、魔物次第では堪えてもらうよ
「このフロアを纏める主だよね、どんな魔物なんだろうね」
「ちょっと、予想できないんだよね。出会ったアンデットが偏りすぎてる。可能性が高いのはスケルトン系なのかな」
死霊系に出会ってないので、私はそう思ったのだ。
階段を降り30階層に到着すると10、20階層とは変わり広い空間のみだった。
特に中央が高くなってるとかもなく1つのフロアとなっていた。
「これは、広いな、主の姿も見えないが、奇襲とかする魔物かもしれないな」
警戒しながら中央へと進んだ。
中央に近づくと、小さな人形が視界に入った。
一般的な人形ではなく、姿形は女の子が好む様な可愛い顔に長めの髪だが、胴体は血に染まってるのか黒ずみ、それ以上に気になるのは周りに剣が浮遊してるのと、禍々しい腕が2本浮いている事だろう
眼に魔力を通してみると、浮遊物は全て人形が操っている様だ。
「アニエス!」
その人形は私の事を知ってる様で、更に言葉を発して驚いていた。
「私の事を知ってるの?」
魔物だと思い警戒は解かずに話した。
「知ってるのですって!信じられない!実験実験とか言って無茶苦茶にしたくせに!」
ふむ、確かに見覚えが少しあるけど、普通の人形は奇妙な腕を宙に漂わせたり沢山剣を浮かせたりはしないと思うんだよね
魔改造されすぎて、原形が分からない
魔改造…昔何か…まさか…そんな事は…
私はその一点に引っかかり、記憶を辿ると冷や汗が出てきた。
「もしかして、私の人形?」
「やっと思い出したの!あんなにも勝手しておいて信じられない!」
「本当にあの人形なの…」
「まさかアニエスちゃん、前に一度言ってた、昔持ってた人形って、この禍々しい物なの…」
血塗られてなく、浮遊物が無ければ可愛い人形なんだけどね
でも髪伸びてるし、生きてる様な気がするけどね
「確かによく見ると、お嬢様が毎日抱いて寝てた人形の様に見えますね。急に無くなったと伺いましたが、この様な事になってたのですね」
シャーリー、その情報は今必要ないよ
「アニエス嬢が人形を持つと、魔物にでも変わっちまうのか」
ローラン、それは酷い言い方だよ
確かにちょっと出来心で、実験したけどね
「人形に魂を付与できるかなって、丁度魂持ってたから、色々やってたら逃げちゃったんだよね」
そう私がいうと、皆が凄く引いていた。
「何が魂付与よ!アニエス貴方、付与させて魔術を刻んで、魔法の実験に使ったでしょ、あのまま居たら危険を感じたから邸から逃げたのよ!」
よく考えると、私が悪いのかもしれない
この世界で、自由に思考して動けるから色々したんだった。
「ごめん、私が悪いね。人形から魂抜いて戻すよ」
「反省できたなら許してあげるわ、最初は小さくて魔力保有も殆どない人形で路頭に迷ったけど、コツコツ強くなって今では気に入ってきたから魂はこのままでいいわ」
「あっ、そうなんだ。そうなると主?になったから私達と戦う流れなのかな」
「私が主?違うわよ、アニエスより先に倒しただけよ、湧くたびに倒すを繰り返して強くなってるだけよ」
正直それは、予想してない答えだった。
あの人形が階層主を居座って狩り続けてるとか、流石に私も予想できない
人形がボスを湧き待ちして狩るとか、頭痛くなりそう
「もしかして、浮いてるのは主のパーツなの」
「ふふん、いいでしょ、最近、超能力使える様になったからパーツ集めしてるの」
自由に動かしたり、浮かせたりできる魔法だが、魔力消費が多いのによく維持できるな、と率直に思ってしまった。
「そ、それはよかったね。じゃあ、私達は先に進むね」
「ちょっと、何勝手に進もうとしてるのよ。折角再会できた事だし、強くなった私と戦ってみたいと思わない?」
「うーん、思わないかな」
「やっぱり、アニエスはムカつくわね。いい機会だし、復讐しようかしら」
やっぱりこうなるのね
「お取り込み中の所済まないが、アニエス嬢の代わりに俺が戦ってやるよ。これ以上アニエス嬢が傷つくのを見たくはないんでな」
私が傷つく前提なんだね
誰かを守る為なら傷つく事も気にしないけどね
でもローランの気持ちはしっかりと伝わってるよ
「ふん、アニエスじゃないなら戦わないわ」
「何だ、ビビってるのか、その浮いてる剣は飾りなのか?」
「ムキー、いい度胸してるわね。貴方じゃあ私に勝てないから見逃してやろうと思ったけど、変更!」
「やる気になったな。皆、俺に任せてくれ、人形もそれでいいか?一対一だ」
「それでいいわよ、私は人形じゃなくてマリーという名前があるから次人形って呼んだら容赦しないから注意しなさい」
マリーって私が付けた名前だね、気に入ってるんだ。
一対一で戦うことになり、私達は中央から下がりローランを見守る事にした。
万が一を回避する為にシェイドをローランの影に潜ませる
ローランが致命傷を受けそうな時は防いでもらうつもりだ。
私は眼に魔力を流して、魔力眼を発動させ見守った。
「自分の不甲斐なさを最近見続けてるんでな!手加減なしの本気勝負だ!」
ローランはそういうと、剣を抜き解放する。
「白銀剣ギグサロス!力を解放しろ!」
剣から魔力が漏れてローランの髪色も変わった。
「いくぞ、超越発動!」
剣から漏れ出ていた魔力がローランの体に入った。
体を包む魔力が、大きく膨れ上がる所を見る限り、全体強化のスキルだろうか
ローランが今まで使わなかったのは、何か理由がありそうだ。
「貴方、何それ!面白そうね」
「期待に応えれるか分からんが、いくぞ!」
ローランがそう言って、白銀剣を構える
深呼吸をして、足に魔力を流し距離を縮めた。
先手で攻撃を仕掛けたのだ。
速度が乗った鋭い突きを放つが、マリー自体は小さい為、避けられる
それで攻撃は終わらず、流れる様に追撃を行う
薙ぎ払いに繋げて、避けたマリーを斬りつけた。
「痛ったいわね!でも及第点をあげるわ」
ローランの剣は鋭く強いはずが、マリーに直撃しても吹き飛ぶだけで傷つけることには至らなかった。
マリーは空中に展開してる剣を自在に操り、ローランへと攻撃を仕掛ける
総数10本から繰り出される絶え間ない連続攻撃だ。
それだけではなく、禍々しい腕が動き、黒い光を放ちローランを襲った。
連続で繰り出される剣を白銀剣で捌きつつ、黒光する腕を距離を取り避ける
私は遠すぎて黒光が魔法なのか、戦技なのか分からなかった。
だが、弾かず避け続けるという事は、ローランは危険と判断しているのだろう
「ちょこまか、ちょこまかと、いい加減に串刺しになりなさいよ!」
「はいそうですかって、誰がいうかよ。1の剣、瞬斬!」
マリーの剣が弾かれた一瞬を狙い、ローランは距離を詰めて強い一撃を放った。
早い攻撃にマリーは対応できずに、体の中心に突きを受け後方へ飛ばされる
そのまま後方へ飛ばされたマリーをローランは追いかけて、2の剣、虚空破斬で追撃した。
「この強化人形を傷つけるなんて、貴方何者なの」
元の素体は一般流通品だが、私が様々な魔術を加えて、そこらの魔物では傷がつかない程、防御力は高くなっているのだ。
「さて何者なんだろうな、一つ言えるのは、俺に勝てないという事だけだな」
ムキーとマリーは挑発に乗り、ローランへと向かった。
怒りに任せてるのか、先程までの剣を合間合間に攻撃させるのではなく、10本を一斉にローランへと向けて自ら突撃した。
それを待っていたかの様に剣を構える。
「3の剣、烈周煌斬」
前に見た威力を増やして、周囲を斬る戦技だ。
威力を増した回転斬りにより、マリーを含めて弾き飛ばされた。
「中々やるわね。私は剣だけじゃないのよ!これはどうかしらね!」
禍々しい腕が再度、黒光してローランに向かい魔法のダークショットを発動させた。
闇属性の速度が速く貫通力も高い魔力弾だ。
魔力さえあれば連射もできる為、魔物に使われると厄介な魔法の一つとなる。
2本から連続で放つ魔法は、隙が殆どないだろう
ローランはニヤッと笑い、剣を構える。
「俺に普通の魔法は通じないぞ。4の剣、吸魔返斬!」
剣の光が強くなり、ダークショットが剣に吸い込まれ更に強く光った。
その状態で後方から前方に振ると、剣から斬撃が飛んだ。
マリーは予想外の飛ぶ斬撃を避ける事が出来ずに、そのまま直撃したようだ。
「な!な!何よそれ!」
発動までの流れを見る限り、ダークショットの威力を斬撃に乗せて、飛ばした様だ。
「硬い人形にはとっておきをくれてやるよ。5の剣、硬破斬」
5つ目の剣技を使うと、先ほどまで吹き飛ばすか、少し傷をつける程度だった剣技がマリーの体を斬り裂いた。
相手の防御力を減らすか、無視した攻撃に思える
「痛!くはないけど、よくも!よくも私の腕を斬ったわね!」
切断されたマリーの腕が地面に落ちる
「もう終わりだ。6の剣、瞬断斬!」
ローランの体が一瞬ブレたと思ったら、マリーの体を剣で両断した。
まるで瞬間移動したかの様な超高速の移動斬撃だ。
その速度が剣に乗るようで、まるで紙を切るように両断したのだ。
その一瞬の出来事を私の動体視力では追うことができなかった。
「なっ…私の負けなの…」
そのままマリーは2つに分かれて地面に落ちた。
「そこまで!勝者はローラン!」
私は戦いが終わったのを確認して、そう宣言する
ローランは剣を戻し収めた。
周りで見守っていた皆がローランの元に集まる
「ローランさんカッコよかったです!」
「認めたくはないですが、正直強いと感服しました」
シャーリーがローランを褒めると、照れてるのかローランは顔を背けた。
この2人って本当に仲いいから昔何があったか気になるけど、聞いても教えてくれないだろうね
私もローランを褒めてみよう
「ローラン本当に強いね。最後に使った剣技は目で追えなかったよ」
「買い被りだぞ、俺はアニエス嬢が思ってるほど強くない。今回は相性が良かったのと、とっておきを使ったからな」
「とっておきって、最初に使った超越だよね。今まで使わなかったのは条件とかあるから?」
「あれは身体強化を無理矢理するスキルだから、反動が来るんだよ。もう少しすると、全身の筋肉が悲鳴を上げて、俺は一時的に動けなくなる」
「かなり無理してたんだね」
私は眼に魔力を流してローランを見てるけど、魔力が有り余っている。
それを身体強化に回せば、更に強く攻撃できるだろう
今回は6の剣まで続いたけど、あれはどこまで続くのだろうか、それと最初から高い剣を使わないと言う事は、順番に使わないといけない法則もありそうだ。
「マリー、もうわかったでしょ」
「認めるわ、貴方、ローランって言ったかしら強いわね。完敗よ」
マリーはそう言うと、切断された部分が集まり元の人形に戻った。
「なっ!再生するのかよ」
「ふん!そこのアニエスが人形に様々な実験をしたから、自己再生ぐらいは付いてるわよ」
私はマリーに魔法道具を1から作る時と同じように、魔術を刻んだから自己再生も出来るし、他にも能力向上や魔法反射も組み込んだ。
「魔法道具を作る実験の結果だけどね」
マリーのおかげで、ゲームではできなかった魔術の組み合わせができる事は判明済みだ。
マリーの実験以降は素材の相性が悪いのか、殆ど失敗したのは秘密だったりする
「アニエス、貴方を認めるわ。先に進みなさい」
私が戦ったわけではないのに、何故か認められたようだ。
私はマリーに再会したら言おうとしたことがあるので、それを提案する
「マリー、戻ってきてよ。私マリーと一緒に暮らしたいよ」
「い、嫌よ!寝る時も抱きしめて、また涎まみれにする気なんでしょ!」
「しないし!した事ない!」
私の意志とは別で、勝手に涎が垂れた事は少しあるかも知れないけど、認めたくはなかった。
「本当にもう涎まみれにしないって、約束できるならいいわよ」
「しないから!じゃあ、一緒に行こ」
私の心の中にあった心配事が解決したのだった。
改めてマリーが仲間に加わった!とゲーム風に喋ってみた。
「何だかすごい展開だったが、アニエス嬢は魔物量産して世界征服できそうだな」
「しないよ!それに魂は簡単に手に入る物でもないから、マリーの分だけでもう持ってないね」
収納魔法の中身を見てたら1番奥にあったのが、マリーの魂だ。
定着させる前は確か魂の根源というアイテムで、保存されていた私自身もわからない物だった。
その魂を何故か使わないといけないと思ってしまい、使った結果がマリーとなったのだ。
「アニエス、邸に戻ったらパワーアップを希望するわ」
「う、うん。もう以前の面影がないぐらい強くなってるけど、まだ強くなりたいの?」
「ローランに勝つまで強くなるわ!」
「いつでも挑戦は受けてやるよ」
そうカッコよく言った瞬間に反動が来て痛みを叫び出した。
31階層からはゴーレムエリアだが、ローランの様子を見る限り進む事は難しそうなので、ここで一夜を過ごそうと思う
「ここでテント使って休もうか、30階層を突破したから、余裕あるしどうかな」
「いてぇ、俺はその方が助かるな、いてぇ」
「私も問題ありません」
「アニエスちゃんに従うよ」
同意を得た事でテントを出した。
「その前にローラン痛そうだから回復魔法かけるよ」
痛がるローランに水魔法のリジェネを使うが、気持程度しか回復しないので多分意味はないだろう
「アニエス嬢ありがとな、安らぐ感じがするな」
恐らくそれは気持ちの問題だ。
「アニエス、私はこのテント?の周りで守ってあげるわ」
「マリーありがとう。でもいいの?」
「階層主は倒して間もないから出ないと思うけど、用心した方がいいでしょ、それに私は寝なくてもいいし、疲れないから問題ないわ」
それを聞くと、純粋に羨ましく思える
今の私の体は睡眠を欲する為、急な眠気が辛いからだ。
マリーに任せれば問題ないと思うけど、念の為シェイドも待機させてテントに入った。
お読みいただき、ありがとうございます。
ブクマやいいね等、ありがとうございます。
最近増えていきとても嬉しく、励みになります。
何か気になる事や、こうした方が良いのでは、とかここはダメという所など、あればコメント頂ければ幸いです。
アニエスは皆が傷ついてほしくない、皆はアニエスが傷ついてほしくないというループです。
新たな仲間が加わった!!
下手なボスよりも強くなった人形です
魔法で作成されたので、魔法生物扱いとなります
それを簡単に勝つローランはもっと強いです
1章に入る前で人物紹介を載せようと思いましたが、このタイミングで一度載せます。
次回やっと素材集めに専念しますが、戦いは殆どなく蹂躙します。
お恥ずかしい話ですが、表記揺れが多数あるのを確認してます。
読みづらいかと思いますが、徐々に編集致しますので、何卒よろしくお願いいたします。




