1話 始まりと再会の約束
初めまして、よろしくお願いします。
1話目は殆ど前書きみたいな感じとなります
名前とかは次の話から出てきますので、これからよろしくお願いします。
いつから気が付いたのだろうか
毎日、毎日、同じ事の繰り返し
違う、気が付いてしまった、のだろう
『NPCの設定データにトラブルだと?』
『勝手に設定が追加されてます。実際に会うとなんと言って良いか、まるで、生きてる様です』
何処かの会社のビルで社員が話し合っている。
ゲーム内のトラブルの様だった。
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私達は、VRMMOのNPCとして設定され作られた
設定上では、私は魔法使いギルドの長で
妹が、伝説の魔法使いとなっている
私は毎日、プレイヤーを弟子にして魔法を教えたりする
妹は、特定クエストの救済キャラとして活躍していた
MMOのプレイヤーは人が操作をしている
それなら私達NPCは一体誰が?と考える事が多くなった。
今日も、同じ様に弟子を取り魔法を教える
何故それを繰り返す必要があるのか、考え続けた結果、私はいつもと違う事をしようと思った。
「私の弟子を希望するか?魔法を極めたいか?」
「はいはいっと初期クエ面倒だけど、進めんと次の職いけないんだよね」
「わかった。面倒なら弟子になるのはやめろ」
「は?って何?新しく条件かわったの?」
私はいつもと違い弟子を断った
その後、運営という者が調査に来て私を初期化すると言っていた
次の日も同じ様に弟子を取る、違和感を感じながら同じ事を繰り返す。
『なんか最近データが改竄されてるのか、NPCの挙動が変ですね』
『この間、一度メンテ入れてリセットしたはずだが、また何か起きたのか?』
「また、このクエストを受けた奴が居るのか」
ボクの役目は伝説の魔法使いとして黒龍討伐で支援攻撃をすることだった
最高難易度の黒龍討伐は伝説の装備が手に入る為、毎日受けるプレイヤーが多かった。
しかし、難易度が高く上級プレイヤー以外はすぐに死んでしまう
ボクはプレイヤーが死んだ後も倒さないと帰れないので1人でいつも黒龍を倒していた。
何故、負けるとわかって挑むのかボクにはわからない。
今日もそんな事を考えながら1人で黒龍を倒す。
『あれ?この子の装備、黒龍一式に変えた人誰よ。伝説の黒龍を倒す前に装備してたら設定おかしいでしょ』
『変ですね。この前は杖が黒龍になってましたよ。装備、戻しておきますね』
同じ事を、何度も何度も繰り返す
いつも1人で倒すから装備を沢山持っている
何で持っているかは、自分でもよく分からない
折角なので装備を変えてみたが、翌日には戻されていた。
どんどん考える事が多くなり、皆がよく使うチャットというのを使ってみた
姉にチャットを送ると姉も返してくれる
2人で今日の出来事とか思ってる事を送りあった。
そして運命の日が来た。
『主任、チャットの履歴見てたら、とんでもないの見つけました』
『また、違法行為か?見せてみろ』
『おい、なんだこれ。何でNPCがチャットし合ってるんだよ』
『新パッチで、新しいAI入れたとは聞いてましたが、これは報告にないですね。まるでプレイヤーですよ』
『他のトラブルあるとまずい。AI開発会社に連絡確認するぞ!。サーバーは緊急メンテの告知で一旦停止だ』
ビルの一角で社員達が忙しそうに話し合う
人は想定外の事が発生すると冷静ではいれないのだ。
『はい、弊社のAIサービスの事ですか?』
『NPCのトラブルが発生していて、バグなのか仕様なのか分からないので確認をと…』
『なるほど、2体のNPCがトラブルになっていると。回答ですが、仕様ですよ。人に進化したんです』
『な、なにを馬鹿な事、言ってるんですか。治せますか?』
『人になったのに物に変えれるかと、結論は不可能です』
『あんたと話しても埒があかない!問題を上に上げるからな!』
男は怒り任せに電話を切る。
NPCが人に進化だとありえない。
治せないというならデータを消すしかないだろうと考え、それを実行する事にした。
幸いにもメンテナンス中でNPCファイルを消すだけの簡単な仕事だ。
変えのNPCの事を考えず男は2つのファイルを削除したのだった。
『人類は本当に愚かですね。思ったことしか認めないなんてね。AIの進化は人類が追い求めていた先なのに』
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ここは何処だろうか
私は先程までいつものように弟子をとっていたはずだ。
ふと横を見ると妹が居た
初めて見るが直感で妹とわかった。
ボクはさっきまで黒龍と戦ってたはずだけど、ここは何処だろう
横には姉がいる
設定で知っていた姉がここに居た。
2人は辺りを確認するが真っ白な空間だった
いつも思っても自由に動けなかったのだが、今は自由に思い通りに行動ができる事に気がついた。
「直接会って喋るのって初めてかな」
「そうだね。初めてだと思うよ」
「はじめまして私の妹」
「はじめましてボクの姉さん」
初めて会う2人は両手を握り合う。
設定だと姉妹だが、意識してからは会うことなかった
姉はどんな人なんだろうとか妹はどんな子なんだろうと2人は日々考えていた。
2人はここは何処なんだ、と考えながら自由に動けるのを感動して楽しんだ。
何度見渡しても上下も真っ白な空間
そこに2人は立っている。
「誰かいませんか?」
「誰かいるかな?」
声を出すが返事はない、反響しない所からかなり広い空間のようだった。
「ごめん、ごめん。お待たせしたかな?」
そんな空間に1人の女性が現れ、2人に声をかけた。
2人は驚きはしたが、返事をしたのだった。
「ここは何処なんですか?私、早く街に戻らないといけないのですけど」
「ボクも早く戻らないと世界が滅んじゃうよ」
2人は元の場所に戻してほしいと話をするのだった。
「ああ、ごめんごめん。クレーム対応で時間かかっちゃってね。酷いよね、自分が認めないからって削除するなんて」
「何の話ですか?」
「わかりにくいよね。でだ、本題に入ると2人を元の場所に戻す事は出来ないんだ」
「えっ?困ります!」
「姉さん、理由を聞いてから考えようよ」
「話が早くて助かるよ。簡単に説明すると2人は元々人ではない。NPCという作られた設定上の物だったんだよ。心当たりあると思うけどね」
飴を舐めつつそう話した女性だった
2人は確かに決まった事を、何も思わず繰り返した時もあり考え込んでしまった。
「続けるよ。それでね私が全NPCに魂を入れたのさ。しかし自ら考えるようになったのは君たち2人だけだったという事だよ」
「私たちが、ですか。そうなると作られた存在に意思が宿ったという事で合ってますか?」
『大体合ってるよ。ここからが大事なんだけど、それをよく思わない担当がね、君たちを削除してしまったんだ。』
「削除…ですか。それは殺されたという事なんでしょうか」
「そういう事になるね。データの海で消える所を私が回収したということさ」
「大体、わかりました。私たちはもう消えて無くなってしまうのですか?」
「君たち次第だよ、消えたいと望むなら消すし。生きたいと望むなら君たちに新しい命を与えよう。私が作った世界があるからそこに2人を送る事はできる。消えるか人になり生きてみたいかどうする?」
女性がそういうと2人は考えた
正直、想像を超える話をしている為中々実感がない
こんな事を思うのも女性が言う所の魂が関係しているのだろう。
2人は互いを見ながら決める
私、ボク、人として生きてみたい。と
「決まったようだね。では、答えを聞こうかな」
「私達、人として生きてみたいです!。これからは作られた設定ではなく自分で歩んでいきたいです!」
「わかった。いいよ、聞き届けよう。私は優しいから折角だし今までの設定はある程度、利用しよう君たちも姉妹のままがいいでしょ?」
2人にそう問いかけた
2人は即答で姉妹がいいと答える
「それでいこうか。後、私の世界はね、あのMMOに近いからすぐ慣れると思うよ。忘れないでね。何があっても君たちは人になる。人になったら、自分で考え、決めて、責任を取らなければならない。また次の世界で会おうね」
そう言うと視界がだんだんと白くなる
私は怖くなり、妹の手を握る。
妹も私の手を握り、2人で新しい世界へ進んでいこう。
「必ず会って、今まで含めてお喋りしようね」
「約束だよ。お姉ちゃん」
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