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前の世界で運営者に消されたNPC姉妹が新しい世界で生きて行く  作者: あいか
序章 この世界で妹と再会するまで
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211話 兆し

皆様、いつもありがとうございます。


初めに若干現状の話を入れてます。

 フォビアが力の解放を行った事で戦いは完全に変化した。


 これまで苦戦していた黒色骨のスケルトンが今では手も足も出せず、身動きできない状態で膝まで血の湖に浸かっている。これはフォビアが血の眷属を呼び出し、殺す事を禁じた結果となり、私を深淵結界で守る必要がある理由の一つだ。


 殺すか殺さないかのみを命令として遵守する血の眷属、深淵結界の守りにより内側からは姿が見えないが、直視すると精神を壊し発狂する可能性がある。それ以外にフォビアの血は絶え間なく本体となる大きな口から流れ続け、フォビアは血が魔力となり同時に武器として扱う。簡易テントで体験した恐ろしい記憶に残る強酸の血、様々な毒や幻覚幻聴などの異常も発生させ、酸はそれらを体内に入れやすくする為の補助効果なのだ。


 スケルトンの体に毒が効くかと聞かれれば誰もが聞かないはずだと答えるはず、だがそれは一般的に知られている毒の話でタナトスは様々な世界を渡り歩いた事でフォビアも相応の毒を獲得している。毒を除いたとしても酸は骨だけのスケルトンにも効果があり、僅かだが黒光の強い防具にも損傷が発生し始めていた。


 後は目的となる金色骨のスケルトンを探すことになり、深淵結界内部からは見えないが、空中に数え切れないほどの眼があり、それらは如何なる存在も見透せる力を持つとタナトスは教えてくれた。


 フォビア一人で全ての視界情報を見るのは如何なる存在であろうが困難を極め、タナトスは分体への感覚共有を使う事で探す協力をしていた。


 後は見つけて倒すだけに思われたが、予想を遥かに超える時間の経過に深淵結界の維持と感覚共有を行うタナトスはこれまで見せたことのない焦りを表情と声に出したのだ。


 見つからない事はありえないと言う程の絶対的なフォビアの眼、それ以外にも深淵結界がある為避けれているが泥濘や草原が生えていた箇所は既に血の湖と変わり、至る所に血の眷属が姿は見えなくても存在している。空を飛び続けるような相手以外は血に触れれば感知できる事や継続的に大きな口から血は流れ、例え空を飛んだ場合も血を避ける事は困難。


 全てにおいて優位に立っているはずだが、血の眷属の足止めも発動条件となる領域世界により満たされた血は意図せずスケルトンを時間が経過するたびに溶かしてしまう。それをタナトスも理解しているからこそ、フォビアだけに探させるのではなく、タナトスも感覚共有を行い探す協力をしているのだった。


 時間の流れが遅く感じる。


 フォビアが領域を発動してから時間はどれだけ経過した?


 タナトスが眼を借り調べ始めてからどれだけ経過した?


 普通の人が調べているなら時間がかかる以上に見つける事はできない事も神と等しい力を持つ者ならどうだろうか?


 私はすぐに見つかると思っていたが実際は異なり、過ぎる一秒一秒がとても長く感じてしまう。


 時間がかかり過ぎてないだろうか…


 深淵結界の内側から見ていても変化は感じず、未だに動きを止めたスケルトンと一定量溜まった血は、これ以上増えないようで大きな口から流れ続けているはずが、スケルトンの膝より上には溜まらないようだ。


 それは全体を酸性の血に浸かる事がない事を理解させるが原理不明な降り続ける血は身動きが取れないスケルトンの体を確実に濡らし続ける為、幾分か溶けるまでの時間が伸びる程度で早急に探す必要は変わらない。


 タナトスの表情を私は横目で見た所、余裕そうな表情ではなく焦っているような表情に見える。


『このまま、見てるだけで本当にいいの?』


 私の心に私の声が幻聴として、そう聞こえたのだ。


 いやだ…だけど…何もできる事は…


 自らの心に自問自答する無意味な問答、それは気持ちの表れと同じで、当然見ているだけは嫌だと思う。

 だからと言って、私に何ができると言うのか、邸に居た時までは私も手伝えると思っていたが、異空間に移動した後は震える身体を抑えるのが唯一のできる事、初めのアンデッドは普通の強さで倒せる事を実感したが現在の敵は比べ物にならない強さの敵、万全な(ゲーム)の私や無理を通せば倒す手段は様々あるのだが、単純に倒す事が目的ではない。


『なら、諦めて見守っているの?』


 私の心に私の声が強く幻聴として響いたのだ。


 私もできる事なら一緒に戦いたいの!でも今は何もできないの!出来ることの一つでも考えてよ!!


 私は心の中で強く叫んだ。


 幻聴、そう、私の心で考えた言葉、都合の良い事しか考えない言葉に対して自分自身に言い返すのは無意味、それは理解していたが勝手に都合の良い事を並べるぐらいなら出来ることの一つでも考えたらどうだと思ったのだ。


 ふぅ…


 強く思った事でしょんぼり弱弱な気持ちはスッキリと穏やかな気持ちに変わっていた。


 自分で自分に強く言って気持ちが入れ替わるなんてね…


 私は都合が良いと感じたが、これも生きている人間だからこその事で生きている限りは悩み考える事を諦めてはいけないと、どのような状況だとしても考える事をやめてしまうのは生きる事をやめるのと同じなんだと自分自身に気付かされたのだ。


 目まぐるしく状況が変化する中で、できるかどうかよりも考え続ける事が必要だと気がついた事で、深淵結界の内側から協力できる事として現在の状況確認を行うべきだと思う。


 私は意気込みを心の中で強く思い、タナトスに今はどんな状況なのかと確認を行った。


 タナトスは「正直良いとは言えませんね」と、これまでタナトスは焦る気持ちを見せたとしても弱気な事を言わなかったが、私の問いかけに少し悔しそうに言ったのだ。


 フォビアの眼を駆使しても全く見つけれず、フォビアも焦りと憤りを感じていると言う。


 準備の末発動させたフォビアの領域世界、圧倒的な力による一方的な戦いで終わるはずだったが、状況は全く変わらず、むしろ力を使った分タナトスとフォビアは時間経過で不利な状況、それと黒色骨のスケルトンは時間経過と共に体が溶けてしまうのだ。


 二人は私の前で不甲斐ない姿を見せたくないと思っているのは間違いなく、時間の経過と共に焦り憤りがプライドを傷つけてしまうのは当然だった。


 異空間全体をフォビアが領域で覆った為逃げ道は全くなく、天を満たす大きな口と血の湖の間は特別な眼で埋め尽くしている。それらはそれぞれが別の動きを行える為見つからない状態を維持するのは不可能に近く、そもそも空を飛ぶ敵ではない限り血の湖に飲まれるはずで、空を飛んだとしても空から降り続ける血を避ける事は無理な話だ。


 私はタナトスに再度何処までの範囲を、どのように探しているのか、正確に確認した。


 タナトスは私の問いかけに少し疑問を感じたようなので正確に調べている範囲や手段を聞く事により他者の視点で違った着眼点を見出せる可能性を伝えた。


 それを聞きタナトスは焦りで自ら視野を狭めていたと話し私に対して不要な謝罪をした後「アニエス様のお知恵をお貸し下さい」と本来の冷静さを取り戻したようだ。


「それでは現状のご説明と探し方について…」


 タナトスは一通り状況を説明した後、私に気になる事などがあるかを確認するので、私は細かな話も含めて聞いた後に一度考えをまとめて再度確認を行うと伝えた。


 ふむ…大体理解できたけど…

 話しを聞けば聞くほど変な感じがする。


 タナトスの話を思い返しながら頭の中で考える。


 これまで以上に難題で考える仕草と同時に唸り声を出してしまうが気にしている余裕はなく、これまでの話と今聞いた話を交えるように思い出しながら考える。


 フォビアの眼は空中に数えきれないほどあると聞き、天には大きな口が、地面は既に存在せず血の湖と変わりスケルトンは例外なく血の眷属に動きを止められ続ける。


 何故見つからない?


 例え眼に映らずとも血の湖は避けれないはずで、辛うじて空中に浮かぶ事や空を飛べると想定した場合でも私はタナトスに血の探知を避けて動けるとは思えない事を伝えたのだ。


「俺も飛行もしくは浮遊の力があるのではと考えました。一時的に飛ぶ事は脚力で可能ですが、継続した飛行や浮遊はは難しく魔力や準ずる力が必要な為満たされた血に触れずとも何かしらの残滓を残すはずですが…見つかりません」


 タナトスは私の問いかけに、そう答えた。


 既に私の考えは想定済みのようで、フォビアが得意とする魔力などの残滓を見つける力は眼にも宿っている為、直接本体が見つからないなら痕跡を辿ろうと既に確認済みだと答える。更に例え残滓などの痕跡が見えなくても隠れている本体を探すために目視できる降り注ぐ血とは別に霧雨のような細かく降らせる方法も合わせて使っていると教えてくれた。


 そうだよね…タナトスなら次の手を打ってると思った…


 私は頭の中でそんな事を考えながら大雑把にしか聞いていなかったフォビアの力が及ぶ範囲を再度念の為確認した。


「重複したお話ですが、フォビアに確認した所、領域を発動する前に繭から糸を出して空間を裂いた行動は異空間の大きさを推し量る為だと、その結果全てを覆うことに成功したので力は異空間全て、これは見える限りだけではなく裏側の場所も含めて力が及ぶ範囲となります」


 ふむ、再度聞いても理解できないけど…繭の時に攻撃を受けるたび飛ばしていた血の糸は空間を裂くように見えたのではなく見たままの通り裂く力で、私達が行動できる範囲を表側と定義して、空間を裂いた先を裏側と考え、両方の大きさを測る手段って事ね…


 何度聞いても規模が大きすぎるからか…分かりにくい…


 私の知らない言葉が多く、神の視点と言うべきか理を知った事で知識が広がったともタナトスは言っていた。

 話の限りでは本来裏側は使()()()()()場所で私が分かりやすいようにと表と裏の言葉を使ったとも言い、正確には()()と呼ばれタナトスも調べる方法はごく僅かだったが神核を得たフォビアの繭により調べやすくなったと教えてくれたのだ。


 細かく知っても人の思考では理解ができない高次元の話となり、だからこそ細かくは話さなかったとも言う。


 この状態では目で見えている世界と見えない世界二つをフォビアの眼で探す事ができる事、異空間全てが見えている事を理解できれば問題なさそうだ。


 言葉通りの全てが見えるのに見つけれない…タナトスやフォビアが焦るのも理解できるけど…見つからないのは確かに変だよね。


 血に触れず眼に見つからない仮説を考えようか…


 私は考えられる事を今知り得る情報から思い浮かべていき、頭の中で仮説を考えては違うと改めて考え直しを繰り返し考えられる可能性を可能な限り思考していた。


 あれ…私は探し方を知って…いた…ような…


 その最中に私はハッと背筋が凍りつくような冷たさ、誰に何をされたではなく、状況を分析して可能性を考え、違ったら再度記憶を手繰り考えていた時に一つ思い出すように朧げな記憶が浮かんだ為だ。


 わ、わたし…謎の声に探し方教えてもらったよね…


 何故、何故忘れていたの?

 忘れていた?

 そんな物忘れとは違う…切り取られた感覚…

 前後の話は思い出せるのに…肝心な所が…気持ち悪い…


 激しい動悸を感じ始め、胸が苦しくなる。


 無理もない話だろう、謎の声から聞いた話に探し方が含まれていたはずが、その話を思い出せず、前後の言葉のみで大切な手段について思い出せず、思い出そうと意識を強める度に息苦しさが強くなるのだ。


 確実に聞いていたのに、何で!!

 何でその部分だけ全く記憶に残っていないの!!


 そ、そうだ!謎の声の話をタナトスにした時に一緒に話したはずだけど…その部分の記憶も曖昧…胸が苦しいよ…


 思い出せない…


 謎の声は探し方を教えてくれたはず…


 なんで…思い浮かべるたびに前後の話も消えていくの…


 私は自らの記憶に綻びがあるのを理解したが、考えれば考えるだけ、思い出そうとする度に前後の記憶もほつれた糸が解けるように消えていく恐怖を感じる。


 神様に私が私でいる為ゲーム世界の情報記憶を定着させてもらったはずが、何かの影響で機能していないのではとも感じてしまうが、今そんな事を考える状況や余裕は無いはず、思い出せないなら無理に考えず、その方法を新たに考えればいいと自分自身を納得させようと心の中で考えるのだが、焦燥感は考えないようにと思えば思うほど強まり、胸を締め付けられるような気分に変わってしまうのだ。


 考えないように思えば思うほど、抜け落ちた大切な部分の話、記憶が切り取られたような、今では前後も何の話だったのかさえ思い出せず、呼吸を荒く過呼吸のように空気を肺に送り続けた。


 苦しい…何か考えなきゃ…これ以上忘れたらダメ…


 これほど怖い気持ちは初めてだ。


 何度か精神干渉を受けた事はあるが、意識している時にスッと消えていくのは恐怖でしかなく、忘れてしまって思い出せない記憶とは訳が違うからだ。


 この状態で余計な事を考えるなと思えば思うほど、私が消えてしまうのではないかと歪曲した考えに変わり始め、記憶が少し前まで考えていた事も消えてしまうと、いつしかそれすら気がつかなくなり、私が私では無くなるような怖さは頭の中で増えてしまう。


 視点が上手く定まらなくなり、乱れた呼吸は視界を白く変え始め、手足が痺れるように感覚が薄まり、立っているはずがグルグルと回っているように感じ始める。


「アニエス様!突然どうされたのですか!!」


 タナトスは話を終え結界の外側を見ていたが、私の様子が変だと気がつき振り返り、少し力が入った声と同時に駆け寄った。


 タナトスの声がまるで距離が離れているような遠くから聞こえる声のように微かだが聞こえ、今現在私は何処を見ているのか自分でも分からない中、聞こえる声を頼りにその方向へ顔を向けると力が抜けてしまった。


「アニエス様!!俺の顔を見てください!!」


 身体が倒れるより前にタナトスは私を受け止め、両腕に抱えられた私は言われた通りにタナトスの顔を見て安心した。


 安心?そう、安心している。

 

 覗き込むように見るタナトスの表情はとても悲しそうで見ると心がキュッと痛く感じるシャーリーの心配する表情と一緒に見えた。


 そうか…シャーリーの顔が重なって見えたから…


 出会って日は浅いが覗き込む表情は信頼を寄せているシャーリーの表情と同じで、私は無意識に重ねた事からそう思ったのだと感じる。多少の奇妙さもあり、いつもはシャーリーが悲しむ顔は私も悲しく辛く感じるが、今回は安らぐように安心感を強く感じる事だ。


 理由は考えるまでもなく、シャーリーが同行していない事で同じ表情にシャーリーを重ね、安心感を得たのだ。


 私はそう考えていると重なる表情は本来のタナトスに戻り、心配するタナトスに少し荒い呼吸で大丈夫だと伝えた。


 タナトスは「無理に話さないでください」と、少し怒られてしまうが、私を思ってのことだと理解できる。頭を少し動かすように頷き答えた。


 その頷きにタナトスは安心したのかホッと一息吐くと私の身体を片腕で支え、空いた片手で私の頭を優しく撫でた。


 いつもならば照れ隠しに声をあげるが、今は心が安らぎ焦燥感も和らぎ始める。


「ゆっくりゆっくり深呼吸をしてください」


 タナトスは私を両腕で抱えたまま優しくそう言う。

 

 私は言われた通りに何度か行うと激しく咽返し、涙と共に嫌な感覚が胸から口へと込み上がったのだ。


 深呼吸を何度か行って意思の通り身体が動き出し、すぐに右手で口をおさえると我慢したのだった。


 数秒程度息も止めておさえていると、気持ち悪さは一旦引き、再度落ち着くために深呼吸をしたのだ。


「うぇ…やっぱり気持ち悪い…変な気分…」


 突然何が起こったのか、記憶を読み直しても理解ができず、突然苦しくなり倒れそうになったと思えば気分が最悪なほど悪くなった。


 理解できない…本当に何が何なのよ!!


 そんな事を私が考えている間にタナトスは一言「大事が無いかを確認致しますので少々失礼致します」と言う。額に手を当てたり、瞼を上下に開かれ眼球を見たり、口を大きく開けさせて確認したりと手際の良い診察を受けたのだ。


 タナトスは確認と同時に何処からか綺麗な色の布を取り出し涙や涎などを拭き取り、私は「ありがと、心配かけてごめんね」と小さく声に出した。


 突然原因不明の体調変化、元々特異性を持っているが、それとこれは全く別だと思っている。しかし、原因となる理由は思い返しても心当たりは全く存在せず、不安を感じた。


 タナトスは私の表情で察したのか少し笑みを浮かべ「アニエス様、ご安心ください」と声に出し、私を調べた所特に何か起きていたり状態変化もなく、短時間の間に気を張り詰めすぎた事や考える為に脳の処理を最大で行っていた事での負荷が疲れとして急に発生したのだと教えてくれたのだ。

 

「ほんと?」


「はい、神に誓って…そもそも俺は神ですので嘘は言いませんし、状態異常は見逃しません。仮に何か起きたとしても責任を持って力を使うことにより如何なる状態も完全完治させますのでご安心ください」


 タナトスは冗談なのか本気なのか分かりにくいような事を言うので、私はそれを聞き安心と共にクスッと笑った。


「神様ジョークはもうやめてね、聞いている方もすごく恥ずかしい気持ちになるから…でもありがと、安心できたしタナトスがいてくれて本当に良かったと心から思ってるよ」


 私はタナトスに微笑みながらそう言うと、タナトスは少し変わった表情を一瞬浮かべ、すぐに優しく微笑み何故か私が感謝されたのだ。


 おそらくタナトスはジョークではなく本気で言ったようで私の返しに想定外だったような驚きが混ざる表情と思った。


 確かに短時間で人が一生を費やしても知る事はない話を聞き理解しようと考え続けていた。この状況で何か役に立ちたいとできる事を考えようと必死な思いを抱き、脳の限界を超えていたように思える。


 唯一できる事として見つける手段を考えようとした結果、身体の異常を引き起こしタナトスを心配させてしまった事は情けなく、不甲斐なさに虚しさを感じてしまうほどだ。


 タナトスは異空間の中で、更に深淵結界の中でも気にせず指を鳴らすと何度か出していた長椅子をこの場に出し、少しの間座るか寝転び休憩を勧めたのだ。


 勧めると言うより拒否権がなく、身体を休めるべきだと強制するようにも感じたが、実際に迷惑をかけてしまった事や私自身も先程の急激な体調悪化を経験した事で頷き言葉に甘えさせてもらうことにした。


「うん、そうさせてもらうよ」


 タナトスは私の頷きと言葉に微笑み、暫くの間はスケルトンの探知方法を変えてみると、私が少し前に言った事で何やら変化を考えたようだ。


「何かあれば教えてね」


 私はそう伝え、椅子に座りながら首を傾げる。


 私、何か伝えた?


 そう、心当たりは殆どなく、無意識に考えた言葉を口にしたのかとも思ったが記憶になく、頭にハテナを浮かべるが、先程処理限界のような体調悪化を起こしたばかりで無理な考えは良くないと思い考えを霧散させたのだ。


 何か…何か変な感じ…


 心の奥底の気持ちは少し違う。


 何も考えず身体を休めると決めた気持ちに隠れるモヤモヤ感、僅かな違和感を手繰り寄せる事はできず、自然にモヤモヤする気持ちは綺麗に消えた。


 それに何故だか分からないが、自分の指が気になるような変な気分で、無意識に杖の指輪も付いていない手を目の前の高さで広げていた。


 私、自分の指見て何してるの?


 その行為にハッと気がつき、理解できない私自身の行動に今は手を見ている場合ではないと両手で両頬をぱちんと叩き気合いを入れ直したのだ。


 さっき…考えなかったっけ…

 って私何考えてるのよ。


 私自身もよくわからないようなモヤモヤする気持ちを考え始めれば体調を崩し気分が悪くなる可能性は十分考えられ、これ以上足を引っ張るわけにはいかず、金色骨のスケルトンを早急に見つける必要がある以上は変な考えをしないようにするべきだと痛感した。


 それにタナトスが新たな方法を試すと言った事もあり、邪魔をしてはならないとも思ったからだ。


 今もタナトスとフォビアが必死に探してくれている。


 私は私ができる事をする為に気力を回復させるべきだと、好意で出された椅子で僅かな休息を取る事にした。


 この状況で、戦いの最中に座って休息を取るのは背徳感を感じてしまう。絶対安全圏の深淵結界に守られて豪華な椅子に座り休息を取るのは悦に浸る気分も感じる。


 何を考えているのよ!と私は自ら戒めようと考えたが、ふかふかの椅子に座った事で直前の体調不良の反動なのか強い眠気が襲ってきたのだ。


 いくら強固な守りとは言え、戦闘中に寝るのは言語道断だが、重たく閉じようとする瞼に耐え続けるのは無理な話で、これが通常の戦闘なら自分自身を剣で斬りつけ痛みで眠気を飛ばす方法を選ぶ。それは通常の話となり、この状況は違うと都合の良い解釈と共に体調不良の事や異空間を脱して終わりではなく、むしろ始まっても居ない事も考え、正当化する理由で私を自ら説得したと同時に重い瞼は閉じたのだった。

お読みいただき、ありがとうございます。


何故なのか思った以上に話が進んでいないような気がします。


変だと感じる箇所が多いと思います。

実際は変な箇所だらけですが、大抵の事はアニエスの場合気にならなくなるので変に理解をしようとした時は思考が乱れて大変な事になったりならなかったり…

これまでに過去の話より優しい表現に変え健全な作品を心がけています。


アニエスが人工古代遺跡に突入している間、魔法教会と学園で騒動起きてますが、何か裏で起きてるんだと言う程度で頭の片隅に覚えていただければ幸いです。

リディア編も昔考えたのですが途中までで今は本編の事だけ進めていく予定です。

むしろ、何方か作っていただければ…とか思ったり…


この本編は一通り全て終わりまで組み立て済みとなりますので、私の身体が限界を迎えなければ最後まで行きたいです。

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