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Liberal Online~龍や少女になったTS少年はVRMMOを楽しみます!~  作者: ひかもり
新学期×ギルド結成
55/85

障害物競走

1月14日 追記しました。


昨日投稿したものに追記しておりますので。


よろしくお願いします。




「あ、渚ちゃん!....!?」



渚がゼッケンのカゴを片手にクラスの席に走っていくと、数人のクラスメイトたちが談笑していた。


香織の呼びかけでクラスメイトたちが渚に視線を向けると、全員がギョッとした表情を浮かべる。


学級委員の佐々木さんが名簿から顔を上げる。



「全員リレーまではまだ時間があるからよかった....って!!??久里山さんどうしたの!?」


「どうしたのって何が?」


「血だらけじゃない!!何があったの!?」


「...あ」


渚は自分が血塗れなのを忘れていた。


すでに治った傷ではあるが、手のひらを貫かれて噴き出した血液は渚の体操着に赤黒い斑点を作っており、その腕や頬には血液が付着していた。


事件に巻き込まれたかのような格好の渚にクラスメイトたちや先生たちも慌てた。


どうしようかな...と渚が悩んでいると、達也が後ろから助け舟を出す。


「な、渚、また転んだのか?全くお前は昔からよく転ぶよな!」


「いや、流石に無理があるよ達也。」


香織の冷静なツッコミにクラスメイト全員がうんうんと頷く。


渚も正直「フォロー下手くそか!」と思ったが、渚が困っているのを察して下手くそなりにフォローしてくれているのだ。ここは全力で乗っかる!


「そ、そうなんだよ!屋上に僕のジャージが飛んでいってさ!取りに行ったらそのまま屋上から落ちちゃったんだ!」


「「「「嘘つけぇぇ!!!!!!」」」」


渚の全力のごまかしは失敗に終わった。


しかし今は体育祭、こんな事件っぽいことで中止になんてさせやしない!!


「着替えてくるねー」


「あ!ちょっと!!」


香織の静止も聞かずに渚は校舎にダッシュした。あわよくばこのまま血塗れの自分のことは忘れてもらえないかなと願いながら。



※※※



渚が着替えて席に戻ってくると、座席には達也と数人の男子生徒がたむろしていた。


「お、渚!血糊は落ちたか?」


「顔とか腕についたのはなんとかなったけど服の血糊は落ちなかったね。買い換えるしかないかなぁ。」


「しかしあそこまで盛大に血だらけじゃしょうがないか。」


渚が気分を凹ませていると、クラスメイトの男子その1が渚に話しかける。


「あの!久里山さんに彼氏とかは...」


「え、突然何?もちろんいないけど...というか元々男子だから男と付き合う気が起きないかな。」


「そ、そうなんだ...」


男子その1ががくりとすると周囲の男子たちがその1の背をさすった。


「まぁその、なんだ、どんまい。」


「これが高嶺の花だってことだ」


「というか、可愛すぎて元男子ってことを忘れてた。」


しかし、その中でも夢を捨てきれない男子もいるようで。


「あの!久里山さん!!体育祭で活躍するんで観ててください!!」


「え?あ、はい。頑張って?」


「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」


とある男子生徒が雄叫びをあげながら遠ざかっていく。その男子生徒とすれ違う人々は全員怪訝な顔をしていた。


「...ねぇ達也。今の誰?」


「お前知らないで応援したのかよ...まあ俺も隣のクラスの生徒の名前全員は把握してないけどさ。」


「つまり、達也も知らないってことだね。」


そんな会話をしていると、渚の出場する種目の集合時間がやってきた。


「それじゃあ行ってくる。」


「おう、心配してないけど頑張れよ!」


達也に見送られて入場門に集まると、そこにはすでに数十人の出場選手が集まっていた。


「はい、君は出場する人?名前は?」


「1年の久里山です。」


「久里山さんね、第二出走だから早く先頭に並んで!」


誘導されるまま先頭に並ぶ。どうやら渚が最後だったようだ。


『さぁ!次の種目は障害物競争!選手が入場します!!』


音楽と共に選手全員が入場を始め、トラックの内側に並ぶと走りを止めた。


『さぁ!始まります障害物競走!解説の校長は諸事情により校長室へ連行されておりますので、代わりに3年の城田くんと沼田さんに解説していただきます。よろしくお願いします。』


『よろしくぅ!俺の時代が来るぅ!!!』


『どうして...どうして私が...』


突如呼び出されたであろう選手宣誓の二人が解説席に座っていた。


城田さんはノリノリでマイクを掴んでいるが、沼田さんは疲れた表情で額を押している。



『それではコースの解説をしていきます!最初は20m走っていただき、その後に第一関門!10mの壁!!これを乗り越えていただきます!!』


実況の生徒の指をさした先を見ると、そこには大きく反り立った壁が地面から飛び出した。


この高校無駄に設備がハイテクだな。


でも高校生の体育祭の内容とは思えないんだよね。10mの壁を登るなんて達也でもできないんじゃない?


僕?僕はできるよ。


『登れないと思っているそこのあなた!安心してください!しっかり紐を付けているのでそれを使っても構いません!!』


狙ったかのように壁の上から垂らされた太い紐。周囲の生徒の安心したようなため息が聞こえた。


『登り終わったらそこからさらに走ってもらい、第二関門!!パン食いだ!吊るされているパンを口を使って獲得する!今回吊るされたパンはあの有名なパン工場のひげおじさんが特別に焼いてくれたあんぱんだ!!』


「「「おおぉぉーー」」」


周囲の反応を見るに、そのおじさんの手作りは相当な高級品らしい。


渚も俄然味が気になった。


『そして次が最後の関門、平均台渡りだ!!その上を落下せずに渡りきれ!!まぁ落ちたからといって失格にはならないが、平均台の横はローションプールで覆われている!!!落ちたらその時は...ヌルヌルのスケスケになるぞぉ!!!!』


『「「「「「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」」」」」』


観客席の男子生徒と解説の城田さんがスタンディングオベーションのように立ち上がり、歓声をあげた。


こ、これは...絶対に落ちるわけにはいかない...!!


『さぁ!第一走者から始めます!!位置に着いてください!!』


渚の前にいる4人が位置につく。なんと全員男である。即座に乾いた破裂音が鳴り響き4人が走り始めた。


紐を使って丁寧に登る4人。一人、また一人と登り切りパンに移った。


瞬く間にパンを加えた彼らは、そのまま平均台に乗る。




...かと思いきや、そのまま直接ローションのプールにダイブした。


「えぇぇー...」


渚は思わず声を上げてしまう。その男子生徒が立ち上がった時、観客席からブーイングが上がった。


男のヌルヌルスケスケの現場なんて誰が観たいんだと言わんばかりにブーイングが飛び交っている。


しかし、その後の男子生徒の行動に出走者たちは眼を剥いた。


なんと、平均台にローションを塗り始めたのだ。


彼は、自分を犠牲にして後の出走者たちをヌルヌルスケスケにしようというのだ。


彼の後には渚をはじめとした女子生徒が少なからずいる。


女子のスケスケを見るためだけに自らを犠牲にした彼の勇姿に観客席の男子生徒は称賛を送った。


「余計なことを...!!」


渚はどうやってヌルヌルを回避しようか悩みながら自分の出走を待った。



自ら飛び込んだローションによってヌルヌルになった男子生徒もなんとかゴールしたところでアナウンスが流れる。


『さぁ!全ての平均台がヌルヌルになったものの全員がゴール!!次に参りましょう!!』


実況のアナウンスが流れ、渚は立ち上がりスタートラインに向かう。


一緒に走るのは同学年の男子生徒1人と2、3年生の女子1人ずつ。男子生徒は何やら顔を赤くし、気まずそうに視線をあちらこちらに向けている。


そして一走目よりも男子生徒の視線が鋭いのは気のせいではないだろう。何せ二走目からは女子生徒がいるのだから。


『さぁ!全員が位置につきました!第二走目スタート!』


パンっという乾いた音が響くと同時に渚は飛び出した。


『おぉっと!最初に飛び出したのは1年の久里山選手!!』


そり立つ壁を登ることなんて渚にとっては困難のうちに入らない。紐すら使わずに登り切った。


即座に飛び降りると、次に向かって走り出す。


『おぉっと!?他の選手は登るのに苦戦しているようだ!その間に久里山選手はパン食いに入っている!!解説の城田さんどうでしょう?』


『さすがですね。私の伴侶にふさわしい』


『感想うすっ!!というかあなたの好きな人ってもしかして...』


『さぁ!久里山選手がジャンプし始めた!!目の前にあるのはメロンパン!!』



渚がパンを咥えようとジャンプを始めると、他の選手も渚に追いついてきた。


渚は目の前のパンを咥え、首を振って紐から落とす。


そして最後の障害物に向かって走り始めた。


『ここで一足先に抜けたのはまたしても久里山選手!!最後の関門はローションまみれの平均台ダァ!!!』


目の前の平均台は太陽の光にて照らされテカテカとしている。


渚は足元に全神経を集中させ平均台の上に足を乗せる。


少しでもバランスを崩せば渚はローションの海にドボンしてしまう。それだけは絶対に嫌だ。


渚は少しずつ足を動かし、すり足で平均台を渡り始めた。


「.......!!!!」


『おおっと!!久里山選手がじわりじわりと渡っていく!!他の選手も徐々に平均台へ着手しているぞ!!』


自分の足元に集中している渚は後ろに迫る人影に気が付かなかった。


男子生徒が渚の乗る平均台に足をのせたことで平均台が揺れた。


その瞬間、渚の足が滑った。


「あ」


「あ」


『あ』


ーードボン...


「...ゲホ、ごほ....やっちゃったぁ.....」


「「「「「「「ウオォぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」」」」」」


全身がローション塗れになった渚が立ち上がると、その光景に生徒たちが歓声をあげた。


全身がローションによってヌルヌルになり、体操着が身体にピッタリと張り付いている。つけている下着の形までもくっきりとわかってしまう。


『みなさん!サービスタイムです!!目に焼き付けてください!!』


とりあえず、実況は後でぶん殴ることに決めた渚であった。




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