装備と服
短めです。
土日だけ一日48時間とかにならないかなぁ...
クエスト終了後、メイ達3人は指をスライドさせて画面を操作し、【未確認報酬】欄を確認していた。
シルは手に入れた報酬を前に狂喜乱舞している。
「【ラジエルの聖衣】に【戒杖“アロン“】。...か...かっこいい!!」
【ラジエルの聖衣】・・・・天界で織られた聖なる衣。装備している間に使用する魔法スキルのMP消費を半減する。10%の確率で状態異常を反射する。
淡い水色に白いラインが入った全体的に明るい色合いのローブ、裾の部分には神秘的な意匠が施されていた。
【戒杖“アロン“】・・・・とある預言者が多用していた魔杖。攻撃魔法スキルの威力が15%上昇する。さらに1日に1回、戦闘時に『戒め』を敵にランダムで与えることができる。
シルの身長程度の長さの先に10個の輪がついた杖。その中心には握り拳ほどの大きさの宝石が埋め込まれている。
「ふふーん!いいでしょ!?」
シルは早速装備し、ナギに見せびらかした。
そうやらご満悦の様子だ。
「私は【双剣“高天原&黄泉“】と【穢ノ衣】だって!」
メイも獲得した装備に身を包み、手にした双剣をクルクルと回しながら眺めていた。
【“高天原&黄泉“】・・・・天と魔、それぞれの性質を持つ二対で一組の双剣。“高天原“は攻撃を加えた相手から25%の確率でMPとHPを吸収し自身へ還元する、“黄泉“は攻撃を加えた相手に25%の確率で状態異常を付与する。
白く輝く刀身を持つ“高天原“と黒と紫色の刀身を持つ“黄泉“だ。
【穢ノ衣】・・・・地獄の空気で変異した衣。影空間に潜ることが可能となる。また敵を引き摺り込むことも可能。その場合は対象に状態異常“穢れ“を付与する。
アサシンのような装いで上下で紫色の衣服に黒いマントを羽織っており、足には黒いブーツ、眼球の模様があしらわれた白いマフラーを首に巻いたメイは、全身を見渡した。
「なんだか本物の暗殺者みたいだね...」
メイの感想は淡白だった。
「わ、私がゲットした報酬は...【迎冥ノ袴】と【金棒“玄武“】?」
カエデが自身の報酬を確認しながら疑問の声を上げる。
【迎冥ノ袴】・・・・着用している者のSTR、AGIが20%上昇する。さらに魔法攻撃のダメージを30%軽減する。
上衣が亀甲模様の入った紫色、下が黒という色合いの武道袴だ。
【金棒“玄武“】・・・・ただひたすらに硬い金棒。任意のサイズに調整することができ、魔法攻撃を打ち消すことができる。破壊不可。
“玄武“は真っ黒の金棒で、素のサイズがカエデの身長よりも大きい。
見た目に加えさらに威圧感を与える衣装を手に入れ、カエデは大御所感が増した。
「ナギ兄ちゃんは何かゲットした?」
メイの質問に、ナギは何やら言い淀んだ。
「あー...まぁ一応は...」
「何その訳ありな感じ。何をもらったの?」
シルがナギの手元の画面を覗き込み、文字を読み上げる。
「【古代の藁人形】...?」
「説明がこれしかなくてさぁ...」
ナギは3人に説明書きを見せる。
【古代の藁人形】・・・・古の時代から存在する藁人形。譲渡不可。何やら呪いの残滓が...?
「これは...なんとも言えないね。というか私たちとの差が大きすぎる気がするんだけど」
シルの発言にみんなが頷いた。
僕の意見としてはEXTRAクエストの報酬だし、今後重要になるんじゃないかと考えているので特に文句はない。
しかし、結構長い時間プレイしていたので、ここはもうログアウトした方がいいだろう。
「これで終わりにしようか。」
「おっけーい」
ナギの合図に全員がそれぞれログアウトしていった。
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ログアウト後、すっかり日も落ちキッチンで夕食を作っていた渚。
夕食のおかずはチキン南蛮のため、下ごしらえをしていると、
「渚ちゃん。」
「ん?」
香織が話しかけてきたため玉ねぎを刻む手を止めずに香織の声に耳を傾ける。
「後少しで学校が始まるわけだけど...渚ちゃん忘れてることない?」
「忘れてること?」
渚が頭上に?を浮かべると、香織はとても真剣な顔で話し始めた。
「渚ちゃん。制服は?」
「......あ」
渚はタルタルソースをかき混ぜながら声を漏らした。
そういえばそうだった。
僕は女になったから、学校の制服も女子用のスカートとかになるのか。
というか...
「僕ってば市役所に届け出もしてなかったや。」
「え!?それは早くいかなきゃ!明日制服作るときに一緒に行くよ!!」
香織はテーブルの上を布巾で拭きながら声を張り上げる。
「えぇ....それくらいだったら1人でいけるよ?」
「だめだよ!!色々見なきゃいけないでしょ!?」
「色々ってなに?」
「なにって....そりゃあ色々だよ!!」
少し視線をそらした香織にジト目を向けるが、香織はへこたれなかった。
渚ははぁ..とため息を漏らす。
「わかったよ。じゃあ一緒に行こうか。」
「うん!」
渚の言葉に満面の笑みで答える香織。
「それじゃあご飯はもう少しでできるから待ってて。」
「はーい」
渚が声をかけると、香織はリビングへ戻っていった。
渚は香織の後ろ姿を見て微笑むと、揚げ物に取り掛かるのだった。
次回、女の子になります。




