魔界大罪魔将アモン戦〜後編〜
アモン戦、決着です。
メイたちが大きい悪魔と戦闘を始めた頃、
「えぇ...命を貰い受けると言っていた割に自分は高みの見物なの...」
ナギは数多の悪魔を斬り伏せながら、上空に漂う悪魔を眺める。
あのアモンとかいう悪魔は〔眷属召喚〕にて悪魔を生み出した後、上空から魔法で攻撃を仕掛けてくる。
自身に絶え間なく降り注ぐ魔法攻撃を回避し、カエデたちに降り注ぐ魔法は打ち消しながら敵を斬り続けるのは少し骨が折れる。
カエデもメイもそれぞれ大きい悪魔を相手にしているので、アモンの魔法で邪魔させるわけにはいかない。誰か1人でも死んだらクエスト失敗なのだ。
ナギはまず、大量の悪魔を一掃することに決めた。
上空にいるアモンは今のところ魔法を放つことしかしていないため、先に地上の悪魔を全滅させた後で大元のアモンを叩けばいい。
ナギは悪魔の首を斬り飛ばすと、穿血刃を下げる。
地上の悪魔の残りは100体ほど。
カエデとメイがそれぞれ相手にしている悪魔を抜いたら98体。
ナギは悪魔に向かって駆け出した。
ナギの接近に気づいた大きい悪魔は、ナギ目掛けて拳を繰り出す。
繰り出された拳を避け、刀を下から上に向けて振るいその拳を腕ごと斬り離す。
そのままナギは回転し、逆袈裟に刀を振るって胴体を両断した。
長剣で斬りかかる悪魔の攻撃を刀で受け止め、ナギは悪魔の腹部に蹴りをお見舞いするとナギは悪魔の頭へ刀を振り下ろす。
頭から両断された悪魔はナギの目の前で左右に分かれて倒れた。
次に三叉槍を突き出した悪魔の首に刀を突き入れ、そのまま持ち上げると頭上を一周させ地面へ叩きつける。
ナギは〔錬成武装〕でナイフを創ると地面に倒れる悪魔の額に突き刺した。
小さい悪魔は飛びながら爪で切りかかってくるが、〔龍鱗腕〕の手刀で突き刺す。
次々に襲いかかる小さい悪魔を拳で殴り、刀で斬り裂く。
悪魔の息を確認することなくナギは他の悪魔に斬りかかり、次々へ悪魔を屠っていく。
ときには〔龍鱗腕〕の拳で悪魔の腹を貫通し、ときには悪魔の首を持って振り回し地面に叩きつけ、ときには〔龍鱗脚〕で悪魔の顔面に膝蹴りをかまし刀で首を斬る。
そんな調子で次々に悪魔を倒していくと、気付いた時には残り悪魔は1体となっていた。
ナギは悪魔の胸に掌底を放ち距離を取ると、腰を落とし上段構えで全身を捻り、力強く踏み出して袈裟斬りに刀を振るった。
肩から斜めに大きく切り裂かれた悪魔はそのまま半身がずれ落ち、地面に伏せた。
目の前で光へと変わっていく悪魔を眺めながらナギは上空の悪魔に視線を向ける。
「我の出番だな。貴様は持ち堪えられるか?」
アモンは降臨するようにゆっくり降りてくるが、ナギは戦闘中にそれを待ってあげるほど優しくはない。
「はよ降りてこい。」
「は?ぐはぁっ!!」
ナギは〔龍の翼〕でアモンの上まで飛び上がり、両手の指を絡ませて組んだ拳をアモンの頭に振り下ろした。
頭を叩きつけられたアモンは逆さまに地面へ落下し、地面の直前で体勢を整えて降り立った。
「くそが...私の頭の殴りつけるとは...!!」
「やかましい」
ナギはアモンの頭部に踵を振り下ろすが、アモンは即座に後方へ跳躍し回避する。
ナギは地面に降り立った瞬間アモンに肉薄し、横腹に〔龍鱗脚〕の蹴りを全力でお見舞いした。
「ぬうぅぅぅぅん!!!」
「っっっっっ!!!がはっっ....」
蹴りをモロにくらったアモンは大きく吹き飛ばされ、地面に倒れることはなかったものの膝をつくほどのダメージを負った。
「ぐは...」
膝立ちで苦しむアモンにナギはゆっくり歩み寄る。
「大層な自己紹介の割に...」
ナギが拍子抜けしたように歩み寄りながらボソっと呟くと、アモンは苦し紛れに口を開く。
「...さすがは龍だ。産まれて間もないはずなのだがここまで強かったとはな...」
「これでももう産まれてから15年経ってるんだけどね、それと僕が強いんじゃなくあなたが弱いんですよ。」
「...なんだと?」
アモンはよろよろと立ち上がると剣を構え、ナギを睨みつける。
「龍風情が..馬鹿にしおって...!!!我を怒らせたことを後悔させてやる...!!」
ナギは剣を構えたアモンにじっと視線を向けた後、穿血刃を収納した。
「なんのつもりだ?」
手ぶらになったナギに怒気を漲らせたアモンは顔を眉間に筋を入れながら問いかける。
「これが僕の本来の戦闘スタイルだから。」
〔龍鱗腕〕と〔龍鱗脚〕を発動し両手を胸の前に構える。
「丸腰で我に勝とうなんて浅はかなやつだ。我の剣捌きを前に平伏すが良いぞ!」
そういうが早いかアモンはナギに斬りかかる。
ナギは剣に合わせて拳を繰り出すと、鉄同士がぶつかるような鈍い音が響く。
アモンは素早い動きで剣を振るうが、ナギは剣に合わせて拳や蹴りを放つ。
振り下ろされた剣を両腕で受けると、アモンの顎に蹴りを放つ。
蹴りを回避したアモンは横薙ぎに剣を振るう。
身をのけぞらせて剣を回避したナギはバク転をし後方へ退避した。
「先ほどから我の攻撃に合わせるばかり...威勢がいいのは最初だけか!」
突き出された剣を裏拳で強引に軌道から逸らし、ナギのもう片方の拳がアモンの頬を捉える。
アモンが後方へよろけたところでナギは回し蹴りを放つ。
蹴りはアモンの胸にクリーンヒットし、後方に吹き飛んだ。
「がはっ..はぁはぁ....」
背中から木に激突したアモンは肺から失った空気を再度吸い込んだ。
「威勢の割に大したことないね!こんな簡単な蹴りや拳もかわせないなんて!」
「なんだと!!!」
ナギのわかりやすい挑発に乗ったアモンはナギに向かって手元の剣を大きく振った。
首を傾けて剣を避けたナギは掌底を放ち、剣を弾き飛ばした。
「ふん!!」
渾身の力でアモンの鳩尾に拳を叩きつける。
勢いよく空中に吹き飛ばされたアモンは翼を出して空中に留まる。
「調子に乗りおって...!!しかし空中では手も足も出まい!」
高らかに笑うアモンのそばにナギは〔龍の翼〕で飛び上がると、アモンの背後にまわった。
「喜んでるところ申し訳ないんだけど...僕も飛べるんだよね。」
ナギは〔錬成武装〕で大槌を作り出し、アモンの背に叩きつける。
「ぐ...空中では我の方が強い!!」
先ほどナギが弾き飛ばした剣をキャッチしたアモンはナギに斬りかかる。
そこからは空中での激しい攻防が始まった。
ナギの振るう大槌とアモンの振るう剣が火花を散らす。
ナギの剣捌きならぬ槌捌きによる重い攻撃にアモンは翻弄される。
「さぁ!これでおしまい!!」
「舐めるなぁ!!!」
アモンの振り抜いた剣を大槌の一撃で砕くと、アモンの頭に重い一撃を喰らわせる。
地面に向かって落ちていくアモンに向けてナギは口から〔龍魔法〕“炎“を最大威力で放った。
空中でモロに着弾したアモンは焼き焦げになりながら地面に転がった。
「がはっ....」
膝をつき、アモンは地面に吐血した。
「まさかここまでとは...予想外だ...!!」
悔しがるアモンにナギは訝しげな視線を向ける。
「思ったよりもこのクエスト簡単...?」
ナギは思惑がだいぶ外れてしまったことに戸惑いを隠せない。
奴の初撃と名乗った肩書きで強いと判断したが、僕も見る目が落ちたか...?
師匠に怒られそうだ。
というかあいつ見た目がすでにボロボロなんだけど、まだHP半分切ってないの?
クエストのクリア条件が
【①敵のHPを半分以下にすること。②死なないこと】のどちらかまたは両方だけど、アモンはすでに満身創痍だよ?
「ナギ兄ちゃん」
「メイ、そっちはもう終わった?」
「うん、苦戦したけどね。カエデもシルも無事だよ。」
ナギは振り返ると、そこには笑みを浮かべた3人の姿。
「まさか他の悪魔を全て倒した挙句、この悪魔を1人で圧倒するなんて予想外だよ。」
とシル。
「さすがは師匠ですね!私もこんなふうになりたいです!」
とカエデ。
「クリア条件は満たしているけど、どうなのかな?」
メイは何やら思案している。
ナギはひとまず、アモンにとどめを刺そうと歩み寄る。
その時、
「無様ですね、アモン。」
空からナギの正面にアモンを庇うように降り立った黒い影。
「貴様は...!我の邪魔をしに来たのか...!!」
「あなたの邪魔なんて意味のないことはしませんよ。というか、あんな大見得切っておいてこのザマですか。」
「予想が外れただけだ!大したことはない!!」
「あなたごときが半覚醒状態の彼女に敵う訳ないですよ。あの方ですら彼女には苦戦するのに。」
黒い影は女性だろうか、アモンを担いで引くようだ。
「逃げるの?」
ナギは黒い影に問いかけると、彼女は振り返らずに言った。
「私が参戦したところで後ろの人たちはともかくあなたには傷一つつけられませんよ。そんな負け戦を続けるのは無意味です。」
そう言って彼女は森に向かって歩き始めた。
森に入る直前、彼女はつぶやいた。
「では、またいつか。」
そう言い残して彼女はアモンとともに消えた。
『EXTRAクエスト【魔界大罪魔将から生き延びろ】がクリアされました。
クリア報酬は自身のメニュー欄下段の【未確認報酬】よりご確認ください。』
次回、報酬確認です。




