第8話 戦闘訓練 実践演習 其の壱
「それでいいのか?」
「はい」
武装自体が重量の少ない内容にしたのもありフットワークは軽い。
「それじゃ、行くぞ」
「はい!」
桜葉さんの武装は、肩にドラグノフというスナイパーライフルを担ぎ、背中にはポールという長棍というマイナー武器を背負っている。
桜葉さんについていく。
ハイペースだが体力が少しついてきたのか、あまり疲れを感じなくなった。
「体力は温存、ゾーンはできるだけ抑えろ。できるだけ居合で済ませるんだ」
「分かりました」
ついたのは、住宅街。
そこで再び違和感を感じる。
今までよく見てきた、いわゆる既視感を感じるが思い出せないからので思考から除外する。
遠くから何か聞こえる、耳を澄ます。
集中だ。
今まで感じたことない気配だ。
ほとんど存在がないに等しいような。
「ヴァ~」「ア~」「ウ~」って唸っている。
全くもって、その集団から心音が聞こえない。
これは確実に・・・
「ああ、ゾンビの行列だ。昨日言った通り、今日はあいつらの討伐だ。
ゾンビは脳味噌を潰さなきゃ意味がない、覚えておけ。
最後に忠告だ。躊躇するな。
そいつらは死んでいる、人じゃないんだ。躊躇うな」
「・・・がんばります」
二分後、奴らは僕らに気づく。
桜葉さんは屋根に伝いを移動しながらの安置狙撃。
僕はまだ何もしない。
目を瞑りただ奴らの気配に集中する。
僕は耳がいい節がある。
足音で距離を測りなが、僕の間合い射程内との距離を測る。
最前列が僕の間合いに入ったら、
シュラン!
柄に添えた手に集中しスゥッ!っと刀を引きながら一閃する。
後ろのやつを巻き込めたが、そいつらは切っ先が当たっただけでまだ浅かった。
バックステップして距離をとる。
あいつらは再生能力は強い。
けれど関節、神経は直せないらしく、神経を絶つとそれは死と同義のようで。
アキレス腱を斬れば動けない。パチィィィィンと、斬る時の感覚とは違う嫌な感触を感じる。
頭を潰す。
躊躇している暇なんてないほどに、雪崩のように押し寄せてくる。
刀の特性は引くときに斬る。ということは回りながら斬りつけると引き斬りとなる。
舞うような動きをする。
返り血は少ない。血が凝固してしまっているようだ。
しかし、血が腐っているらしく、腐臭が吐き気や頭痛を催す。
集中力が途切れそうになっても、皮肉にも腐臭の刺激で脳を覚醒させる。
「・・・・ッ!」
そして集中力と覚醒を繰り返し息が上がり始めたとき、視界は右に倒されていく。
けれど、こんな所・・・・で!
ダァンッ!
力の抜けた右足で地面を叩く。
体勢の崩れそうな低姿勢を維持し、蛇行するように地面を翔ける。
(ま、その実、倒れそうなのを堪えながら走ってるだけだけどね・・・!)
低姿勢の僕から繰り出される斬撃は、刀の峰。
峰打ちを打撃として繰り出す。
刀の斬撃は、引きという動作あるため簡単に切れる。が、そもそも刀が扱いずらい武具。
が、峰を使った打撃武器なら話は別だ。
刀の自重を使ったただの鈍器は腐った肉骨を、砕く。
関節。膝を砕き、肘を砕く。
そうして少しずつ、しかし着実に潰してきたゾンビに・・・






