第2話 暗殺者
「それで、ぼくはなにを?」
「ああ、しっかりと説明をする。がその前に、飯にしないか?」
「やっぱりお腹すきました?」
「ああ。死にそうだ」
「ははは、それじゃあ、そうしましょうか。」
改めて、僕は佐藤 俊介という。
未踏の地に迷い込んでしまった僕は、一悶着ありながらも、男性と行動を共にすることにした。
その男性は桜葉と名乗り、完全武装している。
妙にスナイパーライフルが様になってる男性だ。
「おい」
「はい、ありがとうございます」
あったかそうなスープを差し出される。
匂いは香ばしく、食欲をとてもそそる。
その味は、豚骨で出汁をとったような濃厚さと、昆布のようなあっさりとした出汁を感じさせ、からっぽだった胃の中を癒していく。
とても染み渡るような味だ。
「・・・お前はどこから来た。」
「モグモグ、・・・・あそこの丘からですね。」
「あっちか?」
桜庭さんが僕が来た方角に指を指す。
「はい。」
それを聞いた桜葉さんは訝しそうな顔をする。
それと・・・・感心した表情もした。
「記憶は?」
「あることにはありますよ。」
「ここに来た記憶がないようだな・・・」
急に断定してきた。
もしかして、というよりも僕の直感が当たっていたようだ。
「桜葉さんもないようですね」
「その通りだ。」
さてどうしたものか。
が、さっきの桜葉さんは警戒色が濃かった。
その原因と武装の理由を結ぼうと思考を回す。
「なんで武装しているのかと考えてるか。」
そんなあからさまだったか、修行が足りなかったかな。
「俺は殺し屋だ。善良な市民は殺さん。」
「殺そうとしましたよね?」
「それは警戒し過ぎていた。許してくれ。」
「今は気にしてないですよ」
それにしても、現実にいるだな。殺し屋はファンタジーか小説の中に限ると思ってたけれど・・・。桜葉さんは殺し屋か。けど武装し続ける理由にはならないとは思う。
「質問の途中だったな。この世界は、人が死んだ末にゾンビになってうろついている。」
「けど僕見たことないですよ」
「肉体が腐敗して、体の原形をとどめていればゾンビなる可能性が高い。」
「だからこそ火葬する?」
「そういうことになるようだ。」
「・・・・桜葉さんは、ここを根城としている感じですね」
「そうだ。」
「食料はどのような感じで?」
「なんか動物っぽいの射殺してる」
サバイバルか。なんか頼りないような気もするが。
まぁ、居候の身だ。贅沢も言っていられないだろう。
「動物っぽいのというのは?」
「ウサギに牙つけてみたり、牛に翼生えてたり・・・」
「あっ、もういいです。」
結構、ファンタジーだな。まあそれはさておき、
「この後どうします?」
「まずはお前の戦闘訓練」
よし、真意が読めない。
残っていたスープを飲み干した桜葉さんに聞く。
「戦闘訓練ってなにするんですか?」
「多少の自衛戦闘位は心得といて損はないだろう。ついでをいえば、ここを出るにしても、侵略されても俺一人じゃ心許ない戸いうのが正直なところだ。」
「ある程度の基礎はあると思います」
祖父に、柔術、剣術、空手などは教わってきた。
「わかった。強引だが3日ですべてとは言わないが吸収してもらう。それは覚悟しておけ」
「了解しました」
「明日がある、今日は寝ろ。そこの麻布を使え」
「はい。」
外を見れば真っ赤な空にいやに黄色い月が二つあった。
だがそんなことに突っ込む前に、急に瞼が重たくなり景色が横倒しになった。
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