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勇者の説得

ジェイド、ついに勇者とご対面。

しばらくはトミーの前世にお付き合い下さい。



なんと形容すればいいのだろう。



きらびやかな鎧を纏っているわけでもない。

装飾品のついた剣を身につけているわけでもない。

際立つ美貌というわけでもない。



ただただその美しい佇まい。


何もかもがお互いを高めあい、調和しているかのような

形容し難い美しさを秘めた彼を見てジェイドは、

「神だ……」と一言呟き、呆然としていた。



フリーズしてしまったジェイドの前に屈み目線をあわせ、

「お~いジェイド君、戻っておいで~」とツンツン頬っぺたをつつく、アシナ=ジョージ。



「はははい!今日も健やかに過ごせますこと、美味しいご飯をいただけますこと、感謝しております」


と、両手を前で組み跪くジェイドに




「ちょっとジェイド君?膝が汚れるじゃない、はい立って」と促すミナ。




混乱中のジェイドは言われるままに立ち上がり、キラキラした目でアシナ=ジョージを見上げる。





「何で拝んでくれたのかはわからないけど、ちょっと君とお話したいんが今の時間って大丈夫?」



「はわゎ!神様じゃないんですか?」




「はぁ!?ちょ……」



「ふふっ、ジェイド君、彼は神様じゃなくて『神の使徒』勇者様よ!」




「…………………」




「あれ?白眼むいちゃったょミナさん。

とりあえず村の外に連れてこうか。皆に聞こえていい話じゃないしね」



「わかりました。アル、ちょっと出てくるわね」




「おい、俺も連れてけよ。ジェイドが心配だし」



よっこいしょ!とジェイドを抱っこしてアルが先頭にたち村から少し離れた大樹の木陰に座った。





「久しぶり、アル。剣の修理代だいぶ貯まった?」




「いや、それがなぁ~~」



「それも含めてね、この子が正気に戻ったらお話するわ」





ジェイドが意識を回復するまでに3人はお互いの近況報告をしていた。



やはり噂どおり、増えた魔物のせいで地方に行くほど困窮してるらしく、ギルドや騎士達への嘆願書がひっきりなしだそうだ。


危険度が上がったため行商人たちも寄り集まり資金を出しあってベテラン護衛を頼み、各村を回っているため、どうしても価格も跳ねあがる。


魔物の襲来に怯え、物資の不足・価格の高騰……

王都から離れるにつれその困窮具合は増す。



勇者パーティーは一刻も早く旅に出たかったのだが、このご時世だ兵糧など物資の補給が儘ならない。

ただでさえ食糧が足りていないのに行く先々の村にお願いするわけにもいかず、どうすれば……と悩んでいたのだ。



噂で聞いた『隣国の辺境の村』というのは、この村と同じように数年前にダンジョンが発見されて発展し、冒険者もたくさん立ち寄っていたのに、壊滅状態だったらしい。



「この村もジェイドが居なかったら同じ運命を辿っていたと思うわ。総数4000を越えていたみたいだし」



「あぁ、こいつのおかげで俺も助かったんだ」





そんな話をしていた時、ふとジェイドが目を覚ます。




「ふぁ~~!僕、勇者様に話し掛けられた夢を見ちゃった♪」




「おっ?おはようジェイド君。もう大丈夫かい?」



「…………………」



「ちょっとちょっとジェイド君!」

ぺちぺちと頬を叩かれ正気に戻る。





「え?夢じゃないの? 何で僕?」





「おうジェイド。先に俺の服とか出してみてくれや」



「あ、うん。どうぞ」





「ほれ、ジョージ。見てみな」




スラッと抜いた剣を見せる。




「素晴らしいよ、綺麗になおってるじゃないか」




「コレ、こいつのアイテムボックスに収納してもらったらこうなった」



「え?どういうこと?」




「わからん。まったくもって意味不明だ……」





「勇者様………」





ジェイドにとって、アルたちは憧れの存在だが、勇者様ともなるともう雲の上の人だ。

またもや両手を前で組み放心する。




「あっ!ごめんごめんジェイド君。

俺のことは、ジョージって呼んでね。俺は君に逢いに来たんだよ」



「僕、何かやらかしたんでしょうか?」





「違うよ、君に聞いて欲しいんだ。もうすぐ魔王が復活するんだ。そのせいで世界中で魔物が増えてたくさんの人が困ってる。

君の村にもたくさんの魔物が押し寄せただろう?

そんなことがあらゆるところで起こっている。

俺たち勇者パーティーはそんな人たちを救い、魔王をやっつける旅をするんだけど、ぜひ君に助けてもらえたら……と思って、こうしてやって来たんだよ」



「でも僕、魔法が……」




「君には戦ってもらうんじゃなく、俺達を守って欲しいんだ。

アルが素早く村に逃げ込めたのは君の力だよ?

そして魔物たちが村に入って来れなかったのも君の力だ。

そして一番頼みたいのは、荷物係……

君が怪我しないようにパーティーの仲間全員で必ず守るから、お願い出来ないかな?」



「荷物係……ですか?」




「そう、荷物係……っていうとなんだか馬鹿にされたと思うかもしれないけど、とても重要で、しかも誰にでも出来るわけじゃないんだ。

平和な時なら着いた村でまた食糧を仕入れたりと出来るんだけど、今はどこでも……食糧が足りてないんだ。

そして、毎日魔物に怯えて暮らしている。

一刻も早く旅に出たいんだ、君の助けが必要なんだよ!」




「僕がお役に立つならご一緒させていただきます!」




「ありがとう。君のご両親は反対しないだろうか?

とても危ないことに君を巻き込んでしまうけど」




「う~ん、畑の手伝い手が無くなるからもしかすると文句言うかもしれない。

でも僕は5歳から畑の手伝いしているけど、弟たちは全然手伝ってないんだ。

だから弟たちがちゃんと手伝いすれば大丈夫だと思います」




「じゃあ、村長さんにも立ち会ってもらってご両親に説明に行こうか」




「はいっ!」











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