困惑と絶望からの希望
「……ダンジョンマスター……?」
「あっ、はい。どうぞよろしくお願いします♪」
「そんな簡単に姿を見せていいの?冒険者の人達に見つかったら大騒ぎよ、大丈夫なの?」
「リヒトくんは人に害を為そうという気持ちが無いから平気だよね♪あのね、ダンジョンマスタールームにさ、魔族の人が押し入って来てて強引にリヒトくんに色々命令してたんだって。
4年前のスタンピードもその魔族の人が無理矢理やらせたんだって。
でも、魔物さんが全滅しちゃったから、また一からポイントを貯めなけりゃ〜でしばらくコツコツ貯めてたんけど、ようやくまたスタンピードを起こせるほどに増えて来て、どうしようと思ってたところに、僕が部屋を訪ねたんだ。
で、その魔族の人とお話したけど問答無用で襲ってきたからやっつけちゃった」
「「「…………」」」
「本当に、ジェイドさんには助けられました。ありがとうございます!
ぼくは……わけもわからないまんま何故かあの場所に居て
『生物の命を奪えば多くのモノを手に入れる事ができるようなポイントが入る』とだけ言われて。
争いたくなんか無い、ただのんびりと暮らしたかっただけのに。。。
どうしようと思ってたら、ある日ダンジョンに入って来てすぐに慌てて逃げていった人がいて……
そしたらそれでも少しだけポイントが入ってきたのがわかって……
で、薬草やら果物なんかをいっぱい植えて……
出来るだけ人を傷つけないようなダンジョンにしようと頑張ってきました。
ゆっくりゆっくり成長して、ポイントもたくさん貯まってきたところに魔族が……。
ぼくの相談役の花妖精のブルーメを人質にとられてもうどうしようもなくて、あの時言われるがまま大量の魔物を生み出しました」
はじめて知った驚愕の事実、みんなはただただ目を見開くばかりで言葉も発せなかった。
「あの時さぁ、どこかの辺境の村にもスタンピードがおきて、冒険者諸とも村が壊滅した……って話があったでしょ。
もしかすると、それにも魔族さんが関わっているんじゃないかしら?わからないけど・・・
世間一般の噂では、ダンジョンマスターって極悪非道で人々が苦しむ姿を見て喜ぶような、酷いヤツっていわれてるけど、リヒトくんみたいなダンジョンマスターだっているんだもん。
全部が全部そうではないかもしれないけど、もしかすると何割かはそんな風に無理矢理関わっているかもしれないね」のほほん
まずまず、ジェイドが無事に帰ってきて一安心だが、やっぱりジェイドを一人にさせると大変なことになるね……と、みんなは思ったとか思ったとか。。。
思わなかった……事は無い!ったら無い!
リヒトは、気が付けば薄暗い部屋にぽつんと佇んでいた。
わけもわからない、何故?ここはどこ?ぼくはダレ?と動悸のはげしくなった胸をおさえ、考えた。
しかし、何も思い出せない。というより、白紙のままいきなりこの世に生まれた。……いや、存在した。
そこにうすら明るく浮かぶ画面に書かれた文字を見て戦慄した。
人をあやめる………これは絶対にしてはいけない!と、記憶は無いのに魂が憶えているかのように拒絶反応が出た。
まずは名前を決め、後の相談役となる妖精ブルーメをルーレットで決めるように指示された。
自分の名前を決める時、ふとある光景が浮かんだ。
顔もボヤけて誰かはわからないけど、男の子が、ふんす!とそっくりかえって
「やっぱりダンジョンマスターの名前はリヒトしかないっしょ!」……と。
よし! んじゃ、リヒトにしとこう。。。
次は相談役のモンスター、なるべく怖い人が出ませんように……と願いながら。。。
召喚された愛らしい妖精、戦闘力の無さげな姿にがっかりすることもなく心が和んだ。
(良かった♪ ごりごりの戦闘民族が出てこなくて。
しかし、この子和むなぁ〜〜♪
名前、何にしよう?やっぱりお花だから……)
「君の名前はブルーメ♪」
というと、ブルーメは満面の笑みで可愛く手足を動かし、くるくると舞った。
マスタールームに花の香りが漂い、たくさんの淡い色の花が咲いた。
「うゎぁ、ありがとうブルーメ。とてもいい香り」
そうしてそれから二人は、静かに穏やかに過ごしていた。魔族が現れるまでは………
そんな話を聞きながら、どうしたもんか……と悩んでいたジョージだが、アルとミナにばったり出会い、相談することにした。
自分たちはいわゆる旅人、トネリ村に住んでいるわけでもダンジョンを攻略しようとしているわけでもない。
やはりこの地で暮らしている人々の意見を聞いた方が良いと。
詳しい話を聞いた二人は
「良いんじゃない?特にいやらしい罠を仕掛けたり悪どい事をするわけでもないんだし、普通にダンジョン経営するんだったら」と言った。
現在トネリ村に住んでいる冒険者たちは人の善い者達ばかりだから特に問題は無いでしょ、でもマスタールームの近くには、強力な魔物をおいといた方がいいわよ♪と、助言した。
こうしてリヒトは受け入れられ、ジェイドに感謝する。
ジェイドと言えば
「もう、スッゴく素敵なダンジョンだったよ♪貴重な薬草やら珍しい果物なんかがいっぱいあってね、魔物さんたちもとっても可愛い子が多かったの♪」と上機嫌でみんなに話している。
みんなは、やれやれ……と、ため息をついた。
「やっぱりジェイドを一人にさせるととんでもないことをしでかすよなっ(笑)」
「えぇ?僕、何にもしてないよ」
いやいやいや……と呆れ顔のみんなに、きょとんとしながら首をかしげた。
「ま……まぁ、ジェイドもひとりで冒険する事に少しは慣れただろうし、これでヨシ!……ということで」
村長にも挨拶をし、ダンジョン産の果物をみんなにごちそうして過ごした。
「じゃあ、国王様にご挨拶して魔界に向かおうか、たしか極東のキャンベラ大森林の向こう側だったよね、ジョージさん」
「あぁ、あの試練の洞窟のアドブルー®️(?)氏が言ってたな。
あの森林を抜けるだけでも相当厳しいらしいから、みんな油断せずに進もうね♪」
「「「「「お〜〜!!」」」」」




