転移夢想
ガイの家をお暇したあと、アンリやセシルの家にもお邪魔した。
アンリは大家族で、たくさんのちびっこ達に囲まれとても楽しく過ごした。一度、小さな子に高い高いをしたら、ボクもボクも〜とわらわらと集まって来た。そのあとも、もっかいもっかい!と、何度も要求され、果てしない幼児パワーにたじたじだ。
セシルの家に着いた時、思わずジョージは
「動物園か!!」と叫んで、ペンギンのような動物に飛び蹴りを食らっていた。セシルに留守中の出来事を報告してるのか、やんややんやの大合唱だ。
2家族とも明るく穏やかで、ジェイドは小さな子ども達やかわいい動物達に囲まれてとっても癒された。
「はぁ〜〜 もう少しここにいたい……」
「はははっ!ジェイドはホントにおっとりしていて性格もいいなぁ。・・・魔王討伐に誘ったりして、ゴメンな……」
「えっ?ジョージさん、僕はとっても感謝してるよ♪
この……長閑な光景は、ジョージさんをはじめとした、冒険者の皆さんが一生懸命築いたからじゃない!
あの辺境の村の人たちも、魔物に怯えて絶望してたのにあんなに笑顔で♪僕、すごく嬉しいの♪何度でも言うよ、僕を誘ってくれてありがとう!」
「かぁ〜!ホントにジェイドには癒される。
そうだね、少しでもみんなが過ごしやすくなるように……よし、今夜もお勉強会だっ!」ぽふぽふ
「ぅえ〜〜(涙) うん、でも頑張る♪」きりっ!
「じゃあ次はミカとジェイドのところだな。そうだ、ジェイドは転移石で転移する感覚を覚えとけよ。後でそれも練習しよう!」
「えぇ?転移石無しでも転移できるの?」
「あぁ、出来るよ。ミカも2〜3人くらいなら出来るんじゃない?多分。
それはね、大勢になると魔力以外にもみんなの念が入るから集中出来にくいんだ。だからこのメンバーで、どこに行くかとか目的をしっかりさだめておいたらミカなら4〜5人位までは行けると思うけどね。
例えば、盗賊からの救出クエストとかの時はいくら大声でみんなに大丈夫だ・助けに来ました!と言っても大混乱さ……
そんな中で魔法使うから、膨大な魔力と集中力が必要。ミカは魔力がネックだし、俺はなんと言っても集中力がさっ(笑)
ふんぞり返ったヤツを見たら、イラッとするし(笑)
だからそんな中でも使えるようにジェイドにはがんばってもらうつもり♪」
「そっかぁ……いくら大丈夫だ、助けに来た!と言っても、全然知らない人が来ただけだもんね。
そりゃ助けて!とか、我先に!とか……お母さん!とか、色んな思いが混じりあってるよね。
よし!そんな人たちも救えるように頑張る♪」ふんす!
じゃあ色んな場所をしっかり把握してイメージ出来るようにね♪と言われて、自分なりにむんむん言いながら考えている。
前を歩くジェイドを見ながら、ジョージがミカにこっそり話しかけた。
「なぁ、ミカ、ジェイドに独りダンジョンさせてみようかと思うんだけど、大丈夫かな?」もにょもにょ
「えっ?ジェイドの村のダンジョンに?まぁ5階層までなら安全だって言ってたけど・・・もしかしてもっと下層までアタックさせる気?」ひそひそ
「うん・・・
今はさ、ほとんど俺達が討伐してるし、ジェイドが闘う時でも、こっちが指示を出してる事が多いじゃないか。
絶対実力はあるんだ。だが自分で立ち回る事をもっと覚えないと・・・もし独りになった時、自分が指揮官になった時、闘いに迷いが生じたら困るだろう?一瞬の判断が生死をわけるんだから」
「独りにって、でもそうね…… ダンジョンの魔物は好戦的だから心配だけど、確かにジョージの言うことも納得ね。
ついつい気になってあれこれ助言してしまっていたゎ、反省」
「俺だってそうだし、みんなジェイドを気にかけてるよ。よし、とりあえず10階層のボス部屋前までにしようか。
そこまでで慣れてきたら一緒にボス部屋に入ってみんなで戦闘して、いけると思ったら次はジェイドひとりで闘わせてみよう」
「そうね、いきなり最終階層はいくらなんでもダメね。
それじゃ、ダンジョンに入る前にしっかり教えないとね、ケガして集中力がなくなってヒール出来ないとかなったら大変よ、トラウマになるかも」
ダンジョンでの心得などを聴きつつ、試しに転移を発動するように言われた。
「イメージするんだ。村の門やいつも遊んでいたところ……しっかりイメージするんだ!」
目を瞑りながらもしっかりとイメージ出来たので、頷く。
「よし、転移してみろ」
そっと皆が肩に手を置いたのがわかった。
【転移!】
「成功だぞ、ジェイド!」
「ふぁぁ〜〜!」
恐る恐る目をあけると、懐かしい風景が見えた。
みんながポンポンとジェイドの頭を叩いていく。
「この調子で、どんどん行ける場所を増やして行こうな♪」
「でも……出来ないからこそ転移石なんかが発明されたはずなのに何故……」
「前にも言っただろう?魔法はイメージが大事。
……この国の……と言うか、魔法のある世界では、『習う』だろう?だけど、俺は魔法の無い世界から来た。
だが、ファンタジー小説やアニメ、漫画があって魔法やスキルってものが自在にイメージできる。
そりゃもうこの世界の魔法概念を覆すほどのド派手な魔法がてんこ盛り♪それに気付いてからは俺も頑張ってるんだよ。
少しでもジェイドにたくさん教えていけるようにな!」どやっ
「たくさんなの?覚えられるかなぁ?」
「おぅ!……俺の出来うる限りを愛するジェイドに叩き込んで行くよー♪
ほら、みんなに自慢したいのさ!ジェイドはこんなに素晴らしい子なんです♪って」ぷにぷに
「ふふっ、ジョージさん、ほっぺが痛いよ♪ありがとうございます!
僕、自分のためにも苦しい思いをしている人のためにも頑張ってお勉強する!」
「おぅ!頑張れ。
そして今からジェイドにミッションを与える。
独りでダンジョン潜ってこい」
「え?」




