試練の洞窟
ふぁ〜〜っとあくびをするジェイドは、半分寝ぼけ眼でふらふらと歩いている。
アンリは余計なことを言えば、また跳ね返って来るのがわかっているので、口を閉ざしているがからかいたくて仕方がない。口をむずむずさせている。
「ねぇジョージさん、僕たちどこまでいくの?その村があったとして、何か発見出来るのかしら?」
「ルーメンの近くに、試練の洞窟が在るんだって。それをクリア出来れば究極魔法が取得出来るんだ♪」
「!!究極魔法!?」
「優しく強い心を持ち、正しい行いをすれば手に入る……と。易しいようで難しいだろう?何が何やらさっぱりわからん」
「う〜ん……とにかくチャレンジしてみなきゃわからないね♪」
「そうだな……ちょっとドキドキしてきたよ」
「ジョージさんならきっと大丈夫だよ♪いつも皆さんの為に頑張ってるもの」
しばらく話しながら歩いて行くとルーメンらしき村(?)に到着した。
「おじさん、こんにちは♪ここはルーメンですか?」
「おや、いらっしゃい、可愛い旅人さん。ここは昔、ルーメンという村だったんだが今では少し発展してネオルーメンって名に変わったんだ。泊まりかい?」
「うん、お泊まりしてそれから洞窟にいくの♪」
「おぉ!あの洞窟かい、昔はたくさんの冒険者の人が挑戦したみたいだなぁ。誰もクリア出来なくて今ではあまり行く者もいないぞ。詳しいことは冒険者ギルドに行って聞けばいいな、気をつけてな」
「分かりました、ありがとう♪」
案内板を見ながら冒険者ギルドに向かう。
クエストボードを見ながら、比較的平和だねぇ〜と話していると、バタンと扉を開け、青年が誰かを探すように辺りを見回した。
そしてがっくりと項垂れ椅子に腰を落とす。
まわりの人たちは声をかける者もおらず、ただひそひそと話をしていた。
「お兄さん、どうしたの?みんなが心配しているよ?」さすさす
「ん?あぁ、ありがとう。ふん、他の奴等はみんなオレがギャラガーを殺したと思ってウワサしてるのさ。君もそばにいると何だかんだと言われるぞ、ありがとな」
「え?どうして?お兄さんが此処に入って来たとき、期待と不安が混じった、何かに祈るような雰囲気だったよ?そんなお兄さんを見ても、殺しちゃったなんて思っている人は、自分が仲間を殺したいって思ってるからだよ、人は自分の考えから似たような答えを出すもんだから。だからみんなそんな事思ってないよ、で、ギャラガーさんはどうしたの?」
「ありがとう!……あの日、前日にパーティーの事で意見が分かれてな、ここで大喧嘩したんだ。といっても口喧嘩だけどな。そして翌朝ボア狩りをしてたら、気付けばあの洞窟の前まで来てたんだ。そしたらギャラガー、オレはクリアして大魔導師になるんだ!って。止めとけよ、って言ったんだが……どうしてもチャレンジする!って言い張るから、じゃあ好きにしろよ!って売り言葉に買い言葉みたいになって……
ぅぐっ!も……もう3ヶ月近くなるんだ!」最後は涙がつまって怒鳴るような声になった。
「……そうなの。安易に大丈夫だなんて言えないけど、そこは試練の洞窟なんでしょ?だったらコチラと時間の流れが違うかもしれないし……、頑張っているんだね、ギャラガーさん♪」
「あぁ……ああ!きっと頑張ってるんだ!これでチャレンジ失敗なんて言ったら大笑いしてやるさっ!」
男と別れ、皆のところに戻ってきたジェイドだが、眉毛は下がっている。
「どした?ジェイド。変な顔だぞ?」
「今、あのお兄さんのお話聞いてきたんだけど、お友達が洞窟に入って3ヶ月も戻って来ないんだって。ジョージさん、3ヶ月も待つのたいへんだよね?」
「う〜ん、そうだな。とりあえず全員で入るか?どうなるかはわからないけど……」
文献には、試練の洞窟が在り、挑戦するも失敗に終わった。としか書かれていない、1人でしか入れないのか、それともみんな一緒に入れるのか?
とにかく行ってみようという事になった。
洞窟は黒い口を開けている。
「れっつごぉ〜〜♪」
「緊張感なんもなし(笑)」
むにょんっと違和感は感じたが、そのまま入って行った。
「あれ?あれ〜〜?ジョージさぁ〜ん!ミカさぁ〜ん!誰もいないぞ、困ったなぁ〜」
『試練を受けるや否や?』
「セシルさん、チャウダーくぅ〜ん!どこにいるのぉ〜〜!?」
『試練を受けるや否や?』
「もぉ〜〜!みんな迷子になっちゃったよ、仕方ないなぁ!」
『試 練 を 受 け る ん で す か !』
「わぉ!びっくりした。いきなり話しかけないでくださいよ、びっくりしたなぁもぅ!どちら様ですか?」
『さっきから何度も試練を受けるか聞いてますよ!さぁどうしますか?』
「あっ、そうだったの?ごめんなさい♪僕ジェイドって言います、よろしくお願いします!受けますけど、その前にひとついいですか?」
『おや、なんだい?』
「ここにギャラガーさんって人はいますか?長いこと帰って来ないから、お友達が心配しているの」
『あぁ、あのある意味チャレンジャーなオトコね、いるよ。何度も失敗しているのにもう一度もう一度ってしつこいったらありゃしない』
「おぉ、頑張ってるんだ♪でもお友達がものすごく心配してるから帰るように伝えてくれます?」
『わたしが何度も言っているけれど、聞く耳もたないよ、彼は!君が言ってくれるかい?』
「え〜〜自信ないなぁ。」
『じゃ、ヨロシク!』
え〜〜〜!と叫ぶジェイドのそばに1人の男が現れた。
「あれ?」
「あっ、こんにちは♪僕ジェイドって言います。よろしくお願いします。あの
……冒険者ギルドでギャラガーさんのことを待っているお兄さんがいるの。もう3ヶ月もの間、毎日毎日……早く帰ってあげて?」
「ラムダが?いやしかし……ここで究極魔法
を手にいれられなかったらラムダと共に冒険ができなくなる……」
「お兄さん、そんな事思ってないよ!ひたすらギャラガーさんのことを心配して待ってるんだよ。ねぇ帰ってあげて?」
『ふむ……ギャラガー、君は何故究極魔法を望むのかい?』
「オレは落ちこぼれなんだ。一生懸命努力しても、ちっとも上達しない。いつまで経ってもDランクだ。ラムダは……すでにBランクの基準を満たしているのに昇格試験を受けようとしない。だからあの日、もう解散した方がいいんじゃないかと言って怒られた。いつもオレが足を引っ張ってんだ!」
「パーティーってそんなモノなの?僕、丸々4年かかって、ようやくDランクに上がったトコロ。他のメンバーはみんなSランクとAランクだよ。でも誰も僕のこと邪険にしないよ、逆に過保護かしら?と思う事があるけれども。まわりの、外野はほっといてラムダお兄さんのことを信じていればいいんじゃない?そんな風にお互いを信頼してて2人で切磋琢磨してるから、きっと羨ましいんだよ、ふたりが仲良しさんで♪」
「ふっふぅ……ぅぶっ!ぅわぁ〜〜ん!」
泣きじゃくるギャラガーに背中をとんとん。
『ギャラガー、君に残念賞を上げよう。不得手なのは水属性か?水属性のレベルを上げておこう。君の努力次第で雷属性や氷属性が生えて来るかもしれんぞ』
「きゅ……究極魔法……は?」
『バカもん!……究極魔法はな、ある使命を帯びた者だけが取得出来るんだ。永い時を経ていつしか、試練をクリアしたら究極魔法がもらえるんだよ〜〜という風に伝わってしまっておるんじゃな、伝言ゲームの恐ろしさ……ため息』
「良かったぁ〜!これで大手を振って帰れるね♪お兄さんにもよろしく言っといてね♪」
「うん、ありがとうジェイドくん、これからも精一杯努力するょ!」
何度も何度も振り返り、手を振るギャラガーに、ぶんぶん手を振り返した。
「どうもありがとうございました。良かった♪」
『ふむ、しかして君はどんなお礼をくれるんだ?』
「え?」
『お願いします、ギャラガーさんに帰るように伝えてって言ったよね?で、ギャラガーは帰ったぞ。大サービスの魔法レベルアップでな。さて、どうする?』
「あ〜〜!ホントだっ!ありがとうございました♪」にこにこ
『どうするんじゃ!? 』
「お礼と言っても僕、お金持ってないし……
う〜〜ん、あっ、とってもすごい薬草があるんだけどどうですか♪ホントは上げたくないんだけど。。。これがあれば百人力ね、無問題♪あ〜〜……ただ、ジョージさんに錬金術習ったんだけど、自信ないなぁ。神さま、失敗してもいいですか?」
『わたしは神さまではない、管理者だ。』
「なんてお名前ですか?」
『……アドブルーだ。錬金術を習っているのか?』
「そうなんです。ジョージさんは、地球って星から勇者召還でみえたんですが、そこは科学が発達しててあらゆる素材の成分と配合を教えてくれるんですけど、難しくて……(笑)
他にも魔方陣とかも教わってます!
僕ね、魔法が苦手で攻撃魔法でも生活魔法くらいのしか発現できなかったんだけど、ジョージさんが教えてくれて災害級の魔法まで放てるようになったの♪ジョージさんってすごいでしょ♪」
『ほう?一度見せてご覧?』
「ここでですか?はい、分かりました♪
【……ラムウ!】」
ピッシャーン
パリパリパリパリ
ドゴォォ〜〜ン!
ひゅぃんひゅぃんひゅんひゅん
【……台風16号!】
ごおぉぉお〜〜!
びよぉ〜〜!
ざぁ〜〜!
『………究極、いらないんじゃない?』
「あっ、はい、特には。」
『何しにきたの?』
「え〜〜っと。ギャラガーさんを探しに♪」
『ふふふ。では君には敢闘賞で、創造を上げよう。材料は無くてもいいが、錬金術のようにきちんと成分を理解したうえでしか使用できないが。そのまま何でも創造出来るよりその方が良いだろう』
「ありがとうございます?」
『何で疑問形なんだっ!(笑)』
「でも本当にギャラガーさんの件、ありがとうございました♪」
『ははは!彼にはわたしも難儀してたからな、こちらこそ礼を言うぞ。しかし、今の魔法、凄まじい威力だな。だが名前が変。何で16号?』
「最初は、タイフーンにしようか?って言ってたんですが、強い魔法なんで、鼻に抜けるようなフーンよりはもっとこう、腹に力が入るような言葉はないか?ってコトで、16『号』に決まりました♪」
『かなりいい加減な感じでまともな大魔法が使えるんだな(笑)』
「イメージが大事って言ってたの♪」
『ふむ、ならば創造は最適かもしれんな』
「そうですね♪たくさんお勉強して、いろんな材料が何で出来てるか、調べてみます♪」
『うむ。頑張りたまえ。だが、いくら創造を極めても美人の彼女は創造できんぞ』
「あははははっ♪」
では、……と管理者と別れ歩いて行くと、やがて外に出て皆と合流した。
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