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建国の礎

キ〜〜〜




パタン



『さぁ、試験は全て終わった。後は結果発表だが、3日後だ。んじゃ解散する!』




ざわざわとする者達を気にする事もなく、すたすたと歩いて行く。


憔悴した様子のイーブンに、ミラージュが尋ねる。

『ねぇ、クソオヤジや兄上たちは?』


『……い…… 一瞬で蒸発した………』



『!!』


ふらふらと覚束ない足どりで遠ざかるイーブンにミラージュは何も言葉をかけられず、ただその姿を見つめていた。




『……イーブン、我が恐ろしいか?』


『いえ……、あっ!いえ、さすがに恐ろしくはありますが……それよりもっと恐ろしいのは、人を蹴落とし、死に到らしめる事にも嬉々として何の罪悪感も持たないヤヌス様がたでございます』


『ふん!しかしヤヌスのヤツ、みんなで協力して我に総攻撃をかけようとしてるとは思っていたがまさかに我を殺そうとは思わなんだ。ちょっと再起不能な位殴り倒して一兵卒としてこきつかってやろうかと思っていたが………

まぁ致し方ないな』




ハイともイイエとも言えず、ただ深く深く頭を下げたイーブンだった。





3日後、まだまだ動揺が収まらない受験生の面々に魔王が御言葉を述べた。


『皆の者、よく来た。これよりこの、魔国における人事異動を発表する。その前に、前宰相のヤヌスだが、我を殺害しようとした故、その命を以て償わせた。』


全員の顔に緊張が走る。


『ギュアヌ!』


『はっ!』


『お前は将軍となり、軍を率いてもらう。その者に合った才能を伸ばし、最強の軍にせよ』


『はっ!有り難き幸せ』


『ノート!』


『は……はいっ!』


『お前は第一部隊の隊長を命ずる。この第一部隊は、補助魔法のエキスパートだ。ギュアヌともよく相談して訓練に励め』


『はい!ありがとうございます!』


深々と礼をし、涙ぐむノートに、ギュアヌが優しい眼差しで微笑む。


それからも続々と人事発表があり、最後に


『それでは宰相だが、ミラージュ。お前がやるのだ。

ミラージュ、その方のその洞察力、恐れ入った。我が唯一の魔王であることを見抜いたのであるからな(笑)

ここに皆の者に言おう!我がこの世界に生まれ落ちたその日より何万年もの間、我こそが魔王である!その事を此処にいる者達には伝えよう。我こそが唯一の魔王である!』


『『『お〜〜!!!』』』



『よし、解散! 皆、それぞれ案があろうが、よくミラージュと相談して、成果を上げよ!良いな』


『『『承知いたしました!』』』



その後は思い思いに歓談しあい、それぞれ案を出しあった。


『良かったなノート。お前が頭痛と戦い、鼻血を出しながらも頑張った成果をちゃんと認めて下さって。これから私も精進しなくては。一度皆にバフをかけてどのくらい差があるか、検証して見なくてはな!ダッシュした瞬間、敵が遥か後方にいたら困るからなっ(笑)』

『兄上!ふふふっ』


ぽんぽんと優しくノートの頭を撫でるギュアヌ、いつも気になっていた。

バカにされ、小突かれていたノートを、しかし表立って庇えばその反動はより激しくなる。


陰から見守るしかなかった。


穏やかに微笑むノートを見て、本当に良かったと心から思った。


『んじゃ、ミラージュ、後は任せた!イーブン、行くぜぇ!』


『お待ちください魔王さま、どちらへ行かれますのか?』


『散歩だよ、散歩♪はぁ〜〜頼りになる参謀が出来てこりゃまたラッキー!』


『魔王さま……まだまだ決め事が目白押しでございますよ?何を戯けた事を仰ってるんですか!』


『え〜〜。。。きちんとした宰相を決めたら後は任せて大丈夫だと思ったのにぃ!

はぁ〜〜ダラダラしてぇ!』



『お遊びになるのはきちんとこの国の礎を築いてからでございますよ、さぁさぁ!』


『はぁ〜い。。。』とぼとぼ


『しゃんとなさりませ!さあ執務室に行きますよ!』


ぐだぐだの魔王を連れて執務室に向かうミラージュ。

その瞳には希望が灯っていた。


その横で嬉しそうに弾むイーブンを見て、

『お? お前の幼なじみというのは、このミラージュのことか?』


『はい!ミラージュさまはまるで魔眼でも備わっているように物事の真偽を見極め、公正なお方です。本当に尊敬できる方なんです♪』


『お願い、頼むから敬語は止めて。魔王さま、イーブンは厳しい境遇にも負けず、いつも前向きに立ち向かって来ました。間違っていることはきちんと間違っていると言える男なんです。そもそもイーブンは』


『あ〜〜!もういいから!』


『ふははははっ!仲良くやってくれや。じゃあなっ!』


すたすたと去る魔王に一言……


『魔王さま!』


『ちっ!ダメか……』






それから国中に告示した。

ミラージュの冷たい視線に人々は畏れを抱き

ギュアヌの逞しい身体に頼もしさを感じた。

ノートやイーブンには、親しみを覚えた。

元来、魔族の性格とは、魔王の小型版であるため、好きに生きて気にくわない者がいれば、ぶっ飛ばす。しかし、いつも蹂躙できる者達を探してまわるほど好戦的な者はいない。

告示発表の場でも、《ふ〜ん、いぃんじゃね?》《なんかわからんけどいいか、面倒くせぇ》と軽く納得している。



しかし、それに反発する者もいる。

好戦的、嫌人思想の者は人知れず国から出奔した。

弱腰だと魔王に不満を持ち、ストレス発散のため手当たり次第暴虐の限りを尽くした。


国防軍がそれを防ぎ、多大な犠牲を払ってなんとか保っている。





争いは、目に見えて激化してきていた。










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