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選抜試験・学科

`


** 試験当日 **


ヤヌスは、総勢36人を引き連れやって来た。

筋骨逞しく、立派な鎧を装備した者から、コツンとつつけば倒れてしまいそうな弱々しい者までいる。


『これで全員か?』


『はい、あとはまだ幼い者もいますが、幹部候補には年齢が達しておりませんので省いております』


『よし、わかった

全員整列!

4列で背の低い者が前に、全員の顔が見えるようにならべ!』


ざわざわと、困惑ぎみに並んでいく者達を見ながら、イーブンが何かを書き記している。

それをヤヌスがギリギリと射殺しそうな眼で睨んでいる。


『ではイーブン、各々の名を聞いてプレートに書いて渡していけ。

ヤヌス、お主はこの《真偽の紙》に家系図を書いていけ。

未成年で、ここには来ていない者には△で囲んでそれらも全て書け。

そして最後に、〈これが我が血筋の者の全てである〉と書くのだ。

わかっておろうが、《真偽の紙》に嘘を書くと。。。』


『ひぃっ!!

ま……魔王さま、申し訳ございません!

他に3人、下働きの者に生ませた子がおりますが、何れも大した能力も無く、わたくしめの子とは認めておらぬ者が……』


『チッ!!

掘り出し物があるかもしれんから、我が見極めるために全員連れてこいと言ったであろうが!

まぁ今回はよしとするか。

おい、そこの受験生ども!その3人のことを知っている者はおるか?』


困惑する受験生の中から一人、手を挙げた者がいた。

しっかりと魔王を見つめ、何か言いたげだ。


『何だ?何か聞きたい事があるのか?発言を許す』


『許可をいただきありがとうございます。

では早速…… 魔王さまの仰られる掘り出し物……とは、どういう意味で御座いましょうか?』


『ん? 掘り出し物は掘り出し物だ。

まぁ、こう言ってはなんだが、ヤヌスは力至上主義のケがあるからな、腕力に劣る者を下に見る傾向がある。

しかし、どんなに腕力や魔力が人より優れていようと、武器防具、食事や住居が無くてはな。

力では劣っておっても、そういう才能がある者もおるかもしれんから、全員連れてこいと言ったのだ』


『魔王さま、ありがとうございます。

では、もう一人……

父上も知らない子がおります。

その子の母親が、知られるのを恐れておりますので名は明かせませんが、父上が真偽の紙で傷付くのは忍びないので、申し上げておきます』


『なな……なんとっ!!』


『ほう? ではヤヌス、あの者が知っている隠し子……とでも書いておけ(笑)』


『はい! 御配慮ありがとうございます』


『よぉ〜し! 試験を始めるぞ!

言っておくが、試験用紙も真偽の紙製だ。嘘を書くと大変な目に遭うぞ!

例えば……おい!そこの一番後列のガタイのいいやつ!

ホントの趣味はお裁縫なのに戦闘です……とか答えたりしたら痛い目に遭うからなっ(笑)』


えぇ〜〜っと目を見開く男にヤヌスが

『ギュ……ギュアヌ!貴様という奴は!!』と叫んだ。


『父上っ!滅相もございません!』とあわてふためく(ギュアヌ)



『おいおいヤヌスよ…… 今のはただの例えだ。

物を撫でても壊してしまいそうなソイツの趣味は誰が見ても戦闘関係だろうが、その方が面白……いや、本人の心の中までわかりはしないだろ。

中にはそのような……親の期待とは違う思いを持っている者もいるかもしれん。

皆の者、今回の試験では、回答用紙は我が一人で見る。

もちろん、一族の者や親にも告げることはない。

だから本心を書け!

我に媚びようとか、こんなことを書けば処罰されるとか、そんな思いは捨てて、自分の熱い思いを書け!

今は身体が弱く、力が劣っていようと、いつかは将軍になりたい!

とか、

一族からは、末は将軍……と言われて称賛されているが、本当は田舎で農家でもしながら家族と静かに暮らしたい

とか、

誰でもない自分自身の本心を書いてもらう。

この試験に〈正解〉は無い。

よって、解答ではなく回答してもらう。

思う存分自身の夢を描け!

別に、世界征服するでも魔王になるでも絵描きになるでも……なりたい自分と得意なモノを答えてくれ。』


『『『承知!』』』


『では、始めっ!!』



(………… この魔王さまの御言葉を真実とすれば。あるいは、人材を求めておられるのなら……私の夢も叶うかもしれない! よし!思いの丈を書いてみるか♪)


静寂の中、カリカリと用紙に筆記具を走らせる音だけが響く。

悩み、唸るものも出て来て、ホントの心の中までは本人にも気付かないんだろうなぁ……とイーブンは思った。

今まで宰相様に強くなれ強くなれ!って言われてきて、本人もそれが当たり前になってきてるからそれが自分の意思だと思い込んでいるのかもなぁ。


と、魔王さまがヤヌスの方を見て、手招きしている。


慌てて側に近より、小声で御伺いをたてる。


『魔王さま、如何なされました?』


『おい、お主も試験を受けたらどうだ?面白い答えがあるかもしれんぞ?』


『お戯れを……わたくしはこの魔国の事を一番に考えております故』


『どのようにすれば一番良いか、己自身でもわからぬであろう?自問自答するには良い機会かもしれんぞ。纏まりがつけばおのが発言にも重みが出るからな!』


『そうでござりますな!ではわたくしめも』


いそいそと、問題を読みつつ回答用紙に書いていく。



しばらく経って魔王さまが声を発する。


『あと、半刻程で終了だ。慌てるなよ、その後面接をするからうまく書き表せなかった者はそのときに質問するからな。ゆっくり考えろよ、その方がまとまるからな』


やがて刻は過ぎ、魔王さまから終了の宣言があった。


『よし、皆の者、回答用紙を裏向けて置け!そのまま退場!』


そしてヤヌスは……

『おい、お前達!ちゃんと戦闘が好きだと書いたであろうな!? よもや……よもや裁縫などと!』ワナワナ


『……父上、将軍になるため日夜努力していると書きましたよ……』


『あ ヤヌスに好き好きポイント1点!』


『魔王さま……』


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