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スタンピード


この村の近くのダンジョンは、地下24階まで攻略されている。



その中でも地下5階辺りまでは比較的低ランクの冒険者でも安全に攻略できる。



スライムや耳ウサギ、ファングシープなどの倒し易く、素材もまぁまぁ需要のある魔物がほとんど。


それに、薬草や毒消し草なども生えていてそれも採取すれば、節約しながら充分生活ができるので、初心者たちが無理をおしてまで下層に行かずに、地下5階まででしっかりと実力を付けてから潜っていける。




だからこのダンジョンは生存率が高い。


スリルや生命のやり取りを好む冒険者には物足りないかもしれないが、安定した収入を望む冒険者からの人気は高い。




このダンジョンを長期間攻略している人たちは、じっくりしっかり着実に実力をあげている。


そして、村の人々はそれを自分の身内の事のように喜び、応援している。



なので、たまに訪れる乱暴者の冒険者はだんだん居づらくなり去って行く。



という、好循環で村はとっても平和である。







最近、薬屋に絶えず貼り紙がしてある。



【薬草買い取りします】


【1枚からでもOKです】




「あれ?最近はダンジョンの薬草が減ってきたのかな?」




不思議だなぁと思いつつ、いつものように畑の手伝い・周辺での素材集め・お遊び……等をした帰り道、たずねてみることにした。




「ねぇねぇ薬屋のお兄さん、最近ダンジョンで薬草とれないの?」



「おやジェイド君じゃないか。 いつもお家のお手伝い頑張ってるネ。

いやぁ~薬草がとれないわけじゃなくて、最近何故だかケガをする人が増えてねぇ。

いつもなら出会っても逃げて行くような小さな魔物が不意に襲って来たりするらしいんだ。

だから少しでも在庫を増やそうかと思ってね。

なんだかちょっと不気味な感じだからジェイド君もあまり遠くまで遊びに出ちゃダメだよ?」



「ふぅ~ん、そうなんだ。

僕、少しなら薬草持ってるよ。

門から少し行ったところにけっこう生えてるんだ。

はい、どうぞ♪」


30枚ほどの薬草を出す。




「良いのかい?ありがとう、助かるよ。………って!!

うぉ~い! ジェジェ……ジェイド君、この薬草すんごく高品質なんだけど!

それなのにこんなにたくさん売ってくれて大丈夫なのかい?」



「うん、まだあるし、また明日も薬草取りに行くから大丈夫」



「ありがとう、ホントに助かるよ。じゃあ銀貨60枚ね」




薬屋を出て家に向かっている途中、奇妙な音がした。






ひゅぅ~~ひゅぅ~~


ドォォーーン! ドォォーーン!





音がした方角はダンジョンの方で、

空には2つの花火が上がっていた。








いつも陽気な冒険者のお兄さんが、険しい顔でポツリと呟いた。






「……スタンピードだ……」




……と。




'


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