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サーティラット殲滅

`


「ああ……夢ではないのか!?

リック殿、やっと貴方に謝罪できる。オレのじいさんが、ひいじいさんからずっとずっと聞かされて、オヤジやオレにいつかリック殿に会えたら、どうか約束を守れなかった事を許してくださいと、伝えてくれと……」


『ん?何故に謝罪などと?』


「ひいじいさんは、マックというんですが、」


『マック?ムックの息子の?』


「はい、幼い頃にはリック殿によく遊んでいただいたと……

ミックじいさんが亡くなってから、ムックじいさんは2~3年毎にリック殿のもとを訪れていたと思うのですが。

ちょうどリック殿に会いに行こうと街を出たところで、魔物から猛スピードで逃げて来た荷馬車と衝突し、大ケガを負いました。

なんとか一命はとりとめましたが、なかなか意識を取り戻さず、回復してからも左半身が思うように動かず……

2年程そういう状態が続き、家族総出で看病しましたが、ある日突然『頭が痛い』と言って昏睡状態になったそうです。うわ言で、リックリックと呼んでいたと聞きます。

それからひと月程してムックじいさんは亡くなりました。

葬儀を終えて、マックじいさんは樵小屋に向かったのですが、既にリック殿の姿はなく、小屋も荒れ果てていたそうです。

じいさんはその当時はまだ産まれてなかったのですが、マックじいさんからずっとその時の話を聞かされていたそうです。

最後にはいつも涙を流し『ワシがもっとはやく会いに行っとれば……』と、言っていたそうです」


ミックの子孫は自分の事など知りもしないのでは……と思っていたのに、探してくれ語り継いでいてくれていたという喜びで、リックは何か言おうと思っても、涙が溢れそうになって、ひと言も発する事が出来なかった。


「やっぱりそうだったんだ♪あの日、リックさんが『お前達から懐かしい匂いがする』って言ってたでしょ?

その日、僕と他の仲間が共通して接した人って、おじさんしかいなかったから、もしかして~って思ってたんだよね、僕たち♪」


『ぬっ?聞こえてたのか』


「ええ、そうなんです。しかしあの時はエビデンドルムを採取しに行かなくてはならなかったし、それが落ち着いてからギルド長にお話しようと思っていたんです」


「どういう風に声をかけたらいいかと悩んでたんですが……(笑)

あっさりジェイドがここに誘ってくれて。何も伝えず会ってもらった方がいいかな?と、そのままお誘いしました」


「前に一度ギルドに来ておられただろう、気配を消して。あの時は遠くから見ていた事もあり、狼らしい気配……という事しかわからず、てっきりジェイドくんが心配で同行している、セシルさんのお仲間かと思っていました。

その頃は、あの討伐依頼のあった緑色の狼の件があって……まさかリック殿ではないか?と気が気でなかった事もあり、その場で気付かず申し訳ありませんリック殿!」


『いや、反対に今とても驚いておる。オレとは一度も会った事もなく、ただ毛色だけでわかったのかと。そして、諦めてもおった。ミックも去り、ムックも居なくなって誰もオレの事など覚えておらんと思っていたのに……

この数十年、何度この街を訪れたいと思い、しかし怖かったのだ。もしあやつらの子や孫に出逢えたとしても、恐怖や憎悪の目で見られるのではと……

まさか探してくれていようとは。ありがとう!』


「良かったねぇ、リックさん♪この前の、昔話をしている時の顔がすごく優しくて、きっとミックさんたちと素敵な日々を過ごしてたんだろうなあ~って。だからどうしてもギルド長のおじさんに会ってもらいたかったの♪だっておじさんはとてもいい人だから」


「君たちには本当に世話になったな。もし君たちがこの街に来ていなかったらと思うと背筋が凍る。

原因も治療法もわからない奇病でたくさんの人が亡くなり、鉱山からは魔物が溢れでて……なによりリック殿と出会えなかった。どれ程の感謝の言葉をつくしても足りないよ」


『そうだな、オレもあのまま洞窟の中で死んでいたかもしれない』


「……どういう事ですか?」


「あのね、リックさんは例の緑色の狼と間違われて冒険者さんから攻撃をうけたの。

でも一切反撃せずにずっと避けてたんだけど、たくさんの冒険者さんから一斉攻撃されて、ケガしちゃったの。で、鉱山の中に逃げ込んでたトコロ、僕と出会ったんだ♪」


「この前の狼の討伐が終わった後に、そこにいた冒険者の面々には伝えました。

反撃しなかった事を覚えてくれていて、大半の者が謝罪の言葉を言ってましたよ。

一部の、魔物は何でもヤってよし!とニヤついていたのが、この前お伝えした奴らですね!」


「………ふふふ。なるほどな」


『「「「ぅわ!悪い顔が2つになった!!」」」』


それから、ギルドラックの子供の頃の話とか、森の中の珍しいキノコ(珍味)が密かに群生している場所の話とか、ジェイドがやらかした(人助け)話とか、和気藹々と食事をしながら話した。



コンコン!ガチャ


「こんばんは!ジェイドくん居ますか?今日、採掘に来なかったからどうしたのかな?と思って。さっき灯りがついたから伺いました」


「あ~~!ごめんね、今日は薬草をとりに行ってたの。伝えるの忘れちゃった」


「あ~うん、ジェイドの事だから風邪ひいたりはしてないとは思ったけどさ、まだこの街を出るとも言ってなかったし、どうしたのかな?と思って。元気そうで良かった♪

……あ!ギルド長さん!」


「やあ、こんばんは。最近頑張ってるね。君たちもそろそろ魔物討伐に出る予定かもしれないけど、もうしばらくは採掘の方をお願いしてもいいかな?

ちょっと厄介な魔物が出てね、ベテラン冒険者だけで討伐に向かう予定なんだよ。だから少しの間は街から出ないようにしてくれな!」


「わかりました!少し余裕も出来たし、今度ギルドで戦闘訓練受けようと思ってます。オイラ達、まだ魔物と闘った事が無いので……」


「うん、エライ!冒険者登録をしたらすぐに討伐に行きたがる奴らが多いから困ってるんだよ、ギルドとしては(苦笑)

まだ魔物の習性やら地形の利もわからないうちに、バンバン出向いて命を落とす者がホント多い。本人と街の将来の為にも、君たちみたいな考えの冒険者が増えると良いなと思っているんだ♪」


「恥ずかしながら、オイラ達も最初はそう思っていました。ランクアップしたから、ゴブリンでも倒しに行くか!って。

でもジェイドに、採掘で上がったランクは討伐で上がったモノとは別物だから、しっかり準備を怠らないように……と言われて、そうだオイラ達って魔物と闘った事がなかった!って。

ランクが上がったら、自動的に強さも上がったように勘違いして……

ジェイドが言ってくれなかったらオイラ達、まだ働けないチビどもを残して死んでしまうところでした」


「ジェイドはホントにしっかり見据えているよな。チームのみんながきちんと教育してくれているからだろうが、本人自身も素直な心がないと、いくらまわりが言ってもなかなか身にしみないもんだ。とてもいいチームだと思う」


「くくくっ!オレたちの中で、ジェイドが一番しっかりしているかもよ♪なぁリーダー(笑)」


「ふふっ、いやホント。俺が暴走するといつもジェイドに窘められる(笑)

なんかホントに9歳かな?と思うよ♪俺の国では『身体は子供、頭脳は大人』という少年がいたけど、もしかして、ソレ系?とかたまに思っちゃう♪」


「え?そんな子がいたの?」


「ああ、悪の組織に薬を飲まされて小さくなってしまったんだ♪」


「え~~怖い!

う~ん、僕の考え方は生まれ育った村に来てくれている冒険者さんからの受け売りだと思うの。村の近くにあるダンジョンは、5階層までは比較的安全で初心者用だし、薬草や毒消し草、キノコなんかもたくさん生えているらしくて。

ミナさんやアルさんたち上級冒険者の人が、無理して下層まで行かなくても、それなりに生活は出来るからそこでじっくり実力が付くまでは降りちゃダメって言ってくれてるの。

だからみんな着々と実力をつけてるよ♪」


「そういう教育をちゃんとしてくる人がいるのは助かるな♪」


「私達姉妹は子供のころに両親を亡くしたの。やはり大変な思いをしたわ。不慮の事故でも……ムックさんの家族もそうだったでしょ?

冒険者は自分から危険に向かって行くのだから、しっかりと自分の実力を見極めないと、遺された家族も悲惨な目に遭うからね。

ミナもアルも、1人でも多くの『自分たち』を出さないように、うるさがられてもみんなに伝えているのね」



今夜はまだジェイド達の家に厄介になり、サーティラットの件が片付いてからラックの家に行く事になったリック。

ラックは、もうちょっと待ってねと言いながら「婚約者にリックが見つかった事を伝えなくちゃ!」と走って帰った。


「さあ、早く休もうか。サーティラットは数が多そうだから体力をしっかり回復させておかないと」


ちょっとウキウキした気分を抱きながら各々の部屋に戻った。



翌朝、全員でギルドに向かい、しばらくするとAランク3名とBランクから選ばれた4名が集まった。

ざわざわと話し声がしていたが、ギルド長が現れると全員が話をやめ、注目した。


「みんな、依頼をうけている最中の者もいるだろう、申し訳ない。

近頃発生していた奇病の原因がわかった。サーティラットを知っているだろうか?アイツに噛まれたことで、じわじわと筋肉が冒され死に至る病気だ。

幸い特効薬が出来て、昨日で病気の方は鎮静化出来たが根源であるサーティラットを討伐しなくてはならない。おそらく、数百匹いる可能性がある。心してあたってほしい!」


「「「「「はい!」」」」」


「尚、君たち以外にこちらのパーティーの6名にも加わっていただく」


「よろしくお願いいたします。チームアシナガのリーダーのジョージです」

「「「「「よろしくお願いします」」」」」


互いに挨拶を交わしあう。


そこにニヤニヤ笑いながら

「おいおい、そこのチビガキがまさかAランクって言うんじゃないだろうな?そんなガキが行けるんなら俺達だって行けるだろうよ。どういう基準のメンバーなんだ?コレ」と、いちゃもんをつける冒険者達。


冷笑を浮かべたジェイドがそちらを向き、

「クスッ。おじさん達、上っ面の背丈や服装で判断してたら、そのうちドエライ目に遭うよ?

もし僕が、某国の王子様だったりしたらチビガキとか言っちゃって、おじさん達どうなるのかな?ちゃんと気配ぐらい読めるようにならなくちゃ。

現に、こちらの選ばれた人達は、僕を見ても怪訝な顔もしないし文句も言わないでしょ?もっともっと精進してね♪

まぁ僕は代々続く由緒正しき貧乏農家の出だけどね。あっ!それとランクはEランクだよ♪」と言い放った。


王子様と聞いて青くなり、その後単にバカにされただけだとわかった面々が、今度は赤くなり怒鳴ろうとした時に、選抜されたAランクBランクの人達が口を挟んだ。


「失礼だが少年、本当に君はEランクなのかい?そのオーラはどう見てもBランク以上、Aランクと言っても過言でない気がするのだが?」


「流石はオレが選んだ選抜隊だ、よく見抜いた。

こいつは初クエストが4日前。初日で青菫石とるわ大量のミスリルとるわで、メグがDランクにすると言ったのを断ったヤツだ。で、Eランクのままだ。

2日目は27頭のナックルマーラ、3日目は115頭のナックルマーラを狩った。

しかも時間にして1時間弱、115のうち10頭は普通のより一回りもふたまわりも大きく、極めつけは高さが5メートルを超えるような巨大マーラだった。

アルミニュームを3日……実際には、1日半で1400Kg程もとってきた。

出来るか?お前らに。アルミニュームを採掘しながら、ナックルマーラを140頭以上も仕留めるなんて事がよ。ランクが上がったからっていい気になって粋がってたら、あっという間にみんなに追い越されるぜ」


ギルド長に窘められ、言い返す事も出来ずジェイドを睨む。


「おじさん達、僕を睨んでもランクも実力も上がらないよ?お互い精進しようね♪」


天然の毒舌だ……と、誰かが呟き、みんながうんうん頷いた。



「あー!ボウズ、やっと会えた。この前はありがとうな。もう、カミさんも息子も大喜びでお前さんに食べてもらってくれと、クッキーを預かってきた。それと、ミスリルのお礼にもならんが矢をプレゼントしようと思って」

「ジェイド坊!おかげで助かったよ、ありがとう!これはお礼の矢だ。矢は消耗品だからいくらあってもいいだろうとみんなで相談したんだ♪」


次々と坑夫や護衛達が、矢と手作りの品や果物等を持って集まってきた。


「うわぁ~!皆さんありがとう♪こんなにもらって良いのかな?ホントにうれしい!今日も採掘に行くんだよね、頑張ってね♪モグちゃんたちにもよろしく言っておいてください。本当にありがとう♪」

ぶんぶん手を振り、見送った。


「さぁ、そろそろ行くか。みんな噛まれるなよ!それと、どこかにどす黒い宝石があるはずなんだ。見つけ次第、ジェイドを呼べ」


「おじさんが持っても大丈夫だって♪」


「い・や・だ!オレは悪いヤツだからなっ!」


「「「どういう事なんだい?」」」


「あのね、その石が魔物を異常繁殖や凶暴化させてるんだ。人間には影響無いんだけど、とても悪い人が触ると魔物化するって言ったら、おじさんオレは悪いヤツだって言って触らないの(笑)」


「それは……確かに触りたくないな!」



そんな話をしながら、アンリ達が地図に落としてくれた場所まで来た。


「よっしゃ!集中しろよみんな。散開」


「みんな気を付けてね【噛まれないように】」


「ジェイド、こっちおいで。あそこらへんわかるか?」


「あっ!わかる。20……3匹いるね!」


「イメージとして、一本の矢が23本に分かれて、アイツらに刺さるような感じで放て。出来たら凍らすか痺れさせる感じで。やってみ」


薄く目を閉じ集中するジェイド。小さく凍れと呟きながら矢を放った。


絶命したのが21匹、後の2匹は脚に擦って半分凍っていた。


う~ん……もうちょっと集中しなくちゃ!と思っていたが、パーティーのみんなは絶賛だ。


「マジか、凄いなジェイド!初めてでこんなに命中するなんて」


「そうなの?2匹失敗しちゃったのに」


「そもそも見えない場所を気配で感じて倒すってのは、一本でもなかなか難しいのに、それを21本も、しかも初めてで。凄いとしか言い様がないよ♪」


「きっとみんなは誉めて伸ばすタイプなんだね♪調子に乗らずに頑張るよ、僕」


(((((いやホントにスゴいんだって)))))


「まぁ、そんな感じでやって行ってね♪」


「わかりました!」


そうして倒していってると、ふいに背後から悪意が現れた。

振り向き様に30本に分かれた小さな矢が放たれるのと、あらゆる方向からの「ジェイド!!」という叫び声が重なった。


ファイアボールとナイフが凍り、力なく地面に落ちた。

そしてその向こうで絶叫する男達。

ネズミ用に小さな矢ではあったが、刺さった場所から凍ってきている。胸や頭に当たらず幸いだ。


「お前ら、一体どういうつもりだ!仲間を殺そうとするなど許されないぞ!ジェイド、大丈夫だったか?」


「だからこの前も言ったように『ヒャッハー状態』は、気配が丸わかりなんですよ♪」


「いぎぎ!いてぇよ!殺そうとだなんて!ちょっと驚かせようとしただけだ、ぐああ!」


「ちょうどいい機会だ、しばらくそこで凍っとけ。

ジェイドはホントに気配を読むのが上手だなぁ♪いっそのこと頭にぶち当ててやれば良かったのに、優しいな♪」


「あれだけ魔物並みに殺気を振り撒いてたらバレバレですよ、現に皆さんも気づいていたでしょ?」


やっぱり天然毒舌だ……と、みんなが思ったとか思わなかったとか。


痛がろうが、みんなに放置される冒険者達。しっかりサーティラットに噛まれている。


ようやくやっつけた時、宝石が見つかった。



鑑定の結果、呪いのサファイアでやはり異常繁殖と凶暴化、こちらは感染力の増大もあった。


じぃっとサファイアと転がる冒険者を見ているジェイドに、ギルド長が声をかけた。


「おいジェイド、どうしたんだ?えらく考えこんで」


「ちょっと試してみたい気もするけど、やめとこうって♪だってこのおじさん達ならホントに魔物化しそうだから♪」


「うん、やめとけ。絶対するし」


ジョージがひょいっと持ち、じっと見つめた。

「コレ、この間の魔族の波長だな。だったら安心かな?

ギルド長、この付近でもう異常繁殖の通報とか無いですか?」


「ああ、今のところは。冒険者全体に通達を出すよ、近隣の村でもいち早く対処できるように、住民の声をしっかり聞くようにとね♪」



他の人には無償で配ったラッティジストロフィーの治療薬も、あの冒険者達には金貨5枚で売った。計25枚である。

ジェイドの命を狙った割には安くついたモノだが、本人達は涙目だ。


この街を救った恩人にした仕打ちは、結局自分自身に返ってくる。

皆に知れたら白い眼で見られてこの街での活動は出来なくなるだろう。




この鉱山の街ハルコーネでの仕事も終わった。

リックはギルド長と共に過ごす事となり、ジェイド達はみんなに見送られて街を出た。




`


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だんだんタイトルが思いつかなくなってきた。

たすけてぇ~~

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