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魔族の置き土産

`

「ジェイドくん、君がナックルマーラをやっつけられる事はわかってはいるがな。それでも1人で向かうのはどうかな?と思うぞ!君のことだ、慢心しての行為では無いのはわかる。

しかしもし君に何かあったら、君を1人で行かせたと、あの坑夫達は自分を責めるだろう。これからはそういう事も忘れずに行動してくれな?」


「……はい、ごめんなさい」


「気味が悪いほど神妙だな(笑)なんかもっと反論したり言い訳したりするのかと思ってたけど(笑)」


「本気で心配してくれてる人の言葉はきちんと聞かなくちゃいけないと思うから」


「そうか。しかしホントに心配したんだぞ!護衛付きの採掘場の危機……って事は、護衛が敵わなかったって事なんだからな。そういう場所だと知らずに向かったのかと、気が気じゃなかった、生きた心地がしなかったよ。まあ、みんな無事で良かった」


「はい、ホントにすみませんでした。おじさん達にも心配かけてごめんなさい」


深々と頭を下げるジェイドに、護衛達や坑夫達は、いやいや!と手を振った。

「あんたが来てくれなかったら、みんな無事ではすまなかった。感謝しとるよ。ワシらのせいで叱られて申し訳ないなぁ」


「しかし、最初巨大マーラに矢が刺さらなくて困ったなぁ~って言ってたのに、アイツが矢を踏んで壊したとたんに『ばかぁ~~!』と言って瞬殺したのにはビックリしたわ(笑)」


「しかも巨大マーラを倒したのに『やったぁ!』でもなく、マーラには見向きもせずに『くすん……折れちゃった』って壊れた矢を撫でるんだから……ワシら呆然としたわ(笑)」

と、ワハハと笑い出した。


「「「「「矢が折れたのか」」」」」


「うん、でも大丈夫♪」


「あっ!そうだ。おじさん達にもマーラを渡すネ。でも矢は返してね♪」


と、奥の採掘場にいた坑夫達と護衛達に、3頭ずつ渡した。


え?と戸惑う坑夫達に、先にもらった坑夫達が「食肉として人気有り」と伝えたら、オレ達みんなに3頭ずつくれたから、同じようにって事なんだろう多分。でも矢はプレゼントしてもらったモノだから、返して欲しいらしいよ♪と伝えてくれた。


助けてもらった上にそんな事までしてもらったら……と遠慮する人達に、オレ達も一緒なんだから、有り難く貰っとけよ!と援護射撃してくれて、ありがとうとみんな受け取ってくれた。


「おじさん、今日の納品してもいいですか?」


「ああ、お願いするよ。申し訳ないな、ジェイドくん」


「アルミニューム、もうちょっと頑張る予定だったんだけど……820Kgだけです」と、言いながら、解体場にナックルマーラ53頭・大マーラ10頭・巨大マーラ1頭を出した。


「おい待て!みんなに3頭ずつ渡したって事は、51頭だな?それ以外にまだ53頭もいたのか?それにこの一回り大きなマーラも……。ホントにまぁよく無事で……」


改めて、坑内の異常発生に着目した。


「これは一度調べないといけないな。他にも異常発生しているかもしれないし……」


「あっ!モグちゃんたちに聞いてみようか、どこかに異変がないか……」


坑夫達は、アルミニューム820Kgに密かに驚いている。そしてそれには突っ込まないギルド長にも驚いている。


では、ワシらは帰るよ……とギルドから出たあと、みんなで相談してジェイドへの御礼として、各々矢を50本ずつプレゼントしようと決めた。

アルミニュームの件も伝えて、それも含めての御礼だ。

金や貴石よりも、きっと矢の方が喜ぶぞ!と。



「ただいま~♪」


『遅かったなジェイド。何かあったのかと心配したぞ』


「ごめんなさい。ナックルマーラが今日もたくさん出たの」


『ケガはないのか?』


「うん、大丈夫♪ねぇ、今日坑夫のおじさんに教えてもらったんだけど、ナックルマーラって美味しいんだって。リックさんは何のお肉が一番好き?」


『そうだなぁ、鹿肉はけっこう好きだったなぁ。あと、ワイバーンも歯ごたえがあって美味しいぞ』


「じゃあ今日はワイバーンとディアニコルね♪」


『ははは、ジェイドは何でも持ってるなあ!』


「そんな事ないよ……現に今、足りない薬草をジョージさんに頼んで採ってきてもらってるんだもん……もっと色々集めなきゃ!」


『そりゃあ全てのモノを集めるのは無理だろう?まだ旅をはじめて間もないんだ。その地方特有の素材もあるからな。その辺の道や林に行けばたくさんある普通の薬草すら気にも留めずに、怪我してはじめて薬草薬草と騒ぐヤツも世の中にはたくさんいる。これまで通り気を配っておれば、どんどん出会いもあるだろう。たゆまぬ努力じゃ!』


「うん、そうだね、ありがとうリックさん。僕、心のどこかで自分なら何でも出来るみたいに思ってたのかも。腹痛とか解毒とか、ハイってそれぞれの薬草出したらみんなにスゴい、ありがとう……なんて言われて調子乗ってたんだね。何でも治せるって。うん、努力と精進!」


『そうだな。最初は誰でも初心者だ。その後の成長は才能だけではない、どれだけ努力するか、いかに工夫を重ねるか。常に上を目指し精進することが大事だと思うぞ』


「リックさん、普段も別に一緒の部屋で寝てるわけでもないのに、みんながいないと思うとなんか淋しい。ここで一緒に寝てもいい?」


『ああ、いいぞ』



翌朝、心を新たに元気よく出掛けたジェイド。

「おはようございます、お姉さん。おじさんはいますか?もし時間があればお話したいんですけど。その間に解体場に行ってきます!」


マーラを全て引き取ったあと、受付に戻るとしばらくしてギルド長が降りてきた。


「おはようジェイド。午前中に例の調査しようと思うからモウルに話つけてくれるか?」


「はい!そのつもりで早めに来ました♪坑夫の皆さんの生活がかかってますからね、少しでも早く原因を突き止めなくちゃ!」


「んじゃ行くぞ!あっ、それとなメグ、鉱山の入り口にも立札は立てるが、ここでも立ち入り禁止を告げてくれな。出来るだけ早く解禁するから、ちょっとだけ我慢してくれと伝えといて」


「はい、わかりました。ジェイドくん、気をつけてね?」


「はい、ありがとうございます。行ってきます!」


オレの心配は無しかよ~と、とぼとぼ歩くギルド長の手を引っ張り、鉱山に向かった。


入り口に

『魔物大量発生の原因調査中のため立ち入り禁止』

と書かれた札を立てる。

【魔物が出て危ないから立ち入り禁止】


「さあ行くぞ!」


「は~い。モグちゃん、いますか~?」


『『『みゅっ』』』


「おはよう、モグちゃんたち。この人はいつも来てるみんなを守ってくれてる人♪君たちの事を、モグちゃんっていう可愛い名前をつけてくれた人だよ♪」


『『『みゅ~』』』ぺこり


「あはは、ホントに言葉がわかるんだ。

君たち、昨日はありがとう!おかげでみんな無事だったよ、ホントにありがとうね♪」


『『『みゅみゅ♪』』』くるくるくる


「あのねぇ、ナックルマーラがたくさん出たでしょ?他の所にもあんな風に魔物がいっぱい現れてるトコロって無いかな?」


『『『みゅ~?』』』コテン


「魔物は今はいないの?」


『『『みゅみゅ……』』』ぺこコテン


「魔物は今はいないけど、原因はある?」


『『『みゅみゅみゅっ!』』』コクコクコク


「場所わかる?案内してくれる?」


『『『みゅ~』』』ふんぞりコロン


昨日のように手のひらにモウルを乗せ、分かれ道で方向を示してもらうと、巨大マーラが出てきた洞窟に横穴があり、そこに赤黒い石が置いてあった。


近づこうとすると逃れようと暴れるモウル。


「あれ?モグちゃんたちはアレに近づいちゃダメなの?」


『『『みゅみゅ!』』』コクコクコク


「じゃあアッチの方に避難しといてね♪昨日のおじさん達がいた辺りに」


『『『みゅみゅ~』』』たたた~~



「何だか毒々しい色の石だな。なんだろう?」


「気持ち悪い色だね【この石は誰が何のために設置した?】触れるのかな?」


=鑑定=


呪いのルビー

*魔物の異常繁殖と凶暴化

*魔族により設置

一定の範囲の人間には効果はないが悪心が大きい者が触れると魔物化する

*聖者もしくは賢者の浄化により無効化可能



ジェイドがサッと持ち上げると、ギルド長が慌てた。


「ジェイド!得体の知れんモノを無防備に触るな!」


「よっぽど悪い人じゃないと、人間には無害らしいよ♪だから多分大丈夫!

これは魔族が置いたみたい。魔物の異常繁殖と凶暴化が目的だって。

聖者か賢者が浄化すると大丈夫みたい」


「……悪い人が触ったらどうなるんだ?」


「魔物化するんだって、怖いネ」


「お前が怖いわ!よく触ったな!」


「一応悪い人ではないんじゃないかな?と思って(笑)おじさんも触ってみる?」


「イヤだっ!オレは自分が悪いヤツだとわかってるからな!」


「あはは♪【これアイテムボックスに入れても大丈夫かな?】」


=鑑定=

ジェイドのボックスは大丈夫


「んじゃ【片付け】とこうっと」


「大丈夫なのか?内側から魔物化したりして(笑)」


「ひどい!【おじさんのアイテムボックスは大丈夫かな?】放り込むぞ♪」


=鑑定=

ラック・リベラルのアイテムボックスは可能

ただしジェイドのボックスのような浄化作用は無い


「いやいや!魔物になったら一番にジェイドを襲うぞ♪」


「あはは、怖いなぁ♪ボックスに入れたから、モグちゃんたちも大丈夫でしょ?」


『『『みゅみゅ♪』』』コクコク


「これで大丈夫だね♪みんなに早く教えてあげなくちゃ!」


「そうだな、助かったよジェイド。しかし……もしかすると、サーティラットの異常繁殖もこれが原因なのか?」


「サーティラットだって!!!?」


「お……おぅ、ビックリするじゃねぇか」


「おじさん、サーティラットの討伐に行った人はいるの?」


「ああ、だけど最近ちっともギルドに顔出さねぇで!サボってやがる!」


「おじさん、ジョージさんたちのいる森に転移できる?緊急事態だ!もしかすると、リュートさんより早くに襲われてる人もいるかもしれない!」


「リュートって、門番の娘のリュートか?どうしたんだ?」


「サーティラットに噛まれたら、ホントにごく稀に、ラッティジストロフィーって病を発症するんだ。

下肢から徐々に筋肉が萎縮して、ひと月ほどで心臓や肺の筋肉も萎縮して、ついには死んでしまう恐ろしい病気なんだ。たまたま店先で守衛さんに会って話を聞いて……なんかおかしいと思って、お見舞いと称してリュートさんに会ってみた。

で、鑑定してみたら、その病気にかかってた。治療法はわかってるけど、足りない薬草があったから、ジョージさんに頼んで採ってきてもらってるんだ。

異常繁殖したやつらからの感染力が強かったら、今採取している分だけでは他の素材も足りないかもしれない。だから僕も行って採ってくる!

今日はアルミニューム、ごめんネ」


「あ……あの時の意味不明の会話……リュートの治療薬の事だったのか!確か医者に診てもらったと言ってたぞ?」


「ホントにごく稀にしか発症しないから、年配のお医者さんでも多分1~2回しか出会ってないと思う。噛まれた1000人のうち、1人しか発症しないなら、誰も関連づけないよ。だから医者の責任とも言えない。でもこれからは解明されたから、救えるよね♪今は発症している人の命を救う為に早く薬草集めなきゃ!」


「わかった!とにかく一度ギルドに戻るぞ」


立札を取り外し、ギルドに戻ると何人かの坑夫が来ていた。

平常通りに採掘に向かって大丈夫だと告げると、みな喜んで鉱山に向かった。


「お姉さん、ディアニコルの角とラグナリアの実って在庫ありますか?」


「う~ん、あまり無いわね」


「それ、もらってっていいですか?手続きはおじさんに任せます」


「おいメグ、オレは今からちょっと出るからな、緊急事態だ!」


「……ハイ、わかりました」



オリヴェイラの森に着くなり、大声でジョージを呼ぶ。

すぐに駆けつけてくれたジョージに、街の話をし、今ある素材分だけ先に治療薬を作ってもらった。


「おじさん、これ先に持って帰ってひどい人から飲ませてちょうだい。今からまた採取して、どんどん作ってもらうから。出来次第誰かにギルドまで届けてもらうからね。街中に呼びかけて!独り暮らしで動けなくなっている人もいるかもしれないから、近所の人も巻き込んで、お医者さまにはカルテも見てもらって。

とにかく1人ももらさないように、治療薬は有るから絶対治せる。だからパニックにならないようにって……

お願いします!」


「おぅ、わかった!」


「チャウダーくん、この森でエビデンドルムとラグナリアの実を探してくれるお友達っている?とってもたくさんいるんだ。お願い!」と、見本を渡すと

『キキィ~~~!!』と、強く長く鳴いて仲間を呼んでくれた。


皆で顔を付き合わせ、ふむふむしてたと思うと散開し、あちこちからキキィキキィと鳴き声がする。その場所に行って見るとエビデンドルムやラグナリアがあった。


「わぁ、みんなありがとう!ミカさんアンリさん、あの子達が場所を探してくれるから採取お願いします!」


ガイにディアニコルの角と上薬草を渡し、ジョージのサポートを頼むと、そばにいた森リスに

「ねぇ、君たちこの辺りにディアニコルがいないか知らない?出来たらボスさんが良いんだけど」と聞いてみた。


するすると肩に乗り、あっち!と指差し教えてくれる。


指された方角に行くと、ディアニコルの群れがいた。


「ありがとう♪あとはあっちの薬草探しのお手伝いしてちょうだいね♪」というと、一声鳴いて元の場所に戻った。




「ディアニコルの群れのボスさん、こんにちは。僕、ジェイドと言います。よろしくお願いします。実はお願いがあるんですけど……その角が欲しいんです!」



`


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