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今明かされた思い

唯一人を除き、他には人馬ともに擦り傷1つも無く

発するべき言葉も見出だせず唯ただ呆然とクレーターを見つめていた。


「ち……ちうえ?」と我にかえったセルシオが呟くと

ハッとした兵士たちやミカたちパーティーメンバーが、セルシオを見、穴底を見、最後にパルジャニエールを凝視した。


ジョージだけが最初からキラキラした目でパルジャニエールを見つめている。


それらの視線に気付いたパルジャニエールは、



『……むしゃくしゃしてやった!反省はしている!』と叫んだ。


「どこの放火魔やねん!」とジョージも叫ぶ。



ジェイドは馬たちを心配し「びっくりしたねぇ、大丈夫だからね♪」と、声をかけて回っている。

それを見た兵士たちも自分の馬の鼻面やたてがみを優しく撫でて落ち着かせた。


「さてリーダー、どうするかね?」


「う~ん……とりあえず、王には此処に至る一部始終をきちんと説明しなくてはならないよね。第一種緊急要項だな、俺が直接話しに行った方がいいか……。

おい!そこの兵士たちの中で領主とその側近らの詳しい話が分かる者はいるか?」


「ハッ!兵士長補佐のルイスであります。バジルク様より預かっております書類にてある程度は判ると思われますが、現在は我が家の金庫に保管してございます」


「……バジルクが?その書類の意図は判るのか?」


「ハッ!セルシオ様に対し悪意を持つ者を探っておられたようでございます」


「で、なぜ補佐のルイス氏に託されているのかな?兵士長はセルシオの敵ってことでOK?」


「いえ……兵士長は愚直な人で、その書類を預けました場合……え~~その、何と言いますか……いつの日にか領主様の不興を買って投獄などされ、書類がオモテに出てしまう可能性が非常に高いとバジルク様は懸念され、私めが預かる事と相成りました」


「……今その兵士長は?」


「ハッ!領主様が王都に赴かれる際にその~~……不興を買われ現在は投獄されております」


「あぁ、多分セルシオの殺害に意見して投獄されたんだな?」


「!!!っジョージ様!!!」


「セルシオはわかっているよ。多分まだバジルクが生きている頃から、父親の殺意のようなものを感じていたみたいだしな。

しかしバジルクの思いは予想外だったな、セルシオ」


「はい、確かに。可愛いがられたという感じでなく、普通に……本当に普通に話しかけて下さって。噂に聞く粗暴な振る舞いも乱暴な言葉もありませんでした。

そうでしたか……兄はわたくしを守ってくれてたのですね」


「そうです、バジルク様は領主様を上手に牽制しておられました。

弟が可愛いから……という言い方ではなく、後々自分の為に役立つから……というような感じで」


「さっきさ、領主が殺れって言った時バジルクもいないのに誰一人動かなかったけど、みんなはセルシオをどう思っているんだろう?」


「ハッ!最初の頃はバジルク様から様子を見るように言われた為、折に触れ接触するという感じでしたが、いつも優しく接していただき、温かい御言葉をいただくうちに皆お慕いするようになりましてございます」


「そうか、軍部に味方が多いのは助かるな。

とりあえず……なぁジェイド、これ収納できる?」


「収納は出来るけど色々自信無いよ!」


「んじゃ一旦みんな街に帰ろうか。ルイス氏だけ転移で一緒に帰ってもらって自宅にお邪魔するね。あとの人たちは申し訳ないけど、そのまま馬でお願い。

馬の負担にならないように休憩をこまめに入れて、ゆっくり帰って来て。国王との調整もあるから出来るだけゆっくりね♪街に着いたら自宅で待機ね」


「「「「わかりました」」」」



「さて、セルシオ。いくら酷い父親であったとしてもこの結末には思うところは有るだろうが、これから先お前が領主に就くのだとしたら、なかなかの問題山積み具合だぞ。腹をくくれよ。独りで頑張らなくてもいいんだぞ、しっかり見る目を養い家臣と一緒に前に進むんだよ!」


「はい!少しでも多くの幸せが皆に訪れるように頑張ります」



龍神親子に別れを告げ、街に戻った。

パルジャニエールは少し申し訳なさげな顔で手を振っている。



ルイス氏の家に向かった面々は少しだけ不安の色を出していたが、しかし決意を秘めた確かな足取りだった。


金庫に保管された書類を受け取ると、

「じゃあ行ってくるけど、こっちの事は頼んだ♪

セルシオは身体の調子どうかな?ジェイドの鑑定で見たら治療薬自体は完璧だったって事だけど、言っても病み上がりだからね。

無理も我慢も禁物だよ」


「はい!嘘のように快調過ぎて(笑)うっかり無理しないように気をつけます!」




-王都・ロストラタ城内国王執務室-


「第一種緊急要項の報告の為、国王又は執事長に至急取り次ぎをお願いいたします」と現れたジョージに、近衛隊長は直ぐ様執事長を呼んでくれ、執務室に案内された。国王を待つ間にチラッと執事長に言ってしまった。


「メギストス領主さ、雷に撃たれて死んじゃった♪」


「は?」


「イヤだからね、死んじゃったってば」


「……とにかく国王様を待ちましょう」



「おぅ、ジョージ!何だって?緊急要項ってかい?」


「久しぶり~♪そうなんだよね、メギストスの領主、死んじゃった♪」


「何だって?」


「そして次男はいた!」


「……もうちょっと解りやすく話して欲しいな!」



ジョージが経緯を説明する。



実在した次男セルシオは病弱で昔から領主に疎まれ殺意を持たれていたが、意外な事に乱暴者と言われた長男バジルクにより守られていた。


長男事故死


事故死の報告をしに自分が王都に居る間にセルシオを殺害させる計画


国王に領地返還の話をされ計画中止の為急ぎ帰国


セルシオの延命を謀り居室食事投薬などを改善


噂話レベルで聞いた龍の逆鱗を求め信仰の対象になっている龍神の仔を誘拐


仔龍を殺し逆鱗を得ようとするもセルシオの機転で引き延ばされる


子供を殺されたと思った龍神の怒りで領内全土が旱に見舞われる


チームアシナガ、領内全ての村に水と食糧を配り話を聞く

この時2ヶ月前に龍神山に異変があったと聞く(仔龍誘拐時)


領主に尋ねるも門前払い


セルシオからの接触有り、仔龍を返す依頼を受ける


龍神に経緯を説明、納得してもらう


仔龍を返しに行く寸前、領主がセルシオ殺害を企て部屋に押し入る


龍神山に転移


仔龍の解放と命名の儀


セルシオ、ジェイド監修ジョージ錬成の治療薬にて病が完治


領主と兵士、龍神山に到着


領主、セルシオ殺害を指示


全兵士命令を拒絶


領主、罵倒と脅迫


龍神、裁きの(ラムウ)


領主、真っ黒焦げで即死


兵士長補佐にバジルク作成の書類の話を聞く



「……とまぁ、こんな流れ。そしてこれがその書類」


「なるほど……。しかしジョージ、話し方が何か変だぞ、どこかに感情を落として来たか?(笑)」


「この報告を国王様にする時は客観的にね……とジェイドに念をおされた。

あいつなんだか俺よりオトナ(泣)」


「はははっ!あの子は幼い時から苦労していたんじゃないか?可愛い顔だちのくせに妙に達観したような雰囲気を持っているよな!

なあ執事長、今すぐ向かわせられる管理職以上の文官はいるか?

もちろん、こいつらを糾弾出来て暫く補佐してやれる人材だ」


「ちょっと拝見……。はい、今すぐ召集いたします」



慌ただしく執事長が出て行き、二人になった。



「初っぱなから大変だったな。しかしまさかこんな事になっていたとは……。世間では魔物の出現やら魔王復活の噂やら、皆の暮らしを脅かすような事柄がたくさんあるというのに、上に立つ者がこんな有り様ではな……。本来の貴族の意味も知らず、自分が権力者だと特別な存在だと勘違いしている者が多いのかな?

何か情けな~くなるゎ」


「まぁ、自分が出来る範囲でやれる事はやっていきますよ、微力ですけどね」


「いやいや本当に感謝してるよ、そして申し訳なく思う」



だんだんとしみじみしてきた頃に、文官を3人連れて戻ってきた執事長、

「国王様、私もしばらく様子を見に行って参ります」と告げた。


「おぅ、そりゃ頼もしいな。大変だろうが頼んだぞ、お前達」


「「「「畏まりました」」」」



全員を連れ街に転移するなり。皆の動きは迅速だった。


謂れ無く投獄された者たちを釈放し、セルシオに害意を持つ者、領主に取り入り私腹を肥やした側近達を捕縛し、財政管理台帳を閲覧し……etc


てきぱきと業務をこなして行った。






そして10日後、セルシオの領主就任が大々的に発表され、領内は歓喜に沸いた。





「パルジャニエール様、ジュピター様、セルシオが領主になってますますここは栄えていくね♪

お二方もみんなを見守ってあげてね、僕たちは次の街に向かいます。

どうもありがとうございました!お元気で♪」




去って行く6人をいつまでも見送る龍神親子はこれからもこの地に住まう人々の支えであり続ける。





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