メギストス領・メギナ村
『勇者』・アシナ=ジョージ
『シーフ』・アンリ
『賢者』・ミカ
『テイマー』・セシル
『バトルマスター』・ガイ
『荷物係』・ジェイド
「おい!誰かいないのか!?」
村に着くなり門番が大声で呼び掛けると、数軒の家から人が出て来た。
その間にメンバーは水樽を出したり炊き出しの準備をしていく。
「おぉ!メギト村のドルでないか!そちらの様子はどうなんだ?……ここはもうダメだぁ。元気な者たちだけでもなんとか……」と涙を流した。
「先ほど、こちらの旅の人たちが村を訪れてくれてな、水と食糧を下さってなんとか持ちこたえた。この後、領内全ての村を回って下さるとのことでオレがメギナ村まで案内したんだ。
おぉ~~~い!!水が来たぞぉ~~!自分で歩けるやつは出てこぉ~い!」
その声に、何人もの人たちがふらふらと寄って来た。
よかった、まだ大半の人が自力で歩けてる……と安堵しながら水を配り始める。
ジェイドは体力が残っていそうな人にリヤカーを託し、自分は家畜の水やりと畑の作物の収穫収納をした。
一度炊き出し体験をしたためか知人であるドルがいたためか、最初のメギト村よりは順調にすすみ保管庫へも穀類等を納め肉類等はギルドカードに収納してもらった。
この村の村長にも話を聞いてみたが、メギト村と同じ内容で、やはり根本的な原因はわからないようだ。
ただただ、神の怒りだと年長者は震える。
この村での作業も終わり、次はメギル村に向かう。
そしてメギル村の人の中から他の村に行ったことがある人を探し次の村へ渡る……という風にして、3日がかりで全ての村を回れた。
あとは、原因かと思われる異変のあった山と領主の住む街だけになった。
街に行く前に、山まで転移で行けるよう、手段を考える。
誰か山の近くまで行った者はいないかと尋ねると、数人が中腹もしくは麓まで行ったことがあるという。
けっこうな人数で不思議に思って聞いてみると、先祖代々中腹にある祠に各村持ち回りで毎年御供えをしているのだそうだ。
豊穣の神・プルウィルーサ様が、この山の頂上に降臨なされたという言い伝えがあり、遥か昔から祠を建て祀っているという。
また、よくよく聞いてみると、各村にもきちんと祠があり、いつも綺麗に手入れされ、村人たちの信仰は篤い。
「左様です。こちらがプルウィルーサ様の祠にございます」と案内された祠は、確かに各村で見た記憶がある。
「目のはしに映っていたけど、それより村人たちの事が気にかかってて見過ごしてたなぁ~。失敗失敗」
ジョージたちチームメンバーは一刻を争う事態の連続で走り回り、誰も村人にその祠の事を尋ねる事を思いつかずで今初めて知ったのである。
その後山まで行ったことがある人たちにお願いし、中腹と麓の位置も把握した後、街へと向かう。
街でもやはり井戸が枯れ、人々の暮らしは逼迫している。
井戸に水を入れてまわり街の人々に領主の館の場所を聞いた。
元より近寄りがたい領主館ではあったが、最近は厳戒体制が敷かれ兵たちもピリピリしていて、尚いっそう民衆は近寄れない。
その雰囲気と近頃の水不足には何か関係があるのでは?と思っていても、迂闊に尋ねることはできない程の暴君であるため、皆あきらめの境地だ。
密告者に怯えながらも人々はぽつぽつと話してくれた。
数ヶ月前、父親である領主と同じように傲慢で乱暴者だった息子が事故で亡くなった。
名馬を手にいれたと自慢気に見せびらかし、手入れも休憩もさせずに走り回らせたせいで疲労困憊となった馬と共に崖から落ちて死んでしまった。
領主は烈火の如く怒り、馬屋や供の者たちを打ち首にした。
それから3ヶ月程した頃に、たくさんの兵士を連れどこかに行ったと思ったら、稲光の中慌てふためいて帰って来た。
その日から今日まで兵士を増やし厳戒体制が続いているのだそうだ。
「とにかく領主から話を聞いてみないことにはどうしようもないな……」
領主館の門前で取り次ぎを頼み会う事は出来たが、知らぬ存ぜぬの一点張り。
「しかし領主様、これほど長い間雨が降らなくなりましたら民衆も大変困ってしまいます。何か心当たりはございませんでしょうか?」
と尋ねると、
「知らぬ知らぬ!だいたい雨が降らん降らんとやかましい!そんなに水が足りんなら魔石を使えば良かろうが!そのような些細な事をいちいち陳情するでないわ!」と怒鳴りつけてきた。
なにやらジョージの方から、ぷっち~ん!と音がしたような気がして振り向くと、
「どこのマリーアントワネットやねん、あんた!
ほな、あんたが全部の村に魔石置いたらんかい!」とシャウトした。
しかし領主は気にも留めず
「何ゆえワシが置かねばならん?必要ならば自分らで置けば良かろう」と、不思議な事を言うヤツだ……という顔をする。
「何やねんこの税金泥棒が!出べそ!アホンダラ!」と暴走し始めたジョージの頭を鷲掴み肩をホールドしながら、
「どうもお邪魔しました~」と引き摺っていくメンバーたち。
皆は笑いを堪え、ジョージはまだ「あほボケ」と叫んでいたが、ガイがジョージの頭をぽんぽんしていると少し落ち着いてきた。
にっこり微笑んで、「悪かったね、みんな」とジョージがいうなり全員が噴き出した。
「いきなりマリー何とかやら意味不明な事を叫ぶし……出べそって(笑)
きっと領主のヤツ、何を言われたか理解して無いんじゃね?」
「ごめんごめん!
しかし困ったなぁ~。結局なんでこんな事になっているのかさっぱりわからないな……」
その時、西側の門扉が開きメイドが出てきた。
メイドは此方をしっかり見据え、「これは坊ちゃまからの封書にございます」と封筒を差し出した。
「今ここで開けても?」
「はい、お返事を賜るよう言付かっております」
そこには、「明日の昼前から父上は出かけますので是非お目にかかりたい」という旨の事が書いてある。
「わかりました。ありがとうございますとお伝え下さい」
「よろしくお願いいたします。わたくしが食休み頃からこちらの門の前でお待ちしております」
と言うと門の中に消えた。
「なんとか伝が出来た……かな?」
翌日の昼過ぎ西側の門の前に向かうと、メイドが深々と頭を下げ離れの方へと誘った。
「旅の冒険者様、この度は領民を救っていただき感謝しております。
この天変地異の原因を探っておられるとのこと、本当にありがとうございます。
多分……というか、ほぼ……父上が原因だと思います。
まずはこちらをご覧下さい」
薄いレース編みのような布を取り去ると、中から
仔龍と呼ぶにもまだ尚幼い、全長1mあるかないか位の龍が籠の中に入れられていた。




