メギストス領・メギト村
『勇者』・アシナ=ジョージ
『シーフ』・アンリ
『賢者』・ミカ
『テイマー』・セシル
『バトルマスター』・ガイ
『荷物係』・ジェイド
各自の愛馬の他にも旅には必要と、馬車も手にいれ進む一行。御者はジェイド、テンション高めだ。
領地の境界に近づくにつれ、人の往来が疎らになってきた。
《これより先、メギストス領》
と書かれた道標。
街道沿いに馬車を進めて行くが、その景色は徐々に荒廃していく。
「どうしたのかしら?大地がひび割れて森も草木も枯れてしまっているわ!
雨が降らなくなったってこと?」
「イヤ、すごく嫌な気配がする。空一面に、……まるで……『呪い』のような『嘆き』のような、なんとも言えない感じの空気が漂っているな」
「「「呪い?」」」
「そうですね……。遥か上空から耐え難い悲しみと憎しみが……咆哮が聞こえます。
そう、『赦すまじ矮小な者共よ!』と」
「「「「セシル……」」」」
「とにかく!一刻も早く領民の人たちにあって事情を聞いて見ましょ!」
「そうだな。ジェイド、このまま走らせると馬がかわいそうだ。馬車をしまってくれるか?」
「わかった!」
馬車を収納するとセシルが馬たちに話しかける。
「今からあの枯れた森の向こうの村まで急いで行くからね、疲れてるだろうけどもう少しだけ頑張ってね」
ひひん!と元気よく返事をしたので皆で一斉に駆け出した。
辛うじて樹は残っているが、草類はほとんど枯れ果てている森を抜け、村にたどり着いた。
馬から降り周囲を見渡すメンバーと、身体から湯気を出す馬たちに水を与えるジェイド。
「み……水を、どうか……」
馬用の水桶を凝視しジョージにすがり付くように水を要求する村人たち。
宥めるようにその背を擦りながら、「わかりました。皆さん全員分の水がありますので慌てないで下さい。事情を聞きたいので村長を呼んでもらえますか?体力のある人は、水を飲んだら弱っている人たちに水を届けて下さい。慌てず、急いで……ネ♪」
即座にまだ元気がありそうな人が村長を呼んで来てくれた。
「忝ない、旅の人。もう二月も雨が降らず、どの井戸も溜池も枯れ果ててしまっていて。領主様に救援を求めたが、無しの礫。もうこの村は滅んでしまうところでした」
ジョージが村長に話を聞いている間に他のメンバーが水を配布していく。
村長を呼びに行ってくれた人は、普段は他3人と交代で門番をしていて一般の村人よりは体力もあるからと、各戸に水を配りに行ってくると申し出てくれた。
「おじさんたちありがとう!よいしょっと!リヤカーに各々水樽積んどいたから、それで配って来てね♪あとコレおじさんたちのお水。食べ物は、ピーチと串焼きどっちがいい?」
「ごくん……いやいや、水だけで大丈夫だよ、他の人たちも子供たちもみんな空腹なのにオレたちだけもらうわけにはいかないからね、ありがとう」
「お水飲んでもらって一息ついたら、食べ物出す予定だよ♪その時、悪いけどまた配ってほしいから、先にちょっとだけでもお腹に入れといて♪僕はね、これから家畜さんたちにお水やってくるから」
「ジェイド君、家畜とはいえ飢えと渇きで気が立っていると危ないからボクもついていくよ」とセシルが微笑む。
ピーチを4つ出したあと、ジェイドとセシルは家畜小屋をまわり、水を与えた。
一通りまわって皆のところに戻ってみると、村人たちも少し落ち着いたのか、あちこちで笑い声が聞こえる。
村長からの情報は、
二月ほど前、ここより遥か東の領主の住む街から、北に馬車で1日程のところにある険しい山の頂上で、激しい稲光が3日3晩続き、思えばそれから一度も雨が降っていない……との事。
なにか天変地異の前触れかもしれないと領主様に御伺いをたてたが、田舎者の迷信とバカにされたそうだ。
だがその時の様子で、領主様は何かご存知だと感じるのだが我々には何も教えてくれん……
ということだった。
「この村だけじゃなく、領内全ての村がこの状態だと思いますか?」という問いに村長は、
「おそらくそうだと思います。普段より交流のあった村々から誰も来なくなりましたし……
どこの村でも同じように井戸も枯れ畑もたち行かなくなっていると思います」
と、悲しげに俯いた。
「ジョージさん、畑の実の詰まってない麦とか、瀕死の葉物野菜を片付けてくるよ、あとでそれに見合う食糧出すね♪僕がそれやってる間に、スープとゾースイを配ってくれる?それが終わったら溜池と井戸を全部回って水を入れて来てね♪」
「もうジェイドがリーダーということで♪」
「もう!この非常事態になに馬鹿なこと言ってんの?
で、ジョージさんたちが井戸回ってる間に僕は各家の水瓶を満たしてくるね♪
あと村長さん!アイテムボックスとかギルドカード持ってる人も集めといて下さいね♪」
「?はい、わかりました。本当に皆さんありがとうございました。……このあとはどちらに向かわれるのでしょうか?」
「そうなんですよね、各村を回るのを先にした方が良いのかもしれないですね……
領主に聞いてもしらばっくれるかもしれないし、どの村も二月も雨が降って無いなら先に救援に向かった方がいいかもしれない……」
「ねぇジョージさんは転移石だっけ?持ってるでしょ?あれで転移しまくったらいいんじゃないの?」
「転移石は確かにあるけど、俺達は誰もメギストス領内の村に来たことが無いんだ……」
「えっ?転移石って行ったことがあるところにしか転移できないの?」
「そうだな、行ったことがある人が石に魔力を込めて転移するんだ。だから今回は使えない……」
門番の男性が、おずおずと手をあげジョージに伝える。
「あの……オレ、メギナ村とメギル村に行ったことがあるんだけど、オレがその転移石とやらを使うことは出来ないのだろうか?」
「「「「ソレだっ!」」」」
「メンバー以外の人が使っても大丈夫なの?じゃあ方針決まったね、早く水を入れに行こう!」
嬉々として各家の水瓶に水を入れに行くジェイドにつられて他のメンバーたちも井戸に水を満たしていく。
その後、村の保管庫に穀類や芋等を入れ、村長に集めてもらった人たちのギルドカードに肉類や葉物野菜・果物などを預け、出発の準備ができた。
「あれで、1週間から10日ぐらいは大丈夫だよね。ちゃちゃっと解決してね、ジョージさん♪」
「あぁ、一刻も早く次の村へ行こう!ではドルさん、よろしくお願いします」
門番を中心にメンバーが集まった。




