パーティーの仲間たち
王都に転移してその門の前に立ち、ジェイドは呟いた。
「ジョージさん、僕膝が震えて歩けないや……何このでっかい門!」
「ねぇ、スゴいよねっ。俺もはじめて見た時にはびっくりしたさ」
「これはこれは勇者様、おかえりなさいませ。外の様子はどのような感じでしたか?」
「ただいま帰りました。やはり魔物の数も増えてきていますね……
物価も少しずつ上がって来ているみたいですし、全体的に不安が拡がっているようで……
あの、街中では名前で呼んでいただけると助かります」
「はっ!承知いたしました、ジョージ様!」
「いや、様じゃなくてせめて『さん』で呼んで下さい、グァバ様」
「なんで私めに様付けなど!冗談はよして下さい」
「長い年月、国のため国民の幸せを願って精進している第3部隊隊長の貴方が、ぽっと出の俺にそんな丁寧な物言いをするからですよっ(笑)
俺、いつも貴方がたを尊敬していますし目標にしています!」
「勇者様……」
「ジョージです!」
「はははっ申し訳ない!ところでこの子は……?」
「あっ!僕ジェイド・9歳です、よろしくお願いします!」
「はい、こんにちは。よろしくね」
「今からギルド登録して、パーティーの仲間に紹介するんだ。まぁ、気にかけてやって下さい」
「そうでしたか!皆さんきっとお待ちですよ!」
ギルドでジェイドの登録をするのに、後ろから書き込むところを見ていたジョージは密かに驚愕していた。
あのネグレクト両親がジェイドに対し教育を施すとは思われず、書き方に詰まったら手助けしようと背後に控えていたのだが、文章の内容をしっかり把握し、正確で丁寧に書き上げていった。
「なぁジェイド、勉強は誰に教わったんだ?とても綺麗に書けてるじゃないか。
それにパン屋でもササッと計算していたし、スゴいなぁ♪」
「ひととおりのことは、村長さんとゴン爺が集会所で教えてくれたよ!
あとはわからないことがあれば、目の前にいる冒険者さんやお店の人に聞いたりしてた♪」
「それだけでこんなに勉強できるなんてジェイドは天才だな。
いろいろ教え甲斐があるぞ覚悟しとけ」
「うへぇ~~」
やがて、ジョージ達のパーティーハウスに着いた。
なんたって最強の『勇者パーティー』の面々、どんなスゴい人たちがいるんだろう睨まれたらどうしよう……等々、ジェイドにしては少々怖じ気ついている。
「あれ?おかえりリーダー!
おっ?この子がウワサのジェイド君?なんか想像してたのと違うなぁ~。ホントに9歳か?なんかちっこいなぁ!」
「はじめまして、ジェイドです。小さいってのはよく言われます。
立派な貧乏農家の出なんで、あまりご飯があたらなかったので」
「そうなのか……悪りぃ悪りぃ、オレはアンリって言うんだ。まぁ大きさっていうよりさ、もっとガキ大将っぽい顔だちしてるのかと思ってたからまさかこんなのほほん顔だとは(笑)
て言うか、なんかリーダーと似てねぇ?もしかして仲間を連れてくるって言いながら自分の隠し子連れて来たんじゃねぇの?(笑)」
「はぁ!?こいつが生まれた頃はまだ俺はぴちぴちの小学生だ!あっちの世界のな!」
「うふふっ、でもホント何か似ているわねぇ。
私はミカっていうの♪ミナの妹よ。あなたのことはミナから聞いてるワ、あの子を助けてくれてありがとう♪」
「ジェイドです、よろしくお願いします。ミナさんには僕の方がいつも助けてもらっています!」
「ボクはセシルって言います、よろしくね♪
この子は森リスのチャウダー。仲良くしてやってね♪」
「ジェイドです、よろしくお願いします!
あの……抱っこしても怒りませんか?かわいい!さわりた~い!」
「あまり気にしないんだね(苦笑)
たまに魔物だ~~って逃げる人もいるんだ」
「僕、村のあたりに住んでる森リスによく木の実とかもらってたの。樹の上からぽいぽい投げてくれてたの。触らせてはくれなかったけど……」
「へぇ~もしかしてテイマーの素質あるのかな?」
「オレはガイだ。あまり子どもと付き合いがないから、乱暴な言葉遣いしたらごめんな……と先に謝っとくわ」
「ジェイドです、よろしくお願いします。
うちの村は近くにダンジョンがあって、大きな冒険者さんもたくさんいましたよ♪」
緊張しているであろうジェイドを気遣い色々話してくれるパーティーメンバーに、ホッと一息。
国王からの呼び出しで、右手と右足を一緒に出すほど緊張するジェイドを守るようにまわりをみんなで囲ってくれた。
ガイがそっと左手を出してくれたので、ぎゅっとその手を掴んだ。
~そして謁見の間~
ジョージより国王に紹介され、メンバーが揃ったのでこれより旅立つ……と伝えた時、小声で囁く誹謗中傷の中でひときわ大きな声。
「なんじゃあの貧相な子どもは!あんな者が何か役に立つのか?いったいどういう料簡じゃ!」
一瞬の静寂のあと、クスクスと悪意に満ちた笑い声が聞こえてきた。




