教会の寄付
「神父様こんにちは。この子が外に倒れてたんですがこちらのお子さんでしょうか?」
「あぁ!申し訳ありません。ちょっと院内の子たちがお腹をこわしてしまいまして……ご迷惑をおかけしました。散らかしておりますがよろしければこちらに」
「忙しくされているところご迷惑をおかけします。
ところでもう投薬はされたのですか?」
神父は悲しげにうつむき
「いえ……お恥ずかしい話ですが、薬どころか食べ物にも困っている次第で……」
ジョージが神父と話していた頃ジェイドの方は
「ねぇねぇシスターさん、ここって子どもは何人いるの?」
と、台所にいるシスターに声をかけていた。
「あら、こんにちは。ここには18人いるんだけどね今日はみんな具合が悪くて遊べないの、ごめんなさいね……」
「あっ!こんにちは、ジェイドって言います。
シスターさん、これでスープ作ってくれない?」
と言いながら、パンプキ・キャロー・モロコシ等を出す。
呆然とするシスターを横目に、
「うん、パンシロ草25枚あった!神父さんやシスターさんも一緒にスープ飲んでね♪あとで具合悪くなったらダメだからさ!」
「あの……あなたはいったい?」
「今日ね、ここに泊めてもらおうかな~ってジョージさんと一緒に来たの。
ところで、寄付してもらった大麦ってどこにあるの?」
「……寄付……。こちらよ、悪意か善意かわからない寄付は」
倉庫には、山のように積まれたカビのはえた小麦や大麦、半分溶けたようになっている、パンプキやバレショーなどがたくさんあった。
「うひゃ~~とりあえず一度【お片付け】
他にも寄付の品は有るの?」
「えぇ、洋服だったモノやかつては家具と呼ばれていたはずのナニかがあるわ」
「あはは!シスターさんおもしろい♪
ねぇ、せっかくスープも出来たし早く飲ませてあげよ♪冷めちゃうよ」
片っ端から収納して行きながら、シスターと二人してすべての子ども達に薬草入りスープを飲ませた。
たちまち元気になった子ども達に、しっかりと水分補給もさせ、神父とジョージのところに戻る。
「ジョージさん、神父さん、みんなだいぶ元気になったよ。今日はまだお部屋で遊ぶようにって言っといたよ。
こちらのおもしろいシスターさんと一緒にスープ作ったから、神父さんも念のため飲んでおいてね♪」
「おもしろい……?シスターマリア、子どもたちが元気になったって本当ですか?」
「えぇ、こちらのジェイド君がスープの具材と薬草を出して下さいまして、それを飲ませましたらすっかり元気になりましたの」
「なんと!感謝します。ご覧のように貧しい教会です。いろんな方が寄付して下さるのですがなかなか子ども達に満足に食事をさせてやることも出来ず……
背に腹は代えられずに大麦で朝ごはんを作ったのですが……きちんと傷んでないところを選り分けて作ったつもりだったのですが、子ども達には可哀想なことをしました」
「あれねぇ、水に浸かったのかなぁ?全体的にカビが生えてましたよ。多分、水害か何かで袋ごと浸かったみたい」
「はい、少し水をかぶったので商品として売る事が出来ないのでこちらに寄付すると持って来られたのです。
しかも、まだまだあるので持って来るから感謝するように……と言っておりました」
「少しどころか、ズブズブに浸かってるよ泥水に。
ん~~持って来てくれるんなら早く来ないかな♪そんなに何日もこの街に居られないものね、ジョージさん」
「そうだねぇ、まぁ2~3日が限度だなぁ」
「早く来い来い!
あっ!神父様、今晩こちらに泊めて欲しいんです僕たち。
おもしろいシスターさんにはもうお願いしたんだけど……」
「えぇ、こんな汚いところですがどうぞ」
「ところでシスターマリア、どうして君は彼に『おもしろい』って言われてるんだ?」
「いえ別に……寄付の件で少しお話をしただけです……」
「あははははっ」
「こら!ジェイド!」
「だって、洋服だったモノ……とか、かつては家具と呼ばれていたナニか……とか、言い方がおもしろいんだもん!」
「くくくっ。いやそれでも人のことをおもしろいとか言っちゃダメだぞ!………っくくくっあはは!………すみません」
「ふぅ、シスターマリア。君もいろいろ思うところはあるだろうが………ぷっ」
「もぉ~ジェイド君…… バラしちゃダメじゃない!」
「いいじゃない、お澄まし屋さんのシスターよりそっちの方が子ども達にも人気だよきっと」
そんなことを話していると、ガラガラと荷馬車の音がして、誰かが大声で神父を呼んだ。
「おい神父!持って来てやったぞ!今年の寄付分を全部持って来てやったからな。感謝しろよ!」
「うわぁ!たくさんあるね、ありがとうございます。
おじさん、食べ物だけなの?お金はないの?
おじさん、貴族さんでしょ?貴族さんってみんなお金持ちかと思ったけど貧乏貴族さんだったんだね。
それなのに寄付してくれるなんて!ありがとうございます!」
「ぐぬぬ!無礼なガキめ、ワシはギラヴァン男爵であるぞ!」
「ギラヴァン男爵?偉い人なの?
じゃあ、かつては家具だったナニか……をくれた人はまた別の人なの?」
「ん~~!ギラヴァン男爵って言ったら、ジュリアの又従姉妹の旦那……だったかな?
領地がよく河川の氾濫おこすから、治水工事しろって言って援助金出したってジュリアもアレクセイも言ってたけど……
まさか工事せずに放置してるのか!?」
「こ……国王様のことを名前呼び?貴殿は……」
「この子の保護者だよ!この子は無礼だったか?」
「いえ、滅相もないです!」
「とりあえずアレクセイには、貴方が街の孤児院に腐った野菜やカビのはえた穀類をたくさん寄付してくれました……と報告しておくよ」
「あぁどうかお許しください。今年は特に氾濫が頻発してまして……
工事も思うように行かずでつい……」
「子どもたちはこの国の宝だ。これからもしっかり守ってやって欲しい。
今回の穀類や家具などはこちらで処分しておくから、早急に寄付を頼むな。
なにしろもう何も食べるモノが無い状態だ。
仕方無しにあの穀類を食べて子ども達が全員お腹をこわした。
たまたま我々が通りかかって薬草を持っていたからなんとかなったが下手したら命を落としていたかもしれないんだ。
今回はお金でお願い出来ないか?」
「いま手持ちは金貨20枚ほどしかございませんが、神父様これでご容赦くださいませんか?」
「あぁありがとうございます!ジョージさん、薬草はおいくら位でしょうか?本当に助かりました」
「いえ、薬草はジェイドが勝手に飲ませたんですから、お代はけっこうですよ」
「そんなわけには……薬草はとても高価だと聞いております」
「えっとね、パンシロ草は僕の住んでた村のまわりにけっこう生えてるの。
自分で採ったもので買ったわけじゃないから、お金いらないよ~♪」
男爵が帰ったあとで、みんなのベッドを見せてもらい、各々名前を書いてもらったあとでそれも一旦収納した。
シスターにハニーベアのお肉を渡して夕食の用意をしてもらっている間に、ジョージとジェイドは神父を連れて倉庫に向かう。
「神父さん、ここにさっきの穀類や野菜を出すね♪」
出てきたのは、新品の袋に入った穀類やみずみずしい野菜など。
「これはいったい……」
「朝に片付けた分と今持って来てくれた分だよ♪
あと、洋服だったモノは、きちんと洋服に生まれ変わりました~♪」
そして家具など、すべて出されたものはどこにも傷もなくまるで新品だった。
「神父様、これらが再生するのがわかっていたので、食べ物ではなくお金を要求したんです。不要品扱いで食べることも出来ないような食物を、これでもか!って程にたくさん置いていきましたからね。これ以上食べ物が増えるのもアレですし。
何よりお金も必要ですもんね」
「本当に何から何まで……」
そして就寝時間にはみんなの部屋をまわりベッドを設置した。
ふかふかになったベッドにみんな大喜び、興奮して夜更かしさんになっていた。
翌日、孤児院のみんなに見送られ街を出た。
「そろそろ王都に向かうか。転移するよ」




