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はじめての街



ジェイドは冒険者の人たちや商店の人たちに挨拶をして、旅立った。






別に急がないので次の街までは歩いて行くかというと、スキップしながら大喜びでおしゃべりしだした。





「おいおいジェイド、そんなにはしゃいで疲れないのかい?」





「大丈夫だよ♪わくわくしててちっとも疲れないの。

ジョージさん、早く早く~」






街に着いたらもう大喜びでキョロキョロ辺りを見回す。





やはり男の子だ、防具屋さんにあれこれ聞き回っている。






「うわぁ~スゴいスゴい!お給金もらったら防具買うぞ~!」と叫んで、まわりにいた人たちに温かい眼差しを向けられた。





串焼きの屋台にヨダレを垂らし、魔術書の値段にびっくりして「ひゃ~~」と声をあげてジョージに笑われたり……


初めての街を堪能していた。





くんくんと鼻をひくつかせ、

「パンの匂いだ、美味しそうな匂い~」


と言いながらパン屋を覗くと、店長さんらしき人が職人さんにぶつくさ言いながら、大量のパンを袋に無造作に詰め込んでいる。




「パン屋のおじさん、すごく美味しそうな匂いだねぇ♪

でもそんなにぎゅうぎゅう詰め込んだらパンが潰れちゃうよ?どうしたの?」




「どうもこうも……大量に注文入ったんだが、注文書に書くときに桁を間違えやがったんだよ。

余った分を5つで1銀貨のところ、12個で1銀貨にしてもまだこんなに余っちまったんだ。

仕方ないから、飼料としてピーグの畜産場にでも持って行ってみようかなと思ってな、詰め込んでたのさ」




「ピーグってパン食べるの?贅沢だねっ(笑)

いくらで売るの?」




「う~ん……せめて20個で1銀貨は欲しいけど、もっと叩かれるだろうなぁ~まったく!ぶつぶつ」




「僕買う~!じゃあ、50個あたり3銀貨で売って?

一応、60銀貨分までだったら全部買えるよ!」




「おっ?いいのか?助かるなぁ。

しかし600個以上有るんだぞ、持って帰れるのか?」




「うん大丈夫♪えいっ【お片付け】」




「おぉスゴいなぁ!じゃあ、36銀貨だけどいいのか?」




「ダメだよ、全部で639個あったから39銀貨ね♪

嬉しいなぁ~スゴいおまけしてもらっちゃったぁ、ありがとうおじさん!」




「こっちこそありがとうな、ボク。

畜産場に持って行ってもきっと偉そうに言われて買い叩かれて30銀貨にもならなかったところだ」





お互い感謝しあい、店を出る。






「うわぁ~かわった野菜がいっぱい!

スゴいなぁ、とってもカラフルだねっ。どんなお料理に使うんだろう?」





「ほほほっ坊や。このパプリーは炒めてもサラダにしてもとっても美味しいのよ。

半分に切って中にひき肉を詰めて焼いてもとっても美味しいのよ。

カラフルだから、友達同士で食事会したりとかすると見栄えがいいしね。

とっても人気商品よ」




「へぇ~スゴい!僕の村にはこんなにいっぱいの種類のお野菜なかったからおもしろ~い!」




いろんな野菜の説明を聞いていて、隅っこの方にある商品に気付く。





「ねぇねぇお姉さん、僕の住んでた村は物々交換って出来たんだけど、ここではどうなの?出来る?」





「うん、モノによるわね。

今は肉類や薬草が不足しているからそういうモノならけっこう喜ばれるわよ」






「え~~薬草なんかちょっと外に出たらすぐに見つかるじゃん。

お肉だって、耳ウサギくらいなら自分で狩れるんじゃないの?

じゃあさ、あの隅っこの方にある萎びた葉モノ野菜とか、潰れかけのトメトとかって交換してくれるの?薬草はいろんなの持ってるよ」





「うん街の人たちはだいたい専門……っていうか、

農家の人は畑を畜産の人は動物を育てて、私たち商店は品物を売る……って感じで、自分で狩りはしないの。

お店に行って買うわね。

……あの、解熱草持ってるのかしら?」





「うん、持ってるよ。5枚くらいでいける?」





「いえ、解熱草は不足しがちでとっても高いのよ。

そんなにたくさん買えないわ。

娘が熱を出して家で一人で待ってるから、これでよくなると思うの。

店が終わったらすぐに飲ませるわ、ありがとう♪」




「……お姉さん、この店の品物全部でいくらくらい?

全部買い取るから早く帰ってあげないと!

きっと心細くて泣いてるよ?

今はお金ないから、ギルドで換金してもらって持って行くから、住所教えて。

すぐに家まで持って行くから」





「家はルータ通り7番地のチェルシーよ。

孤児院から6軒めの緑色の屋根の家なの。

でも……」






「可哀想でしょ!

ねぇジョージさん、僕ってギルドで解体頼めるのかな?」





「おっと、ちゃんと俺のこと覚えてくれてたんだ(笑)

もう忘れ去られてるのかなと泣きそうになってたよ。

俺がギルドカード持ってるから割安で解体してもらえるよ」





「え~~解体するのに金かかるんだ。

足りなかったらちょっと貸してくれる?」





「はいはいわかったよ。

チェルシーさん、ジェイドが強引で申し訳ありません。

これは俺の身分証明書です」と、ギルドカードを提示した。





「はゎゎ!Sランク。はい!はい!大丈夫です!」




震えながらカードを返すチェルシーに、ひらひらと手を振りギルドに向かった。







ハニーベアとウイングボアの解体を頼み、肉以外を換金すると金貨7枚になった。





「ジェイド、スゴいじゃないか。かなりの大物だよ、強いんだな」






「魔物と言っても、所詮ケモノだからさ、壁に向かわせて衝突させたり誘導して崖から落としてやっつけるの。

だいたい、僕が小さいからバカにして突っ込んで来るばかりだから」






それからチェルシーの家に着くと金貨を3枚渡す。


「で、コレお土産のハニーベアのお肉♪

保存箱かなんかある?」




出された保存箱に、肉をぎゅうぎゅう詰め込んだ。




「もう品物は全部売り切れたんだからね、明日はずっと娘さんのそばにいてあげてね♪」





と、手を振りながらスキップをするジェイドと、ペコッと頭を下げるジョージ。






この美しい二人はきっと神様と天使様に違いない!と思うチェルシーであった。








「ジェイド、君は本当に素晴らしいよ。

仲間になってくれてありがとう!」




「え~~?僕何かした?」




「ジェイド、君が今日していたこと、俺たちのパーティーはあぁいう旅をしたいんだよ。

今世間ではみんな自分のことで精一杯で、困ってる人を見かけても何も感じなかったり、声をかけるのに躊躇したり……

自分の目の届く場所で困ってる人を見かけたら手をさしのべたい……そんな思いを持った仲間達なんだ」





「うん、その気持ちは大事だと思う。

僕もいつも近所の人たちや冒険者の人たちに助けられ可愛がられてきたから、いつか少しでも恩返しが出来るのかな?と、思いながらいろいろ気にかけt………どうしたの、君?」





路でぐったりしている5~6歳くらいの男の子を見かけた。







「すみま……せん。寄付してもらった大麦を食べたんだけど、なんだかお腹痛くなっちゃったの……」












「ジョージさん、今夜は孤児院に泊めてもらわない?」



「ふっ、そうしよう」








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