テーマ4 お金の使いすぎには気をつけましょう
サブタイトルに題名をつけました。
「パーティーメンバー……これで攻略できる……」
「えっ?」
セツナさんは僕に指を向けてそう言った。
ナリアさんも僕の方を見ている。というより、観察している。
「……こいつで大丈夫なの?」
言われると思いました。
「大丈夫……(たぶん。それよりも、募集かけるの面倒……)」
「セツナさん……(落し物届けただけで、こんな美少女と知り合いになれるなんて……神さま! 【幸運】のギフトをありがとうございます!)」
「セツナがそう言うなら、私はそれでいいけど……(絶対に募集かけるの面倒なだけだ。まぁ、私たちは種族のこともあるから、募集かけて変な人が来るよりはいいか……)」
「ん……。それで、あなた名前は……?」
「ラックといいます。僕も近いうちに冒険階層の攻略をしようと思っていたんです。セツナさん、ナリアさん、よろしくお願いします。(ペコリ)」
「敬語はいらない……。セツナでいい、よろしく……」
「ナリアでいいよ。よろしくね! ラック!」
二人とも手を出してきたので、僕も手を出して握手する。二人とも肌がすべすべだった。
少し長話をすることになったので場所を移して喫茶店にきた。ここはケーキという甘い食べ物や、コーヒー、紅茶などがメニューにある。テーマダンジョン以外では食べることはできないだろう。わからないけど……。
「それで二人とも、どこまで攻略してるの?」
セツナは僕と同じ歳なので、ここに来たのは最近だろう。ナリアも同じ歳だそうだ。だから、そんなに攻略はできていないはずだ。
「まだ2階層……」
セツナがそう答えたとき、初めて表情が変わった。何か、「こんなはずじゃなかったのに……」といった感じだ。1階層は攻略してるのか……。
「あはは……実は私たち、5日前に冒険者登録したばかりで、初日に挑んだんだけど……デスペナくらって所持金が半分になっちゃって、正直ナメてたわ〜」
「あれはずるい……。初見殺し……」
「まぁ、情報を集めなかった私たちが悪いんだけどね」
渋い表情をするセツナとケラケラと笑うナリア。
「たしか、ダンジョンの情報は、冒険者から買うこともできるんだよね? 学び舎でもダンジョンのことを聞こうとしたけど、上手くはぐらかされたし……」
ここ1週間でわかったことの一つに、『ダンジョンの情報の売買ができる』というのがある。
実はこのルール。ちょっと変わった不思議なことがあるのだが……やっていないのでよくわからない。
「そういえば、二人はなんで情報を買わなかったの? (二人いるのなら、情報料は割り勘できるのでそんなにかからないと思うけど……)」
「………………」
セツナはなぜか目を瞑っている。何も言わないつもりだ……。なのでナリアのほうをみた。
「ぇ? ぁ、ぇ〜と(チラッ)」
「…………ナリアも同じだった」
「いや、そう言われるとそうだけど、私はあそこまで使わなかったよ……」
何があったんだろうか……聞かない方が良かったのか? でも二人が散財した理由……知りたい。テーマダンジョンは散財した人でも、生きていけるようにちゃんと救済措置がある。どういう理由なんだ?
「…………私もナリアも、ゲームで散財した……」
はい? ゲーム? しかもセツナ……ナリアの部分を少し強めに言わなかった?
「どういうこと?」
話が全くよめないんだけど……。
「実は私たち、ちょっと事情があって、3年前から孤児学校にいたんだよね」
「へぇ〜。じゃあ、二人ともこのダンジョンができてからいるんだ」
「ん……(コクン)」
「それで、5日前に二人とも成人になったから、卒業祝いで1万Gもらって、街に出たんだけど……」
「……珍しいもの、たくさんあった。その中で、ゲームセンターに寄って、遊んだら……」
「装備品は買えたけど、情報料を取っておくの忘れてね。まぁ、情報が買えるって知ったのも、そのあとだったんだけどねー」
それで、そのあと試しに冒険階層の攻略をしようとしたら、初見殺しの罠にかかって、さらに所持金が減ったらしい……これから先、大丈夫だよね?
○おまけ○
「二人とも、ゲーセンでなんのゲームやったの?」
「……UFOキャッチャー。ぬいぐるみが欲しかった。4000G使ったのに、取れなかった……」
「そ、そうなんだ……(200Gで取ったことあるって言いづらくなっちゃった)」
「私はメダルゲーム。2000G分のメダル買ったけど、全部使っちゃったんだよねー!」
「そ、そうなんだ……(ゲーセンのメダル記録に1万枚あるって言いづらくなっちゃった)」
読んでくださりありがとうございます。