テーマ3 落し物から始まる出会い?
メインヒロイン2人登場です。
僕は今、テーマダンジョンの中にある冒険者ギルドに向かっている。
ここのギルドには、外とは違う依頼がたくさんあり、中にはちょっと不思議な依頼もある。
というのも、ここでは外と違い、『討伐・捕獲』の依頼がない。
少ないのではなく、無いのだ。
その代わりに、お手伝い系の依頼や素材の採取依頼などが多くある。
僕は1週間、お手伝い系の依頼をやっていた。
珍しい仕事が楽しくて、冒険階層の攻略をすっかり忘れていた……。
お金も贅沢しなかったから特に困らなかったのもあって……
それに、依頼をやっていて収穫もそれなりにあった。
このダンジョンで犯罪を犯した。
いや、犯そうとした人の末路を知ることができたり、独特な稼ぎ方がどういったものかわかったり……。
……ん?
ギルドに向かう途中、道に落ちているカードを見つけた。ここでの身分証だ。通称『ダンジョンカード』。
「ダンジョンカードだ。落とし物……だよね?」
ちょうどギルドに行くところだったから届けよう。
名前は『セツナ・15歳』と表示されている。
僕と同じ歳だ。
どんな子だろうか?
○
「これ、落ちてました」
ギルドに入ったあと、受付にいき、落ちていた身分証を受付の人に渡した。
「わかりました。お預かりしますね」
――チャリン――
僕のダンジョンカードで音がなった。
所持金のところをみると、1000G増えていた。
これが、このダンジョン、独特の稼ぎ方の一つ。
『テーマダンジョン独特な稼ぎ方その1』
親切なことをすると、それに見合った金額がダンジョンからダンジョンカードに振り込まれる。
人に有益な情報を教えてもお金が入る。
依頼で金額が指定されていた場合には入らない。
『お知らせをします。冒険者のセツナさん。受付までお越しください』
受付の人が放送でセツナさんを呼び出した。
そして、セツナと呼ばれたその少女は、1分もしないうちに来た。
腰のあたりまでサラサラとした長い白髪。大きくも小さくもない胸。身長は僕と同じくらい。そして頭の上には獣の耳があった。お尻からは尻尾も生えている。顔は小さく、鼻と口も小さい、目はクリンとしていて眉は細い。可愛い顔だ。
獣人族は、ほとんど人族と同じだが、獣耳と尻尾だけは違う。
だから獣人族の人たちは、全部で耳が4つある。
「あちらの方が拾ってくれたみたいですよ。みつかってよかったですね」
受付の人の言葉に黙って頷くセツナという少女。
そして彼女は僕の方を向いた。
「拾ってくれてありがとう……」
セツナさんの声は、少し高めで澄んでいて、聞いていると、とても穏やかな気持ちになる声だった。
「あ、ど、どういたしまして……「セツナー! おまたせー!」」
と僕の背後からセツナさんを呼ぶ声がした。
友達のようだ。僕は振り返った。
「ナリア、遅い……」
「ごめん、ごめん。騒ぎがあって、それが気になってちょっと見物してたんだよねぇ」
ナリアと呼ばれた女の子は、青色の髪で長さは肩くらいまで、背は僕よりも少し大きい。顔立ちは可愛いというよりはきれいといった印象だ。それなのに性格は明るく元気がある。そして1番強調しているのが胸だ。デカイ……。
「ナリア。みつけた……」
そういって、セツナさんは僕を指差してきた。
「みつけた」ってダンジョンカードのことかな?
「パーティーメンバー……これで攻略できる……」
読んでくださりありがとうございます。