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「グラはグラって呼んで欲しいの!」
「わかったよグラ」
紫色の髪をした幼女が仲間になった。詳しくは前章を見てくれ。
それよりも牢屋から出れてないんだけど!誰かこの牢屋を開けてくれ!ヘルプミー!
「早速困っているようなの!グラが手伝うの!」
「お前俺の心の声読むなよ......それで作戦は?」
「グラが牢屋の檻を食べるの〜」
「そうかよし頼んだ......ん?」
あれ?今檻食べるって言わなかった?言ったよね!?
ガジガジ
おいおい幼女が檻を食ってるよ。なんてアメリカンジョークだよ。ははは。いや現実逃避するものじゃないな。幼女、ではなくてグラが檻を食っている。うん最近の幼女は高性能だなぁ。いかんいかん。また現実逃避していた。
ガキんと檻が一本外れる。
まあグラだからってことにしておこう。うん。
「ありがとな」
「このくらいお安い御用なの〜」
得意げにグラがくるくる回る。幼女って可愛いな。いや、本当に可愛いな。純粋に。
俺はグラとともに牢を出る。
他のおばちゃんたちはみんな殺されていた。俺が一番奥の部屋だったらしい。みんな頭を一発で即死だったらしく苦痛は感じなかっただろう。俺は静かにいのる。アイツら。許さねえ。
精神耐性のおかげか。よくある気分が悪くなるなんてことは一切なかった。なんだか無慈悲になったのではと錯覚してしまう。
とにかく情報だ。情報が欲しい。
俺たちは牢獄の出口まできた。やはりみんな殺されていた。無実な奴まで殺されていた。アイツらは一体なんなんだ?
「おーい。まだかー?」
やばい!またアイツの仲間がやってくる!俺は出入り口のドアの裏に隠れる。
アイツがまた入ってきた。腹が鳴る。でも今回は情報が欲しい。
「おい、グラ。グラトニーはまだ使えるか?」
「まだ空腹なの!いっぱいたべれるのー!」
「了解」
俺は出入り口を通過して中に入ってきたアイツに呪文を唱える。
『グラトニー』
アイツの足だけをもいだ。いや、食らった。味なんてものは感じない。直接胃袋行きだ。
「うがあああ!なんだこれ!足があああ!」
「黙れ」
俺はカッターを首筋につける。コイツは頑張って声を堪える。だが両足を失った痛みから呻く声は抑えられないようだった。
「今からいう問いかけに答えろ。いいな?」
「は、はい....」
「まずお前は誰だ?国の名前から全て答えろ」
「はい......グレイブ帝国一般兵スー・シーボであります....」
「この国には何をしにきた?」
「て、帝国が法国を壊滅状態にしたためその後処理としてきました......」
「そうか......『グラトニー』」
帝国兵は一瞬で俺の腹に入る。
なんかスパイごっこしてるみたいで少し楽しい。いや、人が死んでるんだ。楽しんじゃダメだろ。めっ!
つまり俺らがいるのはなんとか法国でグレイブ帝国が攻め込んできたわけだ。それで法国は落ちた。その後処理で帝国からまた出兵。つまり皆殺しにきたわけだな。
俺たちが取る行動それは......
「よし、逃げるぞ」
「おー!なの!」
俺はあまり見慣れない街を外に外に走っていく。俺の全速力に平然と付いてくる幼女。ねえ、おかしくない?やっぱこの子人間じゃないよね?
帝国から来た兵は少ないらしく俺らは誰にも会うことなくスラムまでやって来た。ここまで来たらあとは楽だ。
バウワウ!
この声は......ヘルだ。ヘルは俺のことを覚えているらしく足元にじゃれてくる。
「ヘル、お前の飼い主は?」
「クゥーン」
「そうか」
あの子も殺されたのか帝国許せねえ。とまあ、一人がりきんだどころでって話なんだろうけどね。いやでも俺にはグラがいる。グラを見やる。俺に合わせてトコトコと付いて来ている。と思ったらヘルに乗った。ヘル意外とがたいいもんなー幼女だと乗れちゃうよね。
ヘルも俺に付いてくるようだ。これは思わぬ誤算だ。戦力が増えるのはやっぱりこの状況だと嬉しい。ヘルは地獄の番犬とも言われる存在だと今は亡き少女に聞いた。その力思う存分に発揮してくれ。
スラムはごちゃごちゃしていてどんどんと末端の方へ方へと進んでいきやっと法国を出ることができた。
いや法国でかいよ!ただでさえでかいのに牢屋の位置が意外にも高いところに作ってあって降りるのに数時間要した。いやまじ法国半端ないって。ただ途中で大きな通りに抜けれたところはでかかった。おかげでスラムまで一直線だ。
この街も本当はいい街だったんだろうけどねえ、まさか大盛りスタミナ丼で逮捕されるとは......今思うと太陽が気持ちいい!俺転生初日から牢屋生活だぞ?なんかその前もベッドアンド点滴生活だったから俺は久し振りにお天道様を拝むことができたわけだ。でもこの国はもう終わっちゃうのね。
まてよ。この国ではなく異世界全体が七つの美徳に支配されていると聞いたことがあるぞ。ああ〜このさきもまだ腹一杯ご飯が食えないのかー。どうしよう。神様に喧嘩でも売ってみるか?俺とか小指でつんってはじかれて終わりそうな未来が見える。
俺がスラムを抜け森の中を走っているとグラが訴えかけて来た。
「おかしいの!」
「何がおかしいんだ?グラよう?」
「なんか復活してからいつもより調子がいいの!」
「ああ、それきっとあれだ。俺が食に極振りしたからだ」
「食に極振り?意味がわからないの」
「まあ俺が特殊ってことさ。よかったな相棒」
「よくわかんないけど契約相手が田中で良かったの!」
なんか適当に返事しちゃったけど、そういうことでいいよね?俺が精神耐性と健康な体、残りは食に極振りでって言う注文どおりのはずだからさ。この世界にスキルって概念があるのか知らないけどこの力は俺だけのものと思う。俺がこの世界の勇者だ!なんて言ってみる。勇者にしてはカニバリズムしてるよねえだって?仕方がないだろう!生きるためなんだから!別にあの状況で死なないのならわざわざグラと契約なんてしないしあんなことになってないって言うの!
不意にグラが気になった。
そこには悪魔がいた。こちらを見ながら怪しく笑うグラの姿。幼女の笑いでは決してない。艶やかに笑うその姿は年不相応の色気を感じる。
グラが口を開いた。
「田中ー。それで契約の代償を今から言うの。心して聞くの」
「は、はい」
なんだこれ?体がかくばる。緊張?恐怖?精神耐性を突き抜けて恐怖しているのか?人を殺すことにも恐怖しなかった俺が?この幼女いったいなんなんだ?




