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immortal life  作者: ハクハク
2/5

第2話 速攻の再開

「くっそぉ!あの駄女神、いつか必ずぶん殴ってやる!」


 そんなことを叫びながら、俺は今、緑色の肌をした鬼のような生命体に追いかけられています。


「ギャギャギャ!」


 全くもって何を言っているかわからないが、とりあえず手に棍棒みたいなのを握って追っかけてきてるから、捕まったらやばいのはよくわかる。


「うぉぉぉぉぉ!」


 いや、不死の祝福を貰ってるって話だから、殴られてもいいのかもだけども。人間、痛いのは嫌なものである。と、逃げ続けていたところ、後ろから追っかけてきていた奴らの声が小さくなっていく。どうやら逃げ切れたらしい。


「ふぅ・・・勘弁してくれ。あのクソ女神、召喚まで適当にしやがって。殴る回数が二回に増えたな。」


 愚痴りながら、暗い森の中を歩くが、方向が全くわからないし、そもそも場所がわからない。この森からの脱出の目処が全く立たないのが現状となっている。


「あー、都合よく誰かいねえ、か、な。」


 言葉が途切れ途切れになる。それもそのはず、からの視線の先には、先ほどあったばかりの、女神二人がいたのだから。


「・・・。」


 一度落ち着こう。姿勢を正して、深呼吸をしよう。


 スー、ハー。


「わた・・・ない・・・!」


「ふれ・・・いい加減に・・・!」


 なんか言い合ってるみたいだが、まぁとりあえず。


「くたばれこのクソ女神ぃ!」


 全力で殴りかかることにしました。くそ、避けられた。


「あっぶな!何すんのよあんた!って、あー!」


「あー!じゃねぇ!お前のせいでさっきから散々なんだよ!」


「うるさいわね!神に文句言う気!?」


「おー、だいたいお、まえ、が・・・。」


 横を見てやっと気づく。マリナ様が、ブチギレてらっしゃると。


「なによ!?言い返せないの!?そーよね、そーよ!神に向かってそもそもなんか言おうって言うのが間違いなのよ!」


 やばい、目の前の駄女神はこの状況に気づいていない。


「全く酷い話よ!私なーんにも悪いことしてないのに、あいつら神堕としするなんて、信じられない!」


「フレイ?」


 怒ってる。やばい、超怒ってる。これは触らぬ神に祟りなしというやつだ。


「なによ、マリナ!わかったでしょ!?わたしは、なーんにも悪く、ない、のよ・・・。」


「フレイ、ちょっと座って?」


「ハイ・・・。」.


「浅間様も。」


「ハイ・・・。」


 逆らえず素直に座る。いや、これはダメです。逆らえないです。


「まず、フレイ。」


「ひゃい。」


「あなたは、自分が悪くないと本当に思ってるんですか?」


「だ、だって、私は、神様だもん・・・。」


「そう言って、ずーっと適当にやってきたからこうなってるんですよね?だいたいなんで私も巻き込まれてるんですか?あなたの同期と言う理由で、見張り役のようなことをなんで、私がやらないといけないんですか?さすがに私も怒りますよ?」


「ごめんなひゃい・・・。」


 泣きそうだ、この駄女神。


「次に浅間さん。」


「は、はいっ!」


「確かにフレイがやったことは、許せるものではないでしょうけど。だからと言って、いきなり殴りかかってはいけませんよ。やる時は私に一声かけてください。協力しますので。」


「ま、マリナ!?」


 悲痛な声を出す駄女神。ざまあみやがれ。


「とにかく、今はここを出て、近くの町に行きましょう。」


「そうですね、ここってどこなんですか?」


 ずっと気になってたことをマリナ様に尋ねてみる。


「ここは、初心者の森ですね。対して強い魔物もいません。ですが、その・・・。」


「あー、はい。多分俺は能力が不死だけなので、それにも勝てない可能性が高いんですね?」


「いえ、その、はい。」


 うーむ、わかっていたがショックだ。異世界というにはもっと、そういうものを体験してみたかった。と、思うが、気持ちを切り替えようとしたところで、


「なに言ってんの?マリナ。こいつも戦えるじゃない。」


 駄女神の衝撃発言が飛び出す。


「ふ、フレイ!それは!」


「え、あるの?あるんだったら、駄女神、早く教えろよ。」


「駄女神ってなによ!?ふん、まあ私は心が地球並みに広いし?寛大な私は、あなたに説明してあげるわ!」


 ふむ、どうやらガチであるらしい。マリナ様が不安そうな顔をしているのが気になるが、まあとりあえず、話を聞こう。


「私たちの盾になれば、いいのーー!?」


 殴った。もう情け容赦なく。今のはもう俺は悪くない。だが、俺は一応マリナ様の方を向いて、


「マリナ様すいません。つい耐えきれずに、約束を破ってしまいました。」


「い、いえ。今のはもう、私でも多分殴りましたし・・・。」


 しかし、なにをオーバーに吹っ飛んでるんだ、あの駄女神。いくら俺が思いっきり殴ったと言っても、さすがに10mも人は吹っ飛ばないぞ。


「おい、なにしてんだ駄女神。早く起きろ。」


「キュウ・・・。」


 マジで気絶してる?何故?俺は前の世界では多少、喧嘩慣れしていたが、それでも流石に、そんな力はない。


「これは・・・!?」


 と、そこでマリナ様が、何かに驚いている。何かな、思ったので、


「マリナ様、なんかあったんですか?」


 聞いてみると、マリナ様が慌てたように説明を始める。


「あ、あの。浅間様の能力を見ていたのですが・・・。」


「あー、不死ですか?もしかして、回数制限があるとかそういうのじゃ・・・!?」


 もしそうだったらシャレにならん。マジでこの世界で細々と生きていくしかなくなりそうになる。


「いえ、その、浅間様には、スキルが付いていたのです。」


・・・?それは嬉しいけど、なんでそんなに驚いているんだろう。


「その、説明しますとですね。神から付与された能力というのには、必ず1つスキルが追加されます。しかし、それは確率で決まるものでして、不死に追加される能力は、「不痛」という、痛みを感じなくなるスキルが99.9%と言えるのです。」


 ほうほう。


「ただ、残りの0.01%のごく稀なスキルがありまして、そのスキルを浅間様は持っているのです。」


「え、どんなスキルなんですか?」


「「制限解除」というスキルです。普通人間は、身体の20%ほどの力しか発揮できません。それは、無意識にリミッターがかかっているからです。浅間様の持つそのスキルは、そのリミッターを意図的に外す、というものです。」


「なる、ほど?」


「ええと、つまりですね。60%の力でものを殴れば、普段の3倍の力で殴れると言った感じです。おそらく、フレイは先ほど、それで吹っ飛んだのかと。」


「へぇ、それは何%までいけるんですか?」


「事実上制限はありませんが、でも気をつけてください。あなたは「不痛」のスキルは持っていません。つまり、あまりにも過ぎた力、そうですね、だいたい100%を超えたあたりからでしょうか、体に激痛が走ると思います。不死なので、身体の死はあり得ませんが、心の死はあり得ます。1000%をこえれば、基本的には、その激痛に耐えられず、精神崩壊するものと思っておいてください。」


 怖っ!?何その能力!?


「まぁ、100%でも、岩1つくらいなら砕く威力を出せますので、よっぽど使うときはないと思いますけど。」


「よかったぁ・・・!」


 マジでそう思う。さすがに精神崩壊とか嫌だし。そうだ、異世界といえば。


「ところで、魔法とかは使えないんですか?」


 期待を込めて、聞いてみると


「その、不死の祝福を持つと、魔法適性が無くなるので・・・。」


 その言葉に、俺は気絶している駄女神の方を向いて。


「またお前のせいか!!」


 こいつにどれだけ苦しめられるんだろうと、悔しく思った。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さて、では街に向かいましょう。「ルート」!」


 と、マリナ様が言うと、矢印のようなものが地面に出てくる。


「おぉ、これはもしや、目的地を指しているとか?」


「その通りです。この方向に向かえば、街につきますよ。」


「マリナ様がいて本当によかったぁ。」


「いえいえ、ふふっ。あ、それと、「イミテイト」!」


 その言葉で、マリナ様は、雲のようなものに包まれたかと思うと、中からは先ほどまでの白髪で長髪、青の瞳に、神らしい服装をしていたマリナ様は、おらず、代わりに白髪で短髪、黒の瞳に、白いローブの魔法使いのような服装をした女性が現れた。


「一応この世界で崇拝されている神なので、姿を変えておきます。名前もそうですね、マリアにしておきましょう。」


「姿まで変えれるんですか、マリア様。」


「アサマさん、様は抜きにしましょう。」


 マリナ様、いや、マリア様が人差し指を立てて俺の口に当てる。


「あ、そうですね、えーと、マリアさん。」


「さんもいらないのですが・・・。まあいいでしょう。」


 そう言ってニコッと笑うマリナ様は、めっちゃ可愛い。惚れそう。っと、それはそうと。


「そーいやマリナさ、あー、マリアさんたちはなぜここに?」


「えっと、まぁ、なんとなくさっきの会話で察してるかもなんですが、要するに厄介払いされたんです。他の神たちに。」


「それはまたなぜ。」


「フレイがやらかしたのって今回だけじゃないんですよ。」


 そりゃそうでしょうね。


「で、毎回問題を起こすので、神としてあるまじき存在だ!と、排斥されまして。ついでに私は、「あいつが地上で変なことしないように見張ってて。」と、一緒に堕とされたんです。」


 マリナ様がめっちゃ不遇な目にあってる。


「まぁ、もうさっき叱ったのでそれはいいとして。とりあえず、この世界で暮らして、他の神の怒りが冷めるのを待とうかと。」


「なるほど、大変ですねぇ。」


「いえ、アサマさんほどじゃないですよ。」


 お互いに苦笑する。どうやら、同じ感情を分かち合える同士となれたようだ。


「む、むぅ、いたぁい・・・。」


 と、そこで駄女神が起きた。


「なに、後頭部に果てし無く強い痛みを感じるんだけど、私の身に何かあったの?」


どうやらおれに殴られたことは忘れているらしい。よかった、これで警戒されることなくもう一度ぶん殴れる。


「起きましたか、フレイ。ほら起きて。街に向かいますよ。」


「んー?あんた誰よ。」


「誰って、私はマリナですよ。」


「嘘よ、私の知ってるマリナはもっとこう、胸を強調してくる服を着てるわ。そんな大人しい服を着るはずないんだから。」


 空気が、凍る。あかん、あいつ多分今言っちゃいけないこと言った。


「フレイ・・・?」


「なによ!?マリナの偽物!脅かそうったってそうはいかないからね!」


 駄女神もこの空気を察したのか、慌てるが、もう遅い。


「いい加減にっ、しなさぁーーい!「ファイアー」!」


「あっつぅーーい!?」


 マリナ様の怒りの炎は、駄女神を直撃するのだった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「う、ぐすっ、熱いよぉ。」


 後ろには姿を変えた駄女神が付いてきていた。赤髪、短髪はそのままに、目の色を赤から緑に変え、さらに、服を神らしいものから、

 シスターのようなものにしていた。名前はフレイから、ミレイへと変えるらしい。


「ミレイ、流石に魔法を使ったのは謝りますから、泣くのをやめてください。」


「うぅ〜、ぐすん。」


 ちなみに駄女神は、先ほど燃やされて、体からぷすぷすと煙が上がっている。やったぜ。喜びながら、おれはマリアさんに残りの距離を尋ねる。


「マリアさん、あとどれくらいですか?」


「そうですね、あと30分ほどで出れますよ。ですが油断はしないように。この森は、初心者の森とは言われていますが、それなりに強い魔物もいます。とは言っても、この森の特定の実の匂いに反応する魔物ですので、その近くを通らなければよほど大丈夫です。」


 よかった、それなら安心だし、意外と出れるのが早い。。これなら、難なく森から出れそうだ。


「疲れたし、もうやだー。お腹すいたからこれ食べよーっと。」


 後ろで駄女神がなんか言っているが、無視無視。


「ミレイ、あと少しですから、がま、ん、を。」


 マリナ様が、硬直。その光景におれは非常に嫌な予感を覚える。まさか、まさかとは思うが。おれも振り返ってみると。


「・・・?なによ二人して。あ、この実が食べたいの?ダメよ?これはさっき私が拾ったんだから。」


 大きな足音が聞こえる。おそらく、この実の匂いに食いついた魔物が来たのだろう。おれとマリナ様は、顔を見合わせて。


「「この駄女神!」」


 思いっきり叫びました。

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