三匹の子豚 another story
初投稿です。拙い文章などあると思いますが、それでも言い方は、本編をどうぞ。
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狼には、友達がいない。いつも一人。今日もひとり森で暮らしている。
狼の住む森には、誰も住んではいない。狼を怖がって、みんな離れてしまった。人間の村に行ったこともあったが、みんな怖がって話すらせず、銃で撃たれた。そして、命からがらにげてきたのだ。あれから、もう人間の村には、近づかないと決めた。
狼は一度も、生き物を襲ったことはない。でも、狼が狼である以上、怖がられてしまうもの。
「今日も僕は一人。わかってたけどさ。」
しかし、今日からは一人じゃない。今日、三匹の子豚の兄弟が引っ越してきたのだ。狼はただ友達が欲しかった。子豚さんならきっと.........。
一人、狼は森を歩く。子豚の家を目指して歩く。いつも見ているはずの森が今日は新しく見えた。
大樹の元をこえ、洞穴の横を抜けた先は、子豚の兄弟の住み始めた家の建った場所。
藁、木、でできた家が立っている。真ん中の子と、末っ子の子豚が住んでいる。兄の子豚は、少し遠くに住んでいるらしい。
「こんにちわ~~。」
狼は挨拶を藁の家にむかって、声をかける。少しした後、ドアが開き子豚が顔を見せる。
「こ、こんにちわ。あなたが狼さんですか。思ったより優しい人で良かった。」
「僕のことを知ってるの?」
正直、驚いた。ここに住んでいると知っていながら、ここに来る人なんて初めてだった。
「そりゃそうですよ。ここに住むって言ったら何度反対されたことか。」
「君も、僕が怖い?」
「いえ、あなたを私が怖がることはないでしょう。こんなに、優しそうな狼なのに。」
「な、なら!!。友達になってくれないかな?」
「もちろんです。私の兄たちを紹介しましょう。」
末っ子の子豚は、隣に住んでいる子豚も紹介してくれた。真ん中の子豚は、狼を怖がっているようだったが、一度も生き物を襲ったことがないことを話すと、直ぐに仲良くしてくれた。
ちなみに、末っ子の豚の名前は、ピッグ。真ん中の豚は、ホッグ。というらしい。
そして、狼と子豚二人は、毎日遊んだ。狼には、初めて友達ができた。
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「ボア兄さん、狼さんはやっぱり悪い奴なんかじゃなかったよ。」
「いや信じられないね。きっと今も、お前たちをいつ襲うか考えているに違いないね。だからもう、狼なんかと関わるな。」
ここは、煉瓦の家。ピッグとホッグは、長男の子豚のもとに遊びに来たところだ。
「どうしてなの?どうしてみんな狼さんを怖がっているの?あんなにいい人なのに。ただ、友達が欲しいだけなのに。」
「お前は騙されているんだ。あの狼は、一度人間の村を襲ったそうじゃないか。」
「違う!それは、人間が勝手に早とちりしただけだ。」
「どうかな。とにかく俺は、狼なんて信じられない。」
その一言を聞いて、二人の子豚は煉瓦の家を出て行ってしまった。
「これも、お前たちのためなんだ。悪く思わないでくれよ。」
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次の日。
狼は朝の日課になっている森の見回りをしていた。そして、見てしまったのだ。二人の猟師が森に入っていくのを。
狼は走った。ピッグとホッグに伝えなくちゃ。全力で走った。
そして、子豚の家に着いたときすべては終わっていた。藁と木の家は、まるで息で吹き飛ばされているかのように、こわれていて猟師の右手には、二人の子豚の死体が。
頭を撃たれて死んでいた。
「お前が噂の狼か。いや~あの豚ここに、豚と狼がいることをおしえてくれてよかったぜ。」
「ホントそうだよな。弟たちを売るなんて、ひどいことするよな。一応、依頼だし狼も殺っとこうぜ。」
猟師たちはケラケラ笑っている。
その瞬間、狼は動き出した。
..................復讐するために。
狼は一瞬で近づき、猟師に首筋にかみつき、嚙み切った。ブシャっという音ともに、生暖かい液体が、狼を赤く染める。
「あ、ああああ。は、話が違うじゃねえか。狼は襲ってこないって言ってたのに。あの子豚絶対に殺してやる。」
そういって、猟師の一人は逃げてしまった。
追いかけようとも思ったが、また殺してしまうと思い、やめた。
そんなことより、子豚たちだ。急いで子豚のもとに行ったがすでに息はなく、冷たくなっていた。
「ごめんね。僕とかかわったばかりに、君たちをこんな目にあわせてしまって、ほんとに、ごめんね。」
狼は泣いていた。あふれるばかりの涙は、土を濡らし色を変える。
狼は、森の中の少し広い広場になっているところに二人のお墓を作った。この広場でも、ピッグやホッグとよく遊んだ。
「大丈夫。君たちのお兄さんは守って見せるから。」
狼は、お墓に一度手を合わせ、背を向けつぶやく。
狼は、猟師の一言を忘れてはいなかった。
”あの子豚絶対殺してやる”
何とかして守らなくちゃ。今度こそ守らなくちゃ。
使命感にかられ、狼は駆け出した。
煉瓦の家はとくに、何も変わりなかった。
「豚さん、開けておくれ。たのむ。あけてくれ。」
「お前が、俺の弟たちを。絶対ゆるさん。」
家の中から聞こえたのは、以外な回答だった。
「何を言っているんだ?ピッグ達は、あの猟師に殺されたんだ。」
「嘘だ。おれは噂で聞いたんだ。お前が、弟たちを食べているときに、猟師がやってきて猟師の一人も食べられてしまった。って。」
「違う!!。僕はそんなことしてない!!」
あの猟師だ。あいつがこんなデマを。あいつどこまで、僕から奪うんだ。
「ほんとだ。信じてくれ。次のターゲットは君だ。頼む。この扉を開けてくれ。僕に君を守らせてくれ。」
「俺はお前なんて信じないぞ。」
その時、鳴り響くズドンという音――銃声だ。いつの間にか背後に立っていた猟師が、狼を撃った。
幸い、即死は免れたが、狼は倒れてしまう。
「豚さん、狼なら殺しましたよ。安心してください。俺はあなたの味方です。」
憎たらしい声が響く。
「やはり、あなたを信じてよかった。」
ガチャという音をたて、扉があく。中に猟師が入り、子豚がお礼を言っている。
「ほんとに、ありがとうございます。生きた心地がしませんでしたよ。お礼は、私にできることならなんでもします。」
「そうか。..................なら死んでくれ。」
猟師が銃を向ける。それと同時に飛び出た灰色の影。もう一度ズドンという音をたて、銃が火を噴く。
灰色の影―――狼は、銃撃を受け、血が飛び散る。それでも倒れず、猟師に飛びつき、首筋をかみ切る。
紅い血があたりに散らばり、猟師は死んだ。
狼も倒れた。
「どうして、俺なんかを庇って。俺はお前を信じなかったのに。俺はお前を殺してほしいと依頼したのに。」
ボアは泣いている。顔をグシャグシャにして、ボロボロ泣きわめいている。
「ピッグとホッグが守ってくれって言ってる気がした。僕の初めての友達だったから。言うことを聞きたくて。」
狼には、分かっていた。もう自分は助からないことを。
「ねえ。最後にお願いをしてもいい?」
「なに?なんでも聞いてあげるから。」
「..................僕と友達になってくれませんか?」
「もちろん。」
狼は、その言葉を最後に、死んだ。ボアの返事は、届いたかはわからないが、きっと届いたと信じているボアだった。
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森の中。
一人の子豚が祈りをささげる。
主を失った森には、新しい主が住んでいた。
新しい主は、毎日欠かさず三つの墓に祈りをささげた。
「みんな、元気にしてるかな?」
完
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