第四章のあらすじ
☆第四章 リヒトの島の冒険
ひょんなことから団員たちは、リディアの誕生日が先月だったことを知り、リヒトの島へ行くことを決意する。
困難を乗り越えて上陸したリディア、ファルシード、バド、カルロ、ケヴィンの五人は宝を求めて、島を行く。
道中カルロが、『ネラの標』について話し出し、解読できた千年前の歴史の一部について語りはじめた。
一つ目は、モンスターがどこからやって来たか、ということ。
千年前には、世界の至るところに異界に通じる歪みがあり、そこから、モンスターが侵入してきていたようだ。
二つ目は、突然変異した証を持つネラの父がその“歪み”を封じ、世界が平和になったこと。
三つ目は、平和になったことで、今度は人同士で証を武器にした激しい戦争が始まり、互いの豊かさを奪おうとしはじめたこと。
四つ目は、千年前は今のように限られた家系にのみ証があるのではなく、ありふれたものだったということ。
これらから、リディアたちは、証を『魔力を持つ者に現れる印』ではなく『魔力を増幅させ、魔法に変える変換器』なのかもしれないと考える。
証があれば、誰でも魔法を使えるのではないか、と結論付けた。
この後の歴史は、経典どおりであれば『愚かな人間の心が結集して暗黒竜を生み出し、ネラが犠牲となって最果ての地に封印した』となるが、信頼できない……と五人は頭を悩ませている。
やがて、五人は宝を発見し、船へと戻った。
その日の夜、宴が開かれ、団員たちからリヒトクォーツを使ったブレスレットが贈られたリディアは感激する。
一方、ファルシードはいつものように、仲間たちから一定の距離を置いていた。
リディアには、その理由がわからない。
自分のことを疎ましく思っているのではないかと考えたが、カルロは『逸話から考えても、それはない』と話す。
カルロは、リヒトクォーツをはじめて誰かに贈ったのは、千年前ネラの護衛をしていた騎士イアンだと言った。
イアンは命がけでネラ・アレクシア(現在は神として祀られている女性)を守り、死の瞬間まで戦い抜いたと伝わっており、教典に出てくる人物の中でも、特に人気が高い人物だった。
ファルシードがその逸話を知っているかはさておき“強い絆”という願いがこもった石であることは有名なようだ。
その石を渡そうとしたのだから、リディアや仲間を疎ましく思っているわけではないとカルロは言うが、リディアはますますファルシードのことがわからなくなっていた。
次に団長と話したリディアは、ファルシードが独りになろうとする理由を知る。
ライリーによると、奪われ続けてきたファルシードは、大切にしてきたモノを奪われることがどういうことなのかを知っていて、失うことを嫌と言うほどに知ってしまっているのだ、ということだった。
リディアが自室へ戻ろうとすると、ファルシードが呼び止めてくる。
彼はリディアが過去や裁きの証について探っているのを気づいていたようだったのだ。
ファルシードは怒り、リディアを犯そうとする素振りを見せてきたが、リディアは本当にそうしたいのなら構わない、と受け入れようとする。
その言葉にファルシードが思い止まった後すぐに、ネラ教会の船が見えたという報告がやってくる。
船の仲間を守るため、二人は船を降り、ノクスにのって陸路を進むことを決める。
一ヶ月後、アクアテーレで合流する約束をし、二人と一匹はフライハイトの船を離れたのだった。