第一・二章のあらすじ
いつもお読みくださいまして、ありがとうございます!
この章は、ここまでの重要部分のみを抜き出したプロットのようなあらすじになります。
物語も長編になってきましたし、用語も増えてきたため、わかりやすくするために作らせていただきました。
ここまでの内容をまとめたものなので、あらすじ部分は飛ばし、本編に向かっていただいて大丈夫です。
☆第一章 はじまりは夕闇とともに
穏やかな港町ミディ。
そこには魔力持ちであることを示す“風の証”を胸に宿した娘がいた。
彼女の名はリディア・ハーシェル。
リディアは生まれながらにして、世界のために生贄になることを義務付けられている『祈りの巫女』だった。
夜間の外出や読み書き、恋愛など多くのことを禁じられ、軟禁に近い状態で生きていた彼女だが、十八歳の誕生日前日、ネラ教会から『明日、ピート・ガスリーへ嫁げ』という手紙を渡されてしまう。
婚約者であるピートは暴力的な男であり、そんな男と結婚して子どもを産むことも、将来生贄となって世界を救うことにも恐怖を感じたリディアは、家を飛び出した。
だが、この世で唯一の宗教であるネラ教会は、強大な権力を握っている。
逃げだしたところで、かくまってくれる者など現れるはずがない。
ハンス司祭からも『暗黒竜の封印を解いて、世界を破滅させる気なのか』と脅され、リディアは逃走を諦める。
今では神と崇められるネラ・アレクシアが千年前に施した“暗黒竜の封印”を継続できるのは、“証”を持つ者の命を捧げる他ないからだ。
リディアが逃走を諦めたその時、幸か不幸か、黒髪の男とグリフォンによりリディアは誘拐されてしまう。
黒髪の男ファルシードはフライハイト盗賊団の一員であり、リディアはそのまま盗賊団の船へと移送されることになってしまったのだった。
☆第二章 盗賊団フライハイト
リディアとファルシードは、神官に見つかることなくミディ町をあとにする。
帆船に乗ったリディアはファルシードに連れられ、盗賊団の団長であるライリーと出会う。
ライリーは『レイラに命を救われた』と話し、彼女への恩を返すために娘であるリディアを攫い、船でかくまうつもりだったのだ。
リディアはライリーの申し出を受け、フライハイト盗賊団の一員として生きていくことを決めた。
だが、男所帯ではリディアの身が危ぶまれる。
そのため、フライハイトの二番手であるファルシードと恋人の演技をしていくことが決まる。
ファルシードは自他ともに厳しく、人と慣れ合うのを好まない男だった。
消滅したはずの古代言語も知っている様子だが、その理由を話すことはなく、彼にはどこか陰があるようにも見えた。
他にもリディアは船で仲間と出会う。
お調子者のバドやグリフォンのノクス、女好きの色男カルロ、口数が少なく堅実なケヴィンだ。
個性的な仲間たちに囲まれ、料理係として必要とされることで、リディアも少しずつ打ち解けていった。
フライハイトのメンバーはやがて、新しい町へと降り立つ。
だが、仲間だと思っていた男から騙されてしまい、リディアは司祭エドガーと会うことに。
彼はリディアを責め、再び洗脳をしようとしてきたが、ファルシードが現れたことで状況が変わる。
やがてリディアは、困難と向き合うことから逃げてきた自分を自覚することとなった。
ファルシードは、リディアに自身の“証”を見せてきて、“人は自由に生きる権利を持ち、他人の心を制することはできない”と語る。
心動かされたリディアは無知だった自分を自覚し、生贄になるかは全てを知ってから決める、と自身に誓う。
そして、私に世界は救えない、ということを司祭に言い放ったのだった。