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最強魔導師だって嫉妬する  作者: rainydevil
学園編
9/69

グラヴィティブーツ

前話までは少々主人公の周りがホモ臭くなっていましたが次話でメインヒロインが出ますので悪しからず(´∀`; )

アラト、リョウ、トーマスに魔導具を教えた数日後僕は魔導具の製作に取り掛かった。


因みに魔導具に使われるの金属は魔法の伝導性の高い銀がよいとされている、らしい、知らん。


しかし銀は高価な上重たいので風魔法を使うウイング系の魔導具には不人気のようで、でも重力を操る僕には重さなど関係ない。


当然銀を使いたいので、瞳を潤ませながら父アウルを見上げ「……買って?」と呟けば買って貰えた。

こうゆうときにはこの顔は便利だ、大抵のことは許される。本当に理不尽だと思うが自分に都合がいいので素直に甘い汁を啜る。


でもそろそろ自分のお金が欲しい、よくある転生物主人公は地球産の発想で荒稼ぎしているけど、まぁ現実はそんなに甘くない。


冒険者になるって手もあるにはあるが、多分母さんが許さない、どの世界にも親に反抗できる子など居ないのだ。


この世界にも冒険者ギルドなるものは存在するが、現実は物語の中のような夢を見る職業ではなく、金も居場所もない人間が半分盗賊のような事をする所だ。


そんな所へ娘のようにかわいがってきた息子を行かせる親はいないだろう、娘のようにかわいがってきた息子って一体何なんだろう。


そんな訳でしばらくは父アウルにお金をせびる事にした、ティナの目が痛かった。


おねだりして手に入れた銀で僕が作るのは、簡単に言えばブーツである。

重力を使って飛ぶんだから背中につける物でもいいじゃないか、とか突っ込みはしてはいけない。


オリジナルの魔導具がウイング系のユニクロ装備と一緒にされたくないし、しかも空を飛ぶ靴ってかっこいい。

いい歳をしてあの病気を患っているが、厨二病なる概念がない世界ではやったもん勝ちである。





程なくして出来上がったのは僕の魔導具『重力靴グラヴィティブーツ』だ。

重力魔法を使ったとき、ブーツに内蔵された羽が開き自動で姿勢を保つことができる仕組みだ。

さらに銀でできたグラヴィティブーツは魔法の伝導性が高い、よって魔法の効果を増大させることもできる。







グラヴィティブーツを手にした僕は、手当たり次第自慢したかった。


自信作を誰かに見て欲しい。


「ねぇねぇ、ティナ〜見てよー、魔導具作ったんだよ? 凄い? ねぇねぇねぇ? 」

「……エディ様……見て分かりませんか?私は、今、仕事中、です。後で見てあげますから今すぐ私の目の前から消えて下さい」

「何言ってるんだよ、ティナの仕事は僕に構うことだろ? 」

「……その鬱陶しい性格は誰に似たんですか」

ティナはため息を吐きながら手を止める、僕の話を聞いてくれるようだ。


「それで、何をつくったんですか? くだらない物だったら私がゴミに出しておくので」

「……ティナってほんとに僕のメイドだよね? 」

「そうでなかったらこんなところに私はいませんよ」

「え、ティナって僕のこと嫌い? 」

「……」

「え、まじで? 」

「そんなことよりエディ様の素晴らしい発明を見せてください」

「……分かったよ」


ティナへのセクハラは少し控えようと思いつつ、重力靴グラヴィティブーツを履きティナの前に立った。


「銀製の靴……ですか? 」

「うん、名前はグラヴィティブーツ、この世界で初めて空を自由に飛べる魔導具だよ、まぁ僕しか使えないけど」


そう言って重力靴グラヴィティブーツの羽を展開させ宙に浮く。

さすがのティナも驚いたようで目を丸くしている。

「そういえばエディ様は凄いんでしたね……日頃の行いのせいで忘れていました」

「ふふん……見直したか? 」

「そうゆうのはいいので早く飛んで下さい」

「……」


しぶしぶ重力を制御し空へ飛び出し、どうせならティナに待ち惚けさせてやろうと思ってこのまま街へ出てやる。







舗装されていない土が剥き出しの大通りは様々な雑貨や屋台で賑わっていた、僕はなかなかの箱入りだったためお上りさんのようにキョロキョロと周りを眺めた。


「おい……あの娘……浮いてないか? 」

「魔導師だ……すげぇ」

「しかもまだ子供じゃないか……」

「かわいい……」

「舐めたい……」



通りを歩いていた誰かがそう言うと1人また1人と僕の方を見上げる、有名人になったみたいでちょっとだけ気持ちいい、変態がいたのはご愛嬌。


普通の人からみたら魔導師とは憧れの存在だ、しかも若く見目麗しい魔導師(自称)が平民の集まる街の中で飛んでいるのだ、さぁもっと褒めてくれ。




僕を見る目が集まりだした頃、65歳くらいだろうか、長身で鋭い目を釣り上げ、黒い服の胸に何やら勲章のような物を下げたまるで軍人のような風貌の男が話しかけてきた。

「お嬢さんは魔導師なのか? 」

お嬢さん扱いだったが訂正するのも面倒なのでそのままにした。

「はい、ですがまだ魔法学園の生徒です」

「驚いた……最近の魔導師は空を飛べるようになったのか? 」

「いえ、空を自由にできるのは恐らく僕だけですね、この魔導具も僕が作りましたから」

「……ではお嬢さんは腕の立つ魔導師なんだな? 」

どうやら雲行きが怪しくなってきたが、見たところどこかの貴族のようなので話だけでも聞いてみようと思い地面に降りる。






大通りを抜けた僕と男はまるで密会をするためかのような小さくうす暗い定食屋に来ていた。

「先ずははじめまして、私はレナード・ワイズガードという者だ」


これにはさすがに驚いた、ワイズガード家と言えば異世界事情に疎い僕でも知っている有名貴族だ。

「こちらこそはじめまして、僕はエディルトス・ディアマンといいます」

「……これは驚いた、ディアマンと言えばあのアウルの小僧の娘か? ……いや、あやつの子供は息子だった気がするのだが……」

どうやらレナードは父さんと知り合いのようだ。そして分かりにくい格好をしている僕も僕だがそろそろ性別の間違いを訂正するのも面倒だ。

「……黙っていて申し訳ありません、これでも僕は男です」

言いながら、アラトに見せたようにシャツを捲ってつるぺたな胸を見せる。

「お、おいっ!! やめなさいっ! ……はしたない! 」

確かに男だろうが女だろうが少しはしたない、自慢の白肌を隠し、レナードの言葉を待つ。


「知っているかもしれぬが我々ワイズガード家は代々国王様直属の魔導隊を指揮している家なのだが……私の孫であるクロナはどうにも魔法が苦手のようでな……意欲はあるようなのだがそれが実を結ばないのだ」

「教師でもない魔導師に魔法を聞くことが失礼なのは重々承知なのだが……それなりの報酬も用意する、どうか孫の力になってくれないか? 」


「……それは本人に会ってからで良いでしょうか?」

と言いつつ本音はクロナさんよりも報酬の内容に興味がある、お金欲しい。金貨の風呂にダイブしたい。

「いいだろう、では3日後君の屋敷にクロナを連れて行ってよいか? 」

「はい、よろしくお願いします、ですが初対面の僕に大切な孫を任せて良いのですか? 」

「何、これから確かめる」

そう言ってニヤリと笑ったレナードは定食屋の料金を払いさっさと出て行ってしまった。




庭に置いてきたティナを完全に忘れていた。

ティナ「許さない。」

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