アラトにも分かる万有引力の法則
魔防具→魔導具に変更しました、不自然にはならないようにしましたがよければ7話の最後をご確認下さい。m(._.)m
今回はお勉強回となっております、できるだけ面白く書いたつもりですがこんなところで勉強したくねぇよ!って方はサラーリで結構です。(=゜ω゜)
アラト、リョウ、トーマスに魔導具製作に見せる事になり、そのまま三人を屋敷へ呼んだ。
母さんは「本当に友達ができていたのね」なんて驚いていたが喜んで歓迎してくれた、トーマスはギリギリ友達ではない。
ティナは僕の屋敷へ来て緊張しているトーマスを見て「あれが彼氏ですか?」なんて聞いてきた、彼氏にするにしてもこんなチャラい感じの奴は嫌だ、そういう訳ではないと思うが。
後でキツくお仕置き(セクハラ)してやろう。
「おいエディ、なんでお前の部屋なんでボロボロなんだよ? 」
「アラトの部屋よりも酷いですね」
余りにも僕の部屋は汚いので、ティナや他の仕用人達も僕の部屋を掃除するのを放棄してしまった。
「仕方ないだろ? もう何度魔法で吹き飛ばしたか覚えてないくらいなんだから」
大なり小なり様々な穴や亀裂を、板で補修したツギハギの部屋は、自分ではなかなかアートだと思っている、凡人には分からないみたいだ、仕方ない、ふふん。
「いやまず部屋の中で魔法を使うお前の頭がどうかしてるよ」
「アラトに言われたら終わりですよエディ」
今回のリョウはアラトの味方らしい、悔しい、アラトに負けるなんてティナの靴を舐めるよりも悔しい。いやむしろ舐めさせて。
「わ、私が父上に頼んで修理してもらおうか? 」
フリーズしていたトーマスが帰ってきた、そういやこいつの家は貴族様だった、金持ちは羨ましい、どうせこいつも金貨の風呂とかにダイブしているんだろう、スクルージおじさんみたいに。
どうでもいいけど、スクルージおじさんはドナルドダックの親戚か何かである、詳しくは知らない。
「いやいいよ、どうせまた壊すし、そんな事より魔導具の事だろ? 」
「また壊すんですか……まぁいいですけど。魔導具について話しましょう」
「エディの魔法は試験でみた氷魔法だったよな?じゃあ氷系の魔導具か?」
「氷魔法の魔導師と言えばボードと言われる凍結させた地面を滑るような魔導具ですよね。」
「いやいや僕が得意なのは氷魔法だけじゃないよ、それにそんなダサい魔導具使いたくないしね。」
「ダサいって……」
いやダサいでしょ、どこにスケボーしながら戦いたいやつがいるんだよ。ホロ○ロかよ。
「エディルトスは魔導具を作ると言っていたがそんな事できるのか? 」
トーマスはいたって真面目だ、僕のことをフルネームで呼ぶ奴も珍しい、大抵は名前負けしているとか言われる。
「そのつもりだよ、その前に3人に今から作る魔導具の原理を教えるよ、もちろん絶対に他言無用だから」
珍しく真剣な僕に3人が頷いたので、説明を始める。
「まず僕が作る魔導具は重力というものを使うんだ、だから炎を出す噴射口や風を受ける羽や氷を滑る板のような特殊な機構はいらない、そこで重力とは何か教えるね」
「前提として地上や空やそのまたずぅっと上にある例外なく全ての物体は地面から引っ張られてるんだよ」
「ん?? でも俺たちは何も引っ張られてる感じはしないぜ? 」
「当たり前だよ、アラトが産まれる前のお母さんのお腹の中いるときからずっと引っ張られてるんだ、それが普通になって気づかないだけだよ。それに考えてみなよ、地面に引っ張られてなかったらアラトはジャンプした瞬間空へ飛んで行くでしょ? 」
「なるほど、そんな事考えてもみなかった」
「そしてその地面から引っ張られる力こそが重力だ、本当は万有引力とも言うんだけどね。
ここで魔法の出番だ、例えば魔法でこの重力を0にしたら……さっき言ったようにジャンプすれば何にも引っ張られず空へ飛べるだろ?」
「でもこれじゃあただただ真上に上昇するだけだ、空を飛ぶなんて言わない、そこで大事な事は重力っていうのは物と物同士が引っ張り合う力ってことなんだ」
「さっき言ったみたいに地面とアラトってことだよ、地面だって目に入らないくらい大きいだけのただの土のかたまりだろ? 」
「後で言うけど重力、つまり物と物の引き合う力は重たい物の方に引っ張られるんだ、だからアラトは地面に引っ張られている。そこでだ実は《物と物》には《何同士でも》重力が働く、つまりこの小石とこの小石同士も小さすぎてビクともしない程度には引き合っているんだ」
「何で部屋に小石があるんだよ」
別に、普通じゃない?
「だからこの小石の重さを地面の重さと同じくらいにしてやれば小石同士で引き合う」
「それは分かったが小石をどうやって重たくする?重たくするには大きくするしかないだろう? 地面程の重さにするなど到底無理だぞ」
「まあ重さを変えるのは大きくする方法以外にも有るんだがどちらにしろ無理だ、じゃあ重さを変えるのは諦めて他を考るんだ」
「重力(物同士が引き合う力)をFとしよう、Fがどのように決まるかというと。F=GMm/R^2 Gは万有引力定数 Mは片方の物体の重さ mはもう片方の物体の重さ Rは物体同士の距離だ」
「ここで注目するのがGだ、Mとmはさっき言った通り大きくするには限界がある。しかしGは定数、つまり固定された数字だ、なら魔法で書き換えればこの通り」
そう言うと手に持っていた小石同士が引き合いぶつかった。
地球では不変の数字だった(定数)という数字は魔法によっていとも簡単に変えることができる。
というかこんなこと知っていたらこの世界を今すぐにでも崩壊させることができるんだよな、まぁ地球人が自分達の地球を破壊できる爆弾を持つのと同じかな。
「だから僕の作る魔導具は、魔導具と別の物体との間に重力を働かせる事で魔導具を引っ張らせて移動する、という訳だ」
3人は全く理解できないようで首を傾げていた、この話はまだ難しすぎたかもしれない。
「引っ張り合ってるってゆうのは分かったけどよF=何とかって言うのは何言ってのか分かんねぇよ、それになんでそんな事お前が知ってるんだよ」
アラトがそう言うとリョウとトーマスもこちらを見ていた。
こんな質問が来るとは思わなかった。
重力の存在は発想でごまかせる、でも僕が万有引力の方式を知ってるのはどう考えてもおかしい、誰に聞いたんだよって事になる。
「.……そんな事どうだって良いだろ、知ってるんだから知ってるんだよ」
「でもよ、そんな式まで知ってるのはどう考えてもおかしいだろ」
……言いたくないんだからそれくらい察してくれ欲しい。
「……アラト、魔導師に魔法について聞くことは本来してはいけない行為だ、聞く必要もないだろう? 」
「……まぁそうだけどよ」
リョウの気遣いはありがたい、地球では高校生になれば誰でも知ってる方程式だ、でも僕にとっては並みの頭で必死に理解し学んだ知識だ。例え自分が発見したわけじゃなくとも、それをチートだとは言われたくなかった。
因みに万有引力定数Gは魔法によってマイナスにも変えれます、そうすれば引き合う力が反発する力になりますよね。