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最強魔導師だって嫉妬する  作者: rainydevil
帝国 カラシヤ奪還編
61/69

それ、人に向けたらダメなやつ

しばらく投稿していなくて申し訳ありません。


今後は以前のように週2、3話のペースで投稿していこうと思います。

よければお付き合いください。

寝ぼけ眼を擦って少しだけ開き、咎める者も居ないのでもう一度夢の世界へダイブしようと再び掛布に手をかけてモゾモゾ……

僕の部屋にある使い古されて少しだけくたびれた羽毛布団ではなく、おろしたてのようなふわふわで程よい弾力の布団。そう、まさにおっぱ……失礼。


帰ってすぐ、報告もフォルカスに任せて、直ぐに布団に潜り込んだ、寝る子は育つのだ、もっと身長をくれ、頼む。


おはようございますというには遅すぎる、遅すぎるというか小さな子供ならおやすみなさいの時間。そもそも帰った頃には陽が昇りかけていて、窓から見える陽はオレンジに輝き地平線に沈もうとしている。


起き上がろうと下半身に力を入れると、自分の体に何かが乗っかっている。



「……ふぅむ」


僕を暖めてくれた羽毛布団から覗くのはブロンズとプラチナがブレンドされたような美しくさらさらの金の髪、うっすらと僕の好きな柑橘系の匂いが香ってくる。

ぺろりと布団をめくってみると変態……もとい僕の恋人兼婚約者が腰に巻きつき、ヨダレを垂らして眠っている、なんとも言えない光景だがまぁこんな人なのだ、仕方あるまい。


帰ったら文句の一つでも言ってやろうと考えていたものの、僕を抱き締めて幸せそうにしているひとに、そんな気分もすっかりなくなってしまう。


眠っているサーフィアさんの頰を摘んで横に引っ張ってみる。よく考えてみたらもう完全に尻に敷かれている、一応僕だってハーレムの主なのだぞ、ふんすふんす。


威厳とかそうゆうのはあんまりない気がしないでもないが、まぁあと二、三年もしたら出てくると思う、多分、きっと……うん。

そしたらティナも子供扱いしないはず。


僕の腹に顔を埋めてむにゃむにゃ言っているサーフィアさんの頭を撫でる。起きていたら恥ずかしくてとてもできないけど、おいどんも男な訳で。


サーフィアさんによって破壊されたドアノブが、扉ごと交換され、その新しい扉からノックが聞こえる。


気持ち良さそうに僕の上で寝ているサーフィアさんを起こすのも気がひけるので、ベッドの上から扉に声をかける。


「こんな所からごめんね 」

「こちらこそお休みのところお邪魔します」


そう言ってオリヴィエちゃんは僕にへばり付いたサーフィアさんを一見する。


「……………………リア充かぁ」

「えっ? 」


「何でもありませんは、それより少しお話をよろしいですか? 」

「えっ、うん、いいけど」


今オリヴィエちゃんの口からリア充なんて出てきたような気がするけど、こっちにそんな言葉は無かったと思う。いや、知らんけど。

いやいや、鼻くそほじっててもモテそうなオリヴィエちゃんのことだ、そんな事言う訳がないか、現にヨダレを垂らしながらにやけているサーフィアさんだってモテモテなのだ、ちなみに僕は美人の横に並んで悦に浸るのが好きだ。


「共和国の個別ユニーク級魔導師はどうでしたか? 」

「ユニーク……? 何それ? 」


何だろう、ユニーク級魔導師……かっ、かっこいい……何それかっこいい! 溢れる厨二臭っ!


「それも知らずに? ……まぁ、単純に言えば有象無象には数えれない程に脅威となる個人。という意味です、基本的には使う魔法によって敵に名付けられます。例えば貴方が昨日倒した個人ユニーク魔導師は〝砂煙〟と兵士達が名付けていました」


す、砂煙……土系の魔法を使うのかなぁ、強そう、しかもかっこいい…………地味だけどさ。


「いやでも、そんな強い敵は居なかったよ? 」


「そんなはずは……もし良ければどのように戦ったのかを伺っても? 」

「どうって、……こう、ドーンッて」


「ドーン……ですか」

「うん、だから相手が誰とかよく見てない」


もしかしたらあの中に強い人が居たのかも知れない、よかった、戦わなくて。……あれ? 僕って結構強い?


「噂通りの、規格外ですね……」

「噂通り? 」


「はい、貴方はどの国もが喉から手が出るほど欲しい〝空を飛べる魔導師〟ですよ? 注目されて当然です」


はぁ……そなの、じゃあもうちょい給料欲しいなぁ。


「じゃあ、そんな僕に君達は何をして欲しいの? 」

「単純に言えば、手を貸して欲しい。という訳です」


「戦争の? サーフィアさんがやれっていうならやるけど、僕自身はあんまりやりたくないかな。聞いたところによると君達帝国は周りの国々に喧嘩ふっかけてたらしいじゃん、今更になってそれはムシが良すぎると思わない? 」


巻き込まれたんだから、これくらいの皮肉は政治において必要らしい、もっとも僕がやるとただ煽ってくるガキになるらしい。だがまぁ僕だって、やりたいこととやりたくないことくらいある。


「貴方のことは、サーフィア王女の金魚の糞だと思っていたのですが、存外言うではありませんか? 」


オリヴィエちゃんの目がスッと細くなり声が低くなる、怒らせちゃった、怖い。今から謝ろうかな、怖い。


「……確かに僕は金魚の糞かもしれないけど、サーフィアさんが僕をないがしろにしてる訳じゃない」


「貴方が盲目になっているだけでは? 失礼ですが貴方とサーフィア王女では少々釣り合いが取れていないと思いますが」


なんだこいつ、カッチッーン。


「だから何? 僕と同じ歳で碌に恋愛したことない人に言われたくないんだけど? 」


「なんですって? …………この私に喧嘩を売っているの? いいわよ? ボッコボコにしてあげる 」


ん? オリヴィエちゃんの顔が凄い形相に……地雷踏んだ? あ、やばい、ブチッって鳴った、何か切れた音がする。


「あのぉ、ちょっと言い過ぎたかも……ごめ


言い終わる前、鬼の形相をしたオリヴィエちゃんはドレスの中から取り出した何かを、ゴリッと僕の額に押し付けてゴリゴリ……やめてよ。

無機質な金属の冷たさが額に感じ、当てられたそれは燻んだ銀色の筒、90度に折れた先を手に持ちトリガーに指を掛けられている。つまり銃、鉄砲、そんな感じの見るからにヤバイやつ。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい僕が悪かったです生意気言ってすいませんやめて下さい死んでしまいますっ!! 」


「あら、これが何か知っているのかしら? 」


「知ってるもなにも銃でしょっ!? それ人に向けたあかんヤツ! バーンッってなるからっ! バーンのってなるからぁぁあっ!! 」


ひいぃぃっ!! ごめんなさいぃぃ、何で怒られてるのか分かんないけどごめんなさぁぃ!!


必死に命乞いしているのに、オリヴィエちゃんは更に強く銃を押し付ける。



「…………貴方の名前は? 」


「エディルトスと言います、女性に寄生して甘い汁を啜るゴミニートです、ごめんなさい!! 」

自分で言って死にたくなってきた。


「いえ、そこまで聞いていないのだけど……そうではなくて、まだ分からない? コレは魔法銃マジックバレットという名前、私が作ったの。銃なんて名前ではないは。そして、〝こっち〟には〝銃〟なんて言葉も無いのよ? 」



〝こっち〟? ……ぅーむぅ。



「……へ、ヘロー? ……你好ニーハオ? ……アニョハセヨ? …………アッサラーム・アライクム? 」


「最後のはどこよ」


アラビア語でこんにちは。


「私は日本から来たの、貴方は? 」

「あぁ、萌えとAVアダルトビデオの日本ですか」


「死にたいの? 」


おでこに当てられた銃がメリメリ突き刺さる、冗談なのに、ごめんなさい。


「君も、事故とかで死ん……亡くなったの? 」


「いえ……私は、ちがうけど。……貴方は、そうなの? 」

「うん、公園で凹んでたら、トラックが突っ込んで来た」


最近、やっとこさ受け入れることができた。


「そう……トラックに。……痛かった? 」


一瞬驚いたような顔をして、ゆっくり突き付けた銃を降ろす。心なしかなオリヴィエちゃんの顔がぎごちなく微笑んだ気がする。


「まぁ、気を失うまでは痛かったかな。でも直ぐにこっちで目が覚めたよ」

「そうなの、じゃあ帰りたいとは思わない? 」


「今は思わない」

これっぽっちも思わない、特に、今は。


「……そうなんだ、そっか。……もういいわ、帰っていいよ?」


「えっ? 」


「だから帰っていいから。自分の国に帰ってそこのだらしの無い残念美人と幸せになさい、私は私で何とかするから」


ちょっと何言ってるのかわからない、勝手に呼んどいて帰れと言われても。

願ったり叶ったりな申し出だが急に言われるとそれはそれで戸惑う。勉強したくないけど、もう勉強しなくていいよ、と言われると急に不安になるやつ。




てきとーな登場人物紹介その2


ティナ


ファンタジーによくいる戦うメイドさん、イメージはシャドバのエリカさん。

なんか強い、一応エディパパに戦闘訓練を受けた設定、でもなんか強い、やばい。

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