修羅場 Part Ⅰ
スマホから投稿しているのですが、「え」と打つと自動変換で「エディ」の前に「M男」が出できました。
不思議ですね。
チュンチュンはし終わった早朝、母さんの部屋にサーフィアさんがいる、まだ寝ぼけているのかもしれない、昨日あまり眠れなかったからかな、悪夢を観ているみたいだ。
「……それではお休みなさい」
回れ右して二度寝に向かう、二度寝って分かってる時点でどうしようもない。
「まぁ待ちなさいよエディ君、愛しの婚約者が来てあげたのよ? もう少しもてなしてくれてもよくって? 」
サーフィアさんの言葉の節々に棘がある、多分、いや確実に怒っている。
「ぁー、あー、これにはね、海よりもサーフィアさんの心よりも深い訳があって、ですね」
「エディ……正座しなさい」
黙って聞いていた母さんが僕に正座を催促する、僕にプライドは無いので素直に膝を地につける。
「ちなみに、私の心には水一滴ないわよ」
海どころかそれ以前の問題だった。
どうでもいい情報だが、津波などの波は水深が深いほど早く進む、つまり水深の浅いサーフィアさんの心は荒れることが無いということだろうか、いや違う。
無意味な物理知識と反語を脳内で繰り返し、何とか言い訳を作り出す。
「……決して浮気なんてそんなつもりは無くてですね、そのぉ……いえ、浮気です、ごめんなさい」
作り出せなかった、まぁそんな余地もない、昨日の昨日だ、昨日の今日ですらない。
まぁ一日ずれたからても同じだろう、美女2人の修羅場で死ぬなら前世の僕も案外許してくれるかもしれない。
「自分で何とかしなさいとは言ったけど、結果がこれ? 」
「そう言われましてもですね、こちらにも事情というものがあったりなかったりしてですね、全部綺麗に収まるなんてなかったりぃ……なんてぇ」
一流営業マンよろしく両手をワタワタする。話せば話すほど母さんとサーフィアさんの表情が険しくなる。
「だからってこんなこと許されると思ってるの? 」
母さんなんて稀に見る鬼の形相である。
「……思ってないけど、どっちも好きなんだもん」
えぇい、ままよ、どうにでもな〜れ。子供の常套手段、拗ねる。
「か、母さんはエディをそんなスケコマシさんに育てた覚えはないわっ! 」
なぜか母さんが照れる、人違いです。
コホンッ、と一息
「母さんはね、とやかく言うつもりは無いんだけど。サーフィアちゃんとティナちゃんにはちゃんと話して解決なさい」
母さんはそう言うと、溜息を一つつきそれきり何も言わなかった。
後、曲がりなりにも王女のサーフィアさんをちゃん呼びとはなかなか母さんは大物だ。
「なに話を終わらそうとしてるの? 私の話はまだ終わってないわよ? 」
そういえばサーフィアさんに怒られるのは大蜻蛉のとき以来だ、今のサーフィアさんの方が百倍怖い。
「どうか命だけは……」
小説の主人公達はあんなにぽんぽん、馬鹿みたいにヒロイン増やしてハーレム築いてるのに何で僕はそうじゃないんだよ、現実は小説より奇なり。
「殺す訳ないじゃない、大好きなエディ君だもの。……でも今回はおいたが過ぎるわよ? 」
こわいよーこわいよー、サーフィアさんがこわいよー。
「まず悪いことしたらごめんなさいでしょ? 」
おぉ、サーフィアさんにしてはマトモな発言。
「えっと……ご、ごめんなさい? 」
正座したまま腰を曲げ、サーフィアさんをチラりと見上げる。
「ダメダメ、全然ダメ。正座して謝罪と言えば土・下・座」
……仕方ない、僕が悪いから謝ろう。
正座のまま腰を90°曲げ、額を地面に付ける。
「……ごめんなさい」
サーフィアは土下座中の僕の目の前まで近く。
「まだ頭は上げちゃだめよ? ……そうね、条件付きで許してあげる」
「……と、言いますと? 」
「次、私が誘ったときには、絶対逃げないこと」
んぅ?
「そ、それはどういう?! ……びぇっ」
思わず上げた顔をサーフィアさんの脚に踏みつけられる、一瞬、学園の制服を着たサーフィアさんのスカートの中が見えた、眼福眼福。
「そのままの意味よ……は、恥ずかしいんだからあんまり言わせないでよ……」
照れているのだろうか、僕の目には床しか見えない。サーフィアさんは照れ隠しだろうか、僕の頭をグリグリと踏む、ちょっとクセになってきた。
「まぁまぁまぁ、あらあらあら、私ったらこの歳でおばあちゃんになっちゃうのかしら? 」
話しを聞いていた母さんが、両手を頬に、クネクネと揺れ始める。母さんは自分の息子が土下座して頭を踏まれている光景に何とも思わないのかな?
「お母様、元気な子供を期待していて下さいねっ! 」
サーフィアさんと母さんがガッシリと手を組む。そろそろ脚を離して下さい、何かに目覚めてしまいそうです。
「……そう言えば、エディ君こうゆうの好きなんだったよね」
サーフィアさんは僕の頭を抉るのを止めて僕の髪をサラサラと撫でる、脚で。
「いえ……だからそれは勘違いですって」
ほんのちょっと、ほんのちょっとだけ好きなだけだ。
「じゃあ、こうゆうのはどう? 」
サーフィアさんの声がいつもより色っぽい、そっと僕の頭から脚を離したかと思うと、つま先で僕の顎を持ち上げる。
数分ぶりに見るサーフィアさんの顔は心底楽しそうだ、明らかに愉しんでいる。
「……悪くないです」
サーフィアさんも僕も恍惚とした表情。
「そうゆうのは私のいないところでやってくれるかしら? まだ朝よ」
親の前でSM趣味を暴露される、なかなか体験できない経験だと思う。
「はぁ……まぁいいわ、あなた達も早く学園に行きなさい、今日も魔法祭なんでしょ? 」
母さんは呆れ半分安堵半分といった表情だ、サーフィアさんは本物の王族、僕の知らないところで色々と取り計らってくれたのかもしれない、そろそろ親孝行しないと返せなくなりそうだ。
ーーーー
黒歴史とひきかえに、女王様もとい婚約者を手に入れた僕はサーフィアさんと並んで学園までの道を歩く。
いつもなら重力靴を使って学園までひとっ飛びなのだが、今日はサーフィアさんと徒歩で登校する。
徒歩が嫌いな訳では無いのだが、早朝はどの露店も店も開いていない、単純に寄り道する所がないだけだ。
しかし好きな人といると見える景色が変わるとはよく言ったもので、普段は饒舌でない僕もサーフィアさんの前ではよく舌がまわる。
「ねぇねぇ、エディ君」
「?……なんですか? 」
台詞に合わせて自分の大きくてクリクリの目を開き、顔を30°傾ける。
いつの間にか身に付いていた自分をかわいく見せる作法であるが、なぜこんなことをし始めたのか自分でも覚えていない、しかし無意識に体が反応する。
「あ、あざといわね……そんな話じゃなくて。ティナさんってどんな人なの? 直接は会ったことがないのよ」
少し意外だ、サーフィアさんのことだから僕のことを隅々まで調べ上げていたのだと思いきや、僕の思い上がりだったようだ。
「……気になるんですか? 」
特に意味もないけど引きを作ってみる、本当に意味はない。
「えぇまぁ……これからエディ君をシェアする者同士ですからね」
ぅ……今になって罪悪感が出てくる、良い子はハーレムなんてダメ、絶対。
しかしサーフィアさんとティナは全然違う、頭の先から胸の先まで、もといつま先まで。似ているといえば若干残念な部分くらいだ。
「そうですね、サーフィアさんとは全く逆に近いかもしれません。ティナはあんまり本当の事を話してくれないんですよ、なんて言うか一歩引いたような」
「……ふーん、そうなんだ」
僕に応えさせたサーフィアさんはそれきりティナについては聞いてこなかった、まだサーフィアさんのことはよく分からないことも多いが、僕以外の人との関係はどんななのだろう。
サーフィアさんと話しながら学園に着く、徒歩で歩いても10分とかからない距離だ。
背が小さい僕は実のところあまり目立たない、しかし今日はサーフィアさんと一緒だ。王族オーラでも出ているのか、サーフィアさんは目立ちに目立つ。先までも街を歩くサーフィアに男女問わず多くの人が思わず振り向いていた。
そのおこぼれを貰った僕も大勢に注目される、この学園で僕とサーフィアさんはどちらも有名人である、隠す理由もないので堂々としておく。むしろ目立ちたく無いとか意味が分からない、普通の人は目立ってみたいと考えるもんだ。
「じゃあエディ君、私はこっちだから」
サーフィアさんは高等部を指差す。
「はい、サーフィアさん。僕はこっちですから」
僕はレーナ先生の職員室を指差す。
一応なろう宣伝用にTwitter垢を使ったのですが、結局ほとんど宣伝していないので近々消します。
m(__)m