pet or slave
投稿が遅れましたm(__)m
今度は ファントム オブ キル なるゲームに嵌ってしまいました、お金が無くなったので小説書きます。
サーフィアさんは彼女になるはずが一段飛ばして婚約者になった。まぁ親公認だから別に良いっちゃいいのだが。
これはきっとあれだ、ちょっと気の迷いとかで浮気なんてしようものなら、僕の胴と頭がさようならする。
付き合って2分後には浮気の心配をする僕の隣で、サーフィアさんは幸せそうに鼻歌を歌っている。
「嬉しそうですね? 」
「そりゃあね、一度はふられた相手を射止めれたんだから」
何時になく嬉しそうだ、それにしても射止めるなんて表現、存外サーフィアさんも乙女なのかもしれない。
サーフィアさんの婚約者となって数分だが、何故だか無性にサーフィアさんがかわいく見える。いや、容姿は当然としてなのだが、これが独占欲というやつかもしれない。
「一時はどうなるかと思ったけどね、どうしようもなくなったら脅すつもりだったから」
聞かなかったことにしよう。一体何をされるのでしょう。
「サーフィアさんの性癖は置いといて、立場的に平民の僕と結婚しても大丈夫なもんですか? 」
「よくはないけど、私は第二王女だし? 半分置物みたいなものだからそこまで問題ではないわ、面倒ごとは全部姉様の仕事よ」
聞くところによるとサーフィアさんは末っ子のようで、このわがままな性格も頷ける。まぁ僕も前世では末っ子、今回は一人息子という激甘環境で育ったのだが。
「サーフィアさんのお姉さんはどんな人なんですか? 」
気にしたことも無かったが、いざ自分の彼女となると家族構成まで気になってしまう。
「あらエディ君、さっそく浮気ですか? 海がいい? 山がいい? それとも私の部屋? 」
何故か最後のが一番怖い。
「……ごめんなさい」
サーフィアさんは微妙に面倒くさいのだった。
「私の姉様ねぇ、何の面白みも無い人よ、言われたことを言われた通りにするだけの人」
酷い言われようだ、言われたこと言われた通りにをするのはなかなか難しいと思うのだけど……もしかしたら僕は言われたことも出来ないからサーフィアさんに気に入られたのかもしれない、謎は深まるばかりだ。
僕が何とも言えない顔をしていると、サーフィアさんは僕の隣、冷たい地面に腰を下ろし僕と目線を合わせる。
「それで? マイダーリンことエディ君は何に悩んでるのかな? 」
リアルでダーリンとか寒気がするが、でもどうせ僕の言うことなんて聞いてくれない。
「ダーリンはやめて下さい、それに何も悩んでませんよ。敢えて言うならついさっきシタさんに負けたことですね」
流石に、歳上の彼女に「家のメイドが居なくなって寂しい」なんて恥ずかしくて言えないし言う気もない。お口チャックする。
「あらそう、エディ君はメイドさんが居なくなるのが寂しいのね」
「…………」
さっきから会話が成立しているようでしていない。話の流れを自分のしたい方向に捻じ曲げる話術は是非ともご教授願いたい。
「……知ってるならわざわざ聞かないで下さいよ」
今更どこからサーフィアさんが情報を得てようが驚きはしないが、弄ばれてる気がして無意識に唇が前に出る。
そんな僕をサーフィアさんはクスクスと笑いながら宥める。自分より低い位置にある僕の頭を撫でるサーフィアさんは頼れる姉のようだ。
散々疑ったあげく、受け入れて貰えると途端に甘えたくなる。しっかりしないとどんどん駄目人間になっていく気がする。
「他所のお家の事情に首を突っ込むのは……できなくは無いけど、そんなことはして欲しくないんでしょ? 」
「まぁ、そりゃあ、そもそも知られたくもなかったんですから」
「じゃ、自分で何とかしなさい、たまには自分で何かしないといつまでも子供のままよ? 」
たいして興味も無いのか、サーフィアさんは早々に話題を切り上げ、ヨダレを垂らしながら僕に纏わりつく、サーフィアさんの白くて細くて柔らかい色々な部分が半袖の僕に直接触れる。まぁ、なんだかんだ幸せである。
「……サーフィアさんサーフィアさん」
「ん、なぁに? 」
サーフィアさんがよく分からない角度から僕の顔を覗く。
「暇なんですか? 」
この人はそこそこ忙しいはずなのだ。こんなところでセクハラに勤しんでいて良いものなのか。
「……あのねぇ、長年の恋心の末に願いが叶った女の子に向かって、暇か? ですって……? 何て言うか、本当にデリカシーが無いのね……」
サーフィアさんが頭を抑え本気の溜息を吐く、サーフィアさんをここまで呆れさせるのは僕くらいでは無いだろうか、一杯喰わしてやった気がしてなんだか嬉しい。それに長年の恋心って、まだ会って半年じゃん。
「いい? エディ君、貴方は私の恋人なの、そして婚約者、だから貴方は私のモノ、ペット、奴隷、お分り? 」
分からない、ジャ○アンもビックリである。
「……奴隷は嫌です、ペットでお願いします」
ペットの方が愛されてる気がする。
サーフィアさんも冗談だったのだろう、僕の謎発言に戸惑っている。
「……そ、そう。エディ君はそういうのが好きなのね……私もソッチの方を勉強しておくね」
サーフィアさんが僕から少し離れ、顔を赤くしながら何やらブツブツ言っている、何を勘違いしているんだか。まぁ僕にMっけが有るのは自覚している、亀甲縛りとか興奮しない? しないか。
そんな話の後、再び僕に纏わりついていたサーフィアさんだが、小一時間ほどで僕に満足したのか、ヨダレを拭き、乱れた服を整え、いつもの外面モードの顔になった。残念女子なサーフィアさんも僕は好きだがこっちもカッコよくて好きだ。
「じゃあ、私はそろそろ仕事が有るから戻るね、今日の事はお父様に報せておくから、近いうちに正式な婚約届けが来ると思うわ、楽しみにしておいてね? ……それと、ありがとうね」
にっこりと幸せそうな笑顔で笑ったサーフィアさんはそのまま屋上のドアを開け、何処かへ戻って行った。
「……さてと、どうしたもうかねぇ」
暖かい季節といえど半袖姿で高い校舎の屋上に居るのは少し肌寒い。
嬉しい事と悩み事が同時に起きて混ぜ混ぜになっている、だからと言って苦難を乗り越える度にさらに厳しい苦難が待ち受ける、なんて胸熱展開はごめんだ。
魔法祭で負けたことは段々どうでも良くなってきた、僕がそこまで強さに拘っていないからだと思う。
「どうしょっかなぁ……」
やはり気になるのはティナのことだ。正直ティナがどう思ってるのか分からない。鬱陶しい主人に愛想を尽かしてさっさと寿退社したいのか、そうでは無いのか。
もしそうなら諦めがつく、でももしそうでないならティナは手離したくない。ティナは僕のモノだ、ペットだ、奴隷だ。誰にも渡さない。
言っている事を何度も二転三転させるが、それが僕だ。サーフィアさんに自分で何とかしろと言われた、言われたことを言われた通りにくらい、僕だってできる。
「ティナと話さないと」
ティナがお見合いをすると聞いてから、何となく彼女を避けてきた、朝はハルノ達が起こしてくれるし、何かと接点が減った。ティナと話して僕のことを聞こう、本当はどう思っているのか。本当のことは言わないかもしれないけど、話した後僕が勝手に決める、まだ僕が主人だ。
拗ねていても仕方ないのでそろそろ立ち上がり、来たときの反対に屋上から飛び降りる。そろそろ陽も傾き、二日目の魔法祭も終わりに近い。本来なら一度それぞれの教室に戻ってから帰宅するのだがそれも煩わしい、校舎の屋上からの自由落下の途中、重力靴を起動し地面を滑るように飛び、そのまま家路に着いた。
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「負け犬エディルトス、ただいま帰りましたぁ」
何かもう吹っ切れた、と言うかカッコつけて魔法刀を使うのでなく、普通に重力靴を使っていれば負けていなかったと思う。
「あら……おかえりエディ、あんまり堪えてないのね? 」
僕の試合を見た後、先に帰っていた母さんに出迎えられる。僕が負けて萎んでいると思っていたらしい。
「堪えてないというか、他に良いことが有ったので」
「……彼女でもできたの? 」
母親というものは本当に凄いと思う。一瞬引き攣った僕の顔を見た後、母さんはそれ以上追求してこない。黒歴史がまた一つ刻まれたのだった。
母さんと話した後、自室に戻ったがやはりティナと会うことは無かった。いつもなら、特に理由もないのに僕の周りをウロウロして小言を言うティナがいないと、何か物足りない。
「……よし、じゃあ行こう」
今日は独り言が多い気がする。自室で制服から私服に着替える。今日の部屋着は白のショートパンツに僕の髪色と同じ薄青色のシャツ、何故か母さんの買ってくる服はユニセックスが多い。
ティナが僕の横に居ないとき、だいたい母さんの庭に居る。そこも今は地龍の卵に占領されているのだが。
玄関横の庭に出るとやはりティナがいた、もう十年も寝食共にしているのに今だけは掛ける言葉が見つからない。
自分の家でモジモジするのも変なので、僕に気付いていないティナに背後から近づき胸を揉む。
うん、成長して無いね。