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最強魔導師だって嫉妬する  作者: rainydevil
学園編
27/69

暇なので修行タイム

どうやら子供達は王都から東に外れた所にある銀鉱に、女子供関係なく労働力として連れて行かれたようだ。


まだ昨日連れさられたばかり、運が良ければ途中で追いつけるかもしれない。

「急いで出発するぞ! アラトも早く帰って準備してこい」

「ちょっと待てよ、 俺達だけで行くのか? 」

「まだ誰か巻き込むつもりかっ⁉︎ 」



「いや……俺達だけじゃ馬車もひけないだろ……」

「……」

「……」




僕達はそれぞれ出かける準備をしに戻った。まずは僕の屋敷にある馬車を一つくすね、数日の旅路に備えて当分の食料を売り上げ金を使って揃える。もちろん僕達二人は馬車の操縦どころか料理すらも出来ない、よって連れてくるのは万能メイドことティナだ。


ティナを連れて行けば僕の両親も息子の家出を許してくれるはず。

素早く準備を整えた僕達はティナを含め三人となり再び集まった。



「初めましてではありませんが、改めまして私はエディ様にお仕いするメイドのティナと申します。よろしくお願いします、アラト様」

「よ、よろしくお願いしますぅ!! 」

歳上の美人に慣れない敬語を使われアラトが頬を染めている、言っておくがティナは僕のメイドだからな、僕のものだ、誰にもやらんぞ。


「……だいたいの事情は把握しました、しかしきちんと計画は立てたのですか? 」

「当たり前だろ? 数日分の食料に馬車、あとは僕の相手をするためのティナ、他に何がいる? 」


ティナは大きなため息を吐いて、僕に心底侮蔑するような目線を向けた。ぞくぞくする。


「まず、行き先はマリーナ鉱山ですよね? 」

マリーナ鉱山って言うんだ、ふーん。


「そしてそこは、ここ王都から約一月かかります」

えっ?


「よってこんな量の食料を詰め込んでも馬が疲れて遅くなるばかりです、途中どこかで調達しなければなりません」

ほうほう。


「さらに言えば、もし往復二ヶ月の旅になったとすればエディ様は学園の魔法祭に出れず御前試合も予選敗退、愛娘の婚約を断った男のその結果を見て王はどう思うでしょうね? 」

……ははっ


「大人しくするので連れて行って下さいっ!! 」

「はい、よくできました。準備は私の方でしておいたのでさっそく行きましょうか」



「なんで主人のくせにメイドの尻にしかれてるんだよ」










こうして僕、アラト、ティナの三人でマリーナ鉱山へ出発してからしばらくが経った。


「……」

「……」


風を切るような、ヒュンヒュンという鋭い音が僕とアラトのいる馬車の中へ聞こえてくる。


国から国へ街から街へ移動する商人達が通る、確立された道はすでに通り過ぎ、度々魔物の類いが出てくることもある。

正直僕とアラトは冒険をするような、わくわくする気分であったことも否めない。

しかし、だ。今現在僕とアラトは馬車の中で体育座り、ティナは外で日本刀のような魔導具を使い風魔法を併用しながら魔物を細切れにしてゆく。


ティナが戦闘メイドだなんて聞いてない。

「……お前のメイドさん、すげぇな」


確かに凄い、ティナが僕のせいで溜まったであろうストレスを発散するため、魔物をスライスしている間。暇なので現在のティナを少し紹介しようと思う。


ティナは13歳から僕に仕えてくれている、現在20歳で僕のお目付役だ。

容姿は小さな顔に綺麗な淡青色の大きな目が少しだけ釣り上がりキリッとした大人の美人、髪は僕より少し濃い水色に最近くせ毛がでてきたようで肩のあたりで少しウェーブしたセミロング、身長は少しだけ伸びて160ほどだ。ちなみに胸のあたりはアレだ、アレな程アレ、いたずらで触ってみたけどアレだった。


さらに付け加えると今日はいつもの丈の長い普通の給仕服ではなく、膝あたりでカットされたスカートに胸元の開いたメイド服を着、手脚には銀色のガンレットをつけ、手にはまるで日本刀のような魔導具を持っている。

いつもより肌色が多くてとてもグッドです。


魔物の悲鳴と風切り音が止んだと思うと、返り血一つ浴びていないティナがすっきり顔で馬車に戻ってきた。

「……おかえりティナ、それにしても強いんだね」

正直僕が守ってやるぜ、とか思っていたのに恥ずかしい。


「そもそも主人の目付役ですので、そこそこ腕がたたないと務まりません」

いまいちこの世界の強弱が分からないので、どんなもんかと外からの光景を見ようと馬車の窓に手をかけると、ガッシリとティナに手掴まれた。


「こちらはR-18Gですよ? エディ様? 」

ティナはニッコリしていた。


……どんな光景が広がっているのだろうか。





結局出発一日目、僕とアラトはひたすら座って座って座って、尻を赤くしただけで終わった。

いつもならアラトと二人のとき馬鹿話で盛り上がるのだが、ティナが無言で馬をひき魔物と戦っているのを見ると自分達だけ遊ぶ気分にはならない。

……しかし暇なのだ。


陽もすっかり暮れ、薪を焚きながら夜営の準備をし終え、意を決して夕食の仕度をしているティナに話をすることにした。


「ティナ、無理矢理連れてきてごめん」

「それが私の仕事なので」

ティナはまるで当然かのように、振り向きもせずこたえた。


「……怒ってない? 」

「そんなに私に嫌われるのが怖いですか? 」

ティナが手を止め、面白そうに僕の顔を見た。



「そんな話をしたいんじゃないよ」

図星を突かれて恥ずかしさが込み上げてきたので強引に話を変えた。

「さすがにこれからしばらくずっとティナに頼るのも嫌なんだよ、だからせめて魔物だけは僕達に任せてくれないかな? 」

「……あまり私を困らせないで下さい、エディ様とご学友に何かあったら私はお二人に顔向けできません」


ティナは呆れた様子ではなく、本当に困っているようだ。


「じゃあこうしよう、僕とアラトも戦闘に参加するからティナは僕達が怪我をしないように補助に回る」

これくらいの妥協点でどうだ。


「……はぁ、エディ様はいつも私に求めすぎです」

「だいたい叶えてくれるじゃないか」

なんだかんだでティナも僕に甘い。



「仕方ありませんね、分かりました。では明日から戦闘のノウハウについて、一からしっかり学んで頂きます」



……えっ? そんな話だったっけ?

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