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最強魔導師だって嫉妬する  作者: rainydevil
学園編
23/69

ファソタ

次回からアラト君とも物語が始まります、よろしくお願いします。

そんな訳で僕達二人は作戦会議のため、アラトの家に集まった。

これはあくまで僕が将来貴族になったとき、領地経営の一貫、そしてアラトは実家の商家に少しでも貢献するためである。断じてさっきのお店にリベンジするためではない。



アラトの実家は街の一角にある一軒家の一階をそのまま店にしただけの小さな商店だ。


「この店って何を売ってるんだ? 」

店内を見渡せば狭い店内に果物から異世界らしい謎ポーション、冒険者用の剣や弓に魔導師のための魔導具まで置いてある。失礼だが倉庫に見えなくもない。


「俺もよくは分からん、親父が好きなもの買ってきてそれが店に並ぶんだよ。だからゴミだか売り物だか分からんない物も結構ある」

「……そんなんで大丈夫なのか? 」

「全然大丈夫じゃないな、年毎の商業ギルドに払う税金でいっぱいいっぱいだな」


商業するにもギルドがあるようで、日本でいうところの組合みたいなものらしい。

当然加入する訳にもいかず、アラトの親父さんに頼む訳だが、不安になってきた……


しかしアラトの実家が商店を開いているのは好都合、ここで僕が作ったものを売って貰えば僕はお金が貰えて、アラトは実家が立て直されてバンザイなはず。


当然僕には商売の知識なんてないのでその辺はアラトの親父さんに丸投げでいこうと思う。


「僕が作ったものをここで売って貰えるか? 」

「親父は珍しいかったり面白かったりしたらゴミでも売るから大丈夫だと思うけど、でも親父に商売の才覚は全くないから注意はしとけよ」

じゃあなんで商売してるんだよ。




「帰ったかアラト! 今日は遅いな、どこ行ってたんだ⁉︎ 」

アラトの親父さんがごちゃごちゃの店の奥から出てきた。アラトと同じ赤茶色の髪がトゲトゲの、どう見ても商人には見えないムキムキおじさんだ。



「おぅ親父! 今日はこいつとちょっと遊んでてな。ついでに連れてきた」

ちょっと何をどう遊んでたんだよ、と思ったが僕も不利になりそうなので黙っておく。

「お、君が前からアラトが言っていたエディルトス君か、バカ息子が世話になってすまねぇな」

「初めましてエディルトスです。……突然なんですが少しお願いがありまして」

「ん? なんだいきなり、何か欲しいのか? 」

「いえ、その逆で売りたい物があるんです」

「お前がが? まぁいいけどよ、何を売りたいんだ? 」

安受けをしてくれるのは嬉しいが、本当に心配になってきた。

しかしそんなことは言っていられないので、僕は営業マンよろしく我が社の商品をプレゼンしはじめた。




「僕がここで売って欲しい物は飲み物で、炭酸ジュースというものです」

「たんさん? ジュースは分かるがそれは何なんだ? 」

この世界には果実のジュースはあれど炭酸ジュースはもちろんない、多分果実ジュースと合わせればファ○タ的なものができると思う。


「炭酸という二酸化炭素を水に溶かした物と普通のジュースを混ぜることでもっと美味しくなるんです」

「……アラト、解説をしろ学園で習ったんだろ? 」

「分かるわけないだろ? こいつしかしらねぇよ 」


酸素すら知らない人々に二酸化炭素なんて言ったって分からないはず。多分アラトは説明しても聞かないと思うけど。


「すぐに実物を作ってお見せするので、それから考えて貰えませんか? 」

僕にプレゼン能力はないみたいなので実物を持ってくることにした。









「というわけでアラト君、僕の地元(地球)のソウルドリンクとも言う炭酸ジュースを作ろうか」

「お前王都から出たことないくせに何が地元だよ」

隣で珍しく突っ込みにまわったアラトがピーピーうるさいがとにかく作るのだ。


「はい、では本日作る料理である炭酸ジュースの材料はこちら、果実ジュース、水、後は魔法を少々のお手軽料理でございます」

「だから誰に喋ってるんだよ……しかもなんで材料が揃ってるんだよ、どこで買ってきた」

そろそろアラトがうるさいので構ってやることにする。


「うるさいな、作り方を教えるから黙って見てろよ」

「……お前ほんとわがまま坊ちゃんだよな」


これから炭酸ジュースを作るといってもずっと僕が作るわけにはいかない、なら最も効率がいいのは機械での自動化か低賃金で働く労働者だ。この場合はアラトにあたる。


「ちゃんと見とけよ? バカトにも分かるくらい簡単なんだか」

「……もう突っ込まないぞ」

余談だが自分がバカだと自覚がある奴は伸び代があると思う、おめでとうアラト君。


「じゃあ始めるぞ、まずは普通の水をこの樽の中に半分くらい入れる。ここで魔法を使う、命令はこうだ『二酸化炭素ちゃん集まれ〜』次に『冷たくなれ〜』最後に『圧力高くなれ〜』これで終わりだ」



気体を水溶液に溶かすとき、温度は低いほど溶けやすい。さらに一定量の溶媒(気体を溶かす水溶液)に溶けることができる気体の物質量は、その気体の圧力に比例する、これを『ヘンリーの法則』という。

だから気体を水に溶かしたければ、冷たくして圧力を上げればよい。地球の炭酸飲料製造もこうして作っている。

大雑把な説明なのはどうせ説明してもアラトには分からないからだ。


「……これでできてるのか? 確かに泡みたいなのかでてるけど」

「これを果実ジュースと混ぜて完成だ、飲んでみろよ」

できた炭酸水と果実ジュースをテキトーに混ぜてアラトに渡した。


「初めて飲む感じだなぁ、甘いのに辛い、確かに普通の果実ジュースよりも美味しいな」

「売れると思うか? 」

「売れるとは思うけど、うちの店に置くだけじゃ誰も見てくれないからな、宣伝しないと無理かも」

自分の家だろうに……


「じゃあどうやって宣伝する? 僕が売って回ればいいかな? 」

親から貰ったDNAを有効活用しようと思う。

「だったらお前のファン全員に売りつければいいだろ」

まるで僕が悪徳商法をしているみたいに言わないで欲しい、でも握手会とかやってみたらぼろ儲けできるかもしれない。



「なぁアラト、僕と握手するのにお金払える? 」

「何キモいこと言ってんだ、心配しなくてもお前が売れば買う奴は買う」

その辺の石ころでも売れるような気がしてきた、幸運の石とかで。



「じゃあ明日売る分を今から100本な、ほら始めろ」

「……は?」

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