出発
クロナが練習場を半壊させた数日後僕は高学年が行う実践授業の説明のために呼び出されていた。
「エディルトス、君は監視が必要だからサーフィアさんの班に入ってもらう、レーナ先生は魔物を自由に爆破してよいと言いましたがくれぐれも常識の範囲内でからな? 」
なんだか囚人みたいな言われようだ、失礼な、僕の罪なんてせいぜい器物損壊罪くらいだ。
さらに説明しておくとこの世界の魔物と言われているのは、別にファンタジーのように魔王が従えているとかそういう訳ではない、ただ単に魔法を使う動物、だから魔物だ。
人間だけが魔法を使える道理はない。
「先生、自分で言うのもなんですがサーフィアさんは僕に甘々ですよ? 」
「そんなことは分かっている、だからサーフィアには君をこの実践授業内きちんと制御できた暁には君を一日好きなようにできる権利を与えることにした」
「……先生、ご自分が何をしたか分かってるんですか? 」
「分かっているつもりだ、証拠に今のお前のにやけ面は見るに堪えないぞ」
失敬失敬。
「では実践授業について説明するぞ、もちろんだが授業の目的は魔物を爆破するものではない、将来学園を卒業したときにいち早く魔導師として実践を行えるようにだ」
「……僕は別に魔導師になるつもりはありませんよ? 」
別に何かと戦いたい訳じゃないし、地位と名誉だけほしい、貴族なんてぴったりじゃないか(偏見)
「……お前、ここに何しに来てんの? 」
そう言えば何しに来てるんだろう。
「そんなことはどうでもいいので続けて下さい」
「お前のせいだろ……まぁいい、そこで実践授業は五人一班だ。その五人で一つの馬車に乗りここ王都からオールの森に入る、ここで一週間その五人だけで過ごしてもらう。もちろん最低限の安全は私達教員が守るが基本的に全て自分達でやってもらう」
「魔導具の使用は可能ですか? 」
「もちろん可能だ、お前の空飛ぶ靴も使っていいぞ……言っておくが授業中それを使って家に帰ろうなんて考えるなよ? 」
先に釘を刺されてしまった、お風呂入りたかったのに。
「いやだなぁ〜そんなことする訳ないじゃないですかー、あははは〜」
「だよなぁ〜、そうだよなぁ〜? そんなことしたらお前の両親……は、お前に甘いから目付役のメイドにだな、報告しておくから」
なんと、これまでの僕の暴挙は全て報告済みのようだ、さらには両親が僕に甘いことまでバレている、因みに母さんなんて僕に甘すぎて怖いくらいだ。
魔法の実験に失敗して家を吹き飛ばしても『エディちゃん凄い! もっともっと‼︎ 』なんて言ってくる。
「……なぜ先生がティナの事を知ってるんですか」
「お前の両親に言っても『うちのエディちゃん凄い! 』としか言わないんだよ……」
母さん……
「先生も大変なんですね……」
「お前のせいでな」
「後は、まず無いと思うが盗賊団と遭遇したときだ、全力で逃げろ、お前達は恐らくまだ殺しはできないだろうからな」
そうして数日後、僕は高学年と共一週間の実践授業に出発する事になった。
もちろんその間にもクロナに魔法を教え今では炎の魔法だけで言えば僕に次ぐ実力者だ、既にクロナが僕にに魔法を教わっている事は明らかだったが、クラスの女子達はそんな事よりクロナから僕の情報を得ることに必死のようだ、なので意外とゲスいとかがバレている。
「じゃあ行って来るね」
「はい、いってらっしゃいエディ君。くれぐれも気をつけて下さいね」
「心配はしてないけど気をつけろよ、痴漢とかに」
「アラトの言う通り実力は問題無いと思いますが気をつけて下さい」
出発前、自分の教室を訪ね挨拶したところクロナ、アラト、リョウが声をかけてくれた、いつも通りアラトの頭は空っぽだ。
「他の皆も行って来るね」
僕を送れない事に血涙を零しそうなクラスの女生徒達にも声をかけると、女生徒達はまるで今生の別れのように抱きついてくる、ほれほれもっとちこうよれ。
柔らかくて良いにおいのする女の子達にもみくちゃにされ、だらしない顔をしていると、クロナが絶対零度の視線を向けてきたが後で謝ればいい、今しか味わえないものがある。
あ、今誰かお尻さわった