2 透明と不死
8000字オーバーしちゃいました。小分けしたほうが良かったかな。
またお城に来てみた。
出入り自由なのは良いけどさ、家に帰して欲しいとつくづく思うよ。
あれ、新たな勇者?
遂に召喚したんだ。
今度は見えないって事は無いみたいだけど、どうしてオレの時だけこんな事になっちまったんだよ。
「お前、日本人か」
「え、オレが見えるの?」
「当たり前だろ。それよか、お前、何をしている。お前も勇者なのか?」
「聞いてくれよ。神様の奴、透明になれるスキルって言ってよ、ずっと透明になりっぱなしなんだ。誰にも見えずに話も出来ずに。辛かったぜぇ」
「何だそりゃ」
「何を独り言を言っているんですの」
「おい、こいつが見えないのか?」
「はぁぁ……判りました。とにかく、部屋に案内しますので」
「あ、ちょっと、こいつの事は」
「その話は後にしてください」
「あ、ああ……」
(どうやらまた失敗のようですね……今度は召喚成功かと思えば、妄想のある勇者ですか……いくら1000年振りとは言え、中々成功しませんね……もう水晶珠のマナがありません。また数年掛けて貯めませんと……弱りましたね。何とかしないと……あれ、どうします……巧い事言って討伐って事にして、放逐しましょうか……そうですね。下手に投獄して、変に暴れられても困りますし……良いですか、妄言は信じた振りをして、機嫌を損ねないように……はい、畏まりました)
ヤバいな……オレのせいであいつ、変な事になっちまったぞ。
けど、呼ばれたのは良いが、魔王討伐とか言うけど、町の噂は一切聞かないんだよな。
本当に相手は魔王なのかよ。
よくある悪徳国王とかで、戦争に使うとかさ、あり得る話だけど。
そう考えたら透明なのもお得って事になるんだけど、誰とも話せないのは辛いぜ。
まあ、役得はあるんだけどよ。
さて、王女の風呂でも見学に行きますか、くっくっくっ。
これも意趣返しのようなもの、たっぷり見てやるから覚悟しろ。
しかしな、触れると反応するんだよな。
だから王女の寝室に夜中に潜り込んで、イタズラはやれたんだけどさ。
変な夢扱いされたのはいいけど、ガキが産まれたらヤバいな。
まあいいや、ずっとこのままなら、開き直って好きなように生きてやる。
今日もたっぷり可愛がってやろうな、くっくっくっ。
(はっ……えっ、今のは?……夢?……はしたない夢を……ああ、参りましたね。欲求不満だと見ると聞きますけど、まさか私が見るとは)
はっきり言って、あいつ以外に見えないなら、服とか着る必要無いよな。
ああ、なんて解放感……お城の廊下を裸で歩くこの気分、何とも言えんな。
よし、風呂に入っておくか。
王女の残り湯で王女との夜の跡を流すか。
バレたら極刑になりそうだな。
かなり冷めてんな……まあいいか、まだ暖かいし。
それにしても豪華な風呂だよな。
これが王女専用って贅沢し過ぎだろ。
やっぱり戦争目的で呼んだのかねぇ。
まあ、オレには関係無いけどな。
ふうっ、サッパリした。
濡れたまま歩くと足跡が残る。
それは見えるのか見えないのか、検証してみるか。
「なんじゃこの足跡は。誰じゃ、濡れたまま歩いた者は」
「これは……」
「不埒者を処分せい」
「ははっ、分りました」
「たるんでおるな」
「はっ、申し訳も……」
「早急に見つけて処分せよ。良いな」
「ははっ……」
そうか、見えるのか……だとすると、油断すると拙いな。
身体に触れられると言う事は、デタラメに槍とか振り回されたら当たるって事になるもんな。
んで、落ちた血を見られたら、殺される事にもなりかねんぞ。
これは気を付けないと。
さて、服着て靴履いて……さて、食い物をせしめないと……お、何だ、宝物庫が開いてるぞ。
虫干しか? よーし、中の宝物、みんないただいちゃえ。
お前らが悪いんだからな。
オレを拉致したんだからよ。
これは正当な慰謝料に該当する……なんてな。
しっかし溜め込んでたもんだな。
全部盗んで扉閉めてやった。
なんかオートロックみたいになってたけど、開けたらバレるな。
まあいいや、バレても見えないんだし。
さて、あいつがどうなるかは知らんが、城から出ないとな。
もういいや、王女で遊ぼうと思ってたけど、たっぷり流し込んでやったから、そのうち妊娠して驚くがいいや。
でも、処女だと信じてるから、マリア様みたいに思われるかな……
「これが当座の資金になります」
「これ、どれぐらいの金なんだ」
「普通に暮らして3か月分ぐらいですね」
「そうか」
「良いですか、魔物の素材は売ってお金になりますから、それを資金の足しにしてください」
「その山に行けば良いんだな」
「はい、ですが、今のままでは無理なので、レベルを上げてください」
「ああ、そこら辺は何とか判るが、終わったら返してくれるんだな」
「はい。帰還の為の準備をしておきますので、お願いしますね」
「まあ、何とかやってみるさ」
(やれやれ、何とかなりましたか……帰還の話は初耳なのですが……そんな事、やれる訳が無いでしょ。ああ言わないといけないと書いてあったのです。そして首尾良く倒して戻った暁には、毒を以て殺せともね。良いですか、相手は異世界人なのです。確かに能力は高いですが、目的を果たした後はその能力の高さが問題になります。使わなくなった武器は廃棄するもの。それをしないと国が乱れると、召喚要綱に記されていたのですよ。確かにその通りだと思います。なのでここは心を鬼にしてですね……判りました……それで、代わりの水晶珠はあったんですか?……それが、探しても見つからず……仕方がありませんね。次は来年ですか……総員で日々、魔力を充填しますので……お願いしますね……ははっ……父上が病の今、頼れるのは勇者しかいないのです。つい先日も隣国がちょっかいを出して来たと聞きました。舐めているのでしょうが、そうはさせませんよ……あの勇者もどき、ちゃんと強くなって前線基地を潰してくれるでしょうか……あんな者でも勇者は勇者。何とかなるでしょ。良いですか、あれが時間稼ぎをしている間に次の勇者を召喚します。まともな勇者なら将軍にして、兵を率いて隣国を倒してもらうのです……それしか無いのですね……ええ、もうそれしか無いのです)
やっぱり戦争目的かよ。
そうじゃないかと思ったんだ。
あいつ、巧くおだてられたようだけど、真相を教えてやんねーと。
もう来ないつもりだったけど、やっぱりいい女だよな。
また……夜に……いかんいかん、パレたらヤバいんだって。
あれ、何処に行く……昼間っから風呂に入るのかよ……ううう、参ったな。
ちょっと拝見……やっぱり良い女だよな。
あんな性格じゃなければ……う、また……昨日ヤったばかりなのに、また欲しくなってきたぞ。
ええい、やっちまえ。
バレたらバレた時だ。
逃げたら見つからないだろうし……
「なんっ……これは……えっ……何ですか、これは……うっ、そこは、ダメ」
☆
「さようなら、王女様。楽しかったぜ、クククッ」
ヤり収めとばかりにたっぷり堪能したけど、マジ良い女だったよな。
けど、マジ妊娠するかも知れんな。
まあいいや、そんな事はどうでもな。
けど、そいつが次期国王とかになったら、オレの子が王様か、クククッ……なんてな。
お、やってますね……それは良いけどさぁ……いきなり魔物相手は無理だろ。
ほら、劣勢になってるし……
ていっ、それ、やれやれ。
「アンタ……済まん、助かった」
「いきなりとか無理だろ。防具はどうした」
「それがな、金を貰ったのは良いんだが、武器を買った後で落としたみたいでな」
「スリかもな」
「ああ、そうか……くそっ」
「神様からアイテムボックスは貰ってないのか」
「そんなのくれなかったぞ。お前、貰ったのかよ」
「ああ、貰ったぞ」
「くそ、何でオレはダメなんだ」
「何のスキルを貰ったんだ」
「死なないスキルだ」
「そりゃまた派手なスキルだな」
「何かよ、強力なスキルだからそれだけって言われてよ」
「ああそうか、オレのスキルがこんなだから、アイテムボックスがおまけに付いたんだな」
「本当にオレ以外には見えないのか」
「ああ、見えないし声も聞こえない。殆ど幽霊みたいな状態になってるさ」
「そうか、そんな変なスキルだから、アイテムボックスが付くのか」
「とにかく、金が無いとどうにもなるまい。魔物の素材を提供するから、お前、素材売って金にしろ」
「助かる。何か礼をしたいが」
「これからペアでハントしようぜ。オレは見えないからメシも買えないんだ。だからな、余分に買って分けてくれ」
「そうか、よし、ならそれでいこう」
「余分な金は預かるからよ、荷物もオレが持つ。お前の荷物係って感じでいこう」
「なんか悪いな」
「物資は買えるだけ買ってくれ。アイテムボックスにドンドン入れるからよ」
「ああ、そうしよう」
よし、金と物資を預かりゃ、オレが主導権を得られるな。
後はおいおい、城の奴らの思惑を話してやりゃ、面白おかしく暮らせるな。
本当は元に戻れない話もしてやって、開き直らせてやらんとな。
しっかし、死なないスキルか。そういう手もあったんだな。
けどな、そんなスキル、バレたら拷問し放題にされちまうぞ。
身体は死ななくても精神はどうなるか。
狂ってまで生きたいなら別に良いが、やっぱりオレには不要だな。
まあいいや、下僕みたいな奴も出来たし、精々、オレの代わりに買い物をして、ドンドンオレに貢いでくれよ。
溜まれば溜まる程、オレの存在価値は上がるんだ。
素材はいくらでもあるからよ、ギルドに入って依頼書クリアして、ランクをガンガン上げていけ。
オレが不意打ちで致命傷を与えてやりゃ、どんなボンクラでも強敵を倒せるさ。
実力に見合わぬランクになりゃ、もうオレは手放せまい。
そうなりゃますますオレの意のままだ。
さあ、オレの為に働いてくれ。中学生2年生か。
大人の知恵に敵うと思うなよ、クククッ……
「これで達成だな」
「はい」
「ついでにこれも狩ったんで、換金してくれるか」
「えっ、これは」
「ランクってさ、当てにならんよな。オレは元々、田舎でハントしてたんだ。だからな、実力はもっと上さ」
「それで……ですか。そういう方も稀には居るそうですが」
「凄い田舎でさ、村にギルドが無かったんだよ」
「判りました。この件はギルマスと相談します」
「出来れば本来の実力に見合うランクが欲しいものだ」
「数日、お待ちいただけますか」
「ああ、だから換金頼むな」
「畏まりました」
(あいつ、賢いな。確かにそう言えばランク上がりそうだしよ。よーし、ドンドンランクを上げてやるぜ。さてと、この雑魚の依頼を請けてと……)
次は子ボルトか、在庫はあったな。
よし、オーク狩りに行くか。
後ろから膝裏を蹴飛ばしてやるから、倒れたら心臓を1刺しと。
簡単に倒せるが、あいつ、人型殺せるかな。
まあ、慣れたらいけるだろ。
ダメなら盗賊でも殺させて慣れさすか。
盗賊を何度か狩ってれば、城の宝物をそれに混ぜて、他の町で処分する事もやれるようになる。
今のままじゃ出所を疑われるだけだ。
さて、食い物も大量に仕入れたし、とっととそれなりに強くしないと。
目的地の山は隣国の前線基地。
確認するだけで死なれたら厄介だ。
楽々、偵察出来るだけの実力を付けさせて、城の奴らの嘘を認識させて、後は好き勝手に生きていくと。
これで決まりだろ、クククッ……
「あれを殺すのかよ」
「あれは魔物だ」
「そりゃそうだけどよ」
「それより荷車を隠しておけよ」
「あ、ああ……」
「まあいい、きついなら今回はオレが殺すから、お前見てな」
「悪い……いきなりは無理みたいだ」
「ゴブリンで慣れるか」
「あれもきついけど、何とかあれなら」
やっぱり生っちょろいな。
殺しの経験が無いと、こんな世界ではやっていけんか。
ほい、倒れてザクリと……ボックスに入れて……こいつも膝裏を……
いやぁ、実に簡単だな。
相手から認識されないから、集団でも殺し放題になるぜ。
お、ボス発見……こいつは片足を斬って……おお、痛がっているな。
お陰で急所はお留守になって、死ね、クククッ……やれやれ、またレベルが上がったか。
さて、戻るとしますかね。
あれ、何でこんなところに……拙いな。
さすがにドラゴンは無理かな。
でかいから背中に登らないと倒せないが、見えなくても感じたら攻撃されそうだ。
あれ、あいつ小便漏らしているのかよ。
仕方が無いな、隠れてろ……お、見えないから、鱗を踏んでも感触が鈍いぞ。
くすぐったがっているようだけど、残したオークの死骸を
食うのに忙しいってか。
それにしても、ドラゴンの延髄ってこの辺りか?……頼むぞ、これで死んでくれよ。
せーの、えいやっ……うお、暴れるなぁぁ……
はぁぁ、酷い目に遭った。
レベルが高くて助かったな。
確かに即死したんだけど、惰性と言うか、妙に首が動いて振り落とされちまったな。
大した怪我じゃないからまあ良いが、さすがにドラゴン倒すとレベルがぐんと上がるな。
5つも上がったぞ。
これで通算、39か、チョロイもんだな。
「大丈夫なのか」
「回復薬を飲んだ。じきに回復するさ」
「けど、凄いな。ドラゴンを倒すなんてよ」
「今回はオークのボスの素材を出すぞ。それで審査でランクは上がるだろう」
「オークはどうするんだ」
「そのうち雑魚とか言ってついでに殺したって素材で売ればいい」
「ドラゴンは?」
「ランクが上がれば強い相手も依頼になる。その時にな、帰りに襲われて返り討ちにしたって言うのさ」
「なーるほど。それでまたランクが上がるんだな」
「本来の実力はもっと上だと思わせて、ランクをガンガン上げるのさ。そうすりゃギルドの中でも有名人になれる」
「そうしたら楽に暮らせるのは良いけどさ、魔王はどうするんだ」
「ランクが上がれば強い敵も殺せるようになる。そうしたらな、オレが致命傷を与えて、お前が止めを刺すんだ。これでレベル上げ放題な」
「そっか、まずは強くなる為に、狩れるようにするんだな」
「ゴブリンとか、1年狩っても大してレベルは上がらんぞ」
「ああ、全面的に任せるから頼むよ」
「着替え終わったか」
「はぁぁ、参ったなぁ」
結局、ドラゴンとオーク38匹の素材はボックスの中に入れて、オークキングと子ボルトの死体を荷車に乗せて街に戻る。
後ろからオレが押しているので、あいつは楽々引いているように見える。
それだけでも力持ちと思われてランク上げの一助になるだろう。
今回のシナリオは、子ボルトを狩って終わって帰ろうとしたら、これに襲われた。
他にもオークが居たけど、荷車には積めないから放置した。
あんな浅い場所に出るとは思わずちょっと焦ったけど、オレぐらいになるとソロでも余裕だぜ……
これでいけそうなんだがな。
ちなみに、オレの事はスキルって事にしてある。
つまりは精霊の一種であり、お願いをすると攻撃の助けになってくれるってスキルだと。
まあ、田舎の村に伝わる極意みたいなもので、一般には知られてはいないけど、幼い頃に契約したとか言えばいい。
まあ、発覚したらの話だけど。
余計な事は言わないほうがいいが、バレた時の言い訳は必要だ。
契約者にしか見えないし声も聞こえないが、攻撃の助けになる便利な存在だと。
さて、今日はあいつを男にしてやらんとな。
未経験のままではまた王女みたいなのに出会ったら、良いようにされちまう。
女にも慣れささんとな。んで、途中でオレが交代してガンガン責めてやると、クククッ……
「3ランクアップか、まあまあだな」
「1ランクから4ランクって、前代未聞とか言ってたけど」
「次は7ランクぐらいを目指すか」
「何だかやれそうだね」
「ああ、やれるさ。さて、いよいよ本番だぞ」
「ドキドキしてきたよ」
「いいか、オレの腰の上に足を絡めてな、お前が責めているように見せかけるんだ」
「やり方、それで判るかな」
「適当に女を蕩けさせれば、後は誰でも善がる。好きなだけ発散しちまいな」
「これでオレも……遂に」
「発散は必要さ。特に戦う男はな」
「うん……見本頼むね」
「任せろ」
発展途上でちょいと短いけど、散々善がらせてやればそんなの関係無い。
すっかり出来上がった相手に対し、見様見真似で行為に励む奴。
妙に早いのは慣れてないせいか。まあ、何度でもやればいい。
飽きるまでな……
交代で朝まで責めて、女はすっかり腰砕け。
あいつはすっかりグロッキーになってるが、オレはイマイチ物足りん。
やっぱり王女の身体に慣れたせいか、味わいがイマイチだったな。
相性は良いんだが、どうにも相手が悪過ぎる。
誘拐して監禁して毎日遊んでも良いんだが、生憎と姿が見えないんじゃ暮らせないからな。
その為にも物資の確保は大事だ。
1生分ぐらいの物資を溜めれば、何でもやり放題になる。
そうすりゃ王女誘拐して閉じ込めて、死ぬまでオレの相手を務めてもらおうか、クククッ……
こんなオレを誘拐したのはそっちが最初、ならその補填はしてくれんとな。
さてその目的の為にも今はこいつの倉庫係だ。
しっかり強くなれよ。
「アンタ……若いのに、凄いのね。アタシ、今日は動けそうにないわ」
「悪かったな、久しぶりだったもんで、つい張り切っちまった」
「でも、凄く良かったわ。また来てくれるわよね」
「オレも冒険者だからな、何時までもこの街にも居られんが、来れるようならまた来るさ」
「待ってるからね」
「ほい、ちょいと色を付けておいた」
「こんなに……」
「いいって事よ」
「ありがとね」
(うひゃー、恥ずかしー……女たらしみたいな台詞だぜ。けど、信じているみたいだし、なんか気分が良いぜ。はぁ、やっとオレも男になれたんだな。あっちじゃ早い奴は小6とかで体験とか言ってたけど、これで戻ってもオレも経験者だ。平気で話を聞けるな。しっかしあれがセックスかぁ……また……うん、またやりたいな。気分最高だぜ。けど、あいつってやっぱり大人だよな。あんな台詞をあっさりと考えるんだもん。言われた通りに言ったけど、あいつ、向こうでもそうやっていたのかな。だとしたら……兄貴だな。うん、それでいいや)
「どうだ、調子は」
「絶好調」
「楽しめたようだな」
「あんなに凄かったとか思わなかったよ」
「またやれば良いさ」
「うん、またやりたいね」
「さて、また買出しだ。ガンガン溜め込むぞ。山篭りするにはいくらあっても足りないからな」
「強くならないといけないもんね」
「ああ、んで、山を降りたらまたあれだ」
「うおお、意欲沸きまくりだぜ」
「目標レベルは30だ。今はいくつだ」
「11だよ」
「もっともっとだな」
「頑張るよ、兄貴」
「クククッ、それで良いんだな」
「うん、何から何までオレより詳しいしさ、これからも頼むよ、兄貴」
「任せろ。ガンガン鍛えてやるさ」
「やるぞー」
馴染んだらガキ相応の言葉遣いになりやがったか。
妙に大人ぶっていたと思ったが、これがこいつ本来の言葉遣いだな。
さて、今はまだ真実を明かすのは早いが、レベルがそれなりになったら偵察を兼ねて山に登らないと。
そこで噂の話をして、城の話をすれば一発だろ。
次の勇者は来年とか言ってたが、そいつがどうなるのかは知らんが、将軍と煽てられて戦争の駒にされちまうかもな。
まあそういうのを外から眺めるのも良いし、召喚の水晶珠を盗むのも良いってか。
それにしても、このもやもやした力、これは恐らくは魔力だろう。
これの扱いも何とかしないとな。
とりあえずは意のままに動かせないといけないと思って何とか循環させてるが、使い方を知らないとどうしようもない。
どっかで調べないとな。やっぱり城かな。
さて、買出しが終わったら数日、休養を取らせるか。
しばらく宿でのんびりさせて、それから山篭りといきますか。
オレはちょいと魔法を調べるから、分ったら教えてやると言えば良いだろう。
「え、魔力?そんなの感じないけど」
「レベルが上がったら感じるようになるのかもな。オレも最初は感じなかったし」
「そうなんだね」
「だから数日は自由行動だ。オレは魔法を調べてくる」
「うん、分かったよ」
「あれは無しだぞ。まだ1人だとあっちのほうが上だ。物足りないとか言われたらお前、搾り取られるぞ」
「うへぇ、それはきついかも」
「山篭りの前にそんな事になったら、修行どころじゃないからな」
「うん、そうだね。終わるまで我慢するよ」
「そうしておけ。よし、それじゃ出発まで宿でのんびりしてろ」
「うん、そうするよ」
物資はかなり溜まったな。
あれからアイテムボックスの中の素材とか、新たに狩った魔物とかを換金し、あいつのランクも8になっている。
そうしてついでのオークキングの話で次はランクMAXになるだろう。
そうしてやっと、中級冒険者となるらしい。
本来は何年もかけて中級になるらしいが、あいつの早さはギルド始まって以来とか言われているらしいな。
あのオークキングの査定が長引いて、先に素材を売り捌く事になり、そっちのほうでランクが少しずつ上がって行って、そして査定にプラスされての今回のランクアップになったらしい。
本来はもうMAXでも良いらしいが、いきなりのMAXはギルドのメンツに関わるとか下らん事を言ってたが、次に何かを狩れば上がるとか言っていた。
だから山篭りでレア物でも持参すればすぐに中級になれるだろう。
そしたらまた溜めておいた獲物を売りまくり、MAXで上級冒険者だ。
上級へのアプローチはドラゴンでも出すか。
あれで恐らく、文句無しにいけるはずだ。
おっと、書物庫はここか。
魔法、魔法と……ふむ、この辺りの書物が全部か。
お、こいつは召喚の。よし、この辺り全部貰うぞ。
後は……いかんな、虜になっちまったか。
あの身体、また味わいたいぜ。
さてと、もう寝てるか。
またいただくぞ……
(あ、また……この感覚)