水着を買いに………
食堂での出来事で私は生徒会長と付き合っているって噂が流れているようです。
はっきり言って何故兄と噂に………
そのせいで庶民組の人からは応援され、金持ち組の人からは殺意を持たれています。
あと一ヶ月半で夏休みになるのですが休み明けには落ち着くだろうか?
「ひ~よちゃん遊びましょう!」
柚樹君の言葉にため息が漏れます。
多分水着を買いに行く誘いだと思う。
「あ!ひよちゃんと遊ぶってうさちゃんに言っとかないと殺されちゃうかな?」
「うさちゃん呼ばわりして殺されないなら大丈夫じゃないかな?」
私の言葉に柚樹君がため息をつきました。
「ひよちゃん解ってないな~じゃあたい君で考えてみなよ!」
「あの人は誰と居ても連絡寄越せって人だから………え?会長と副会長を一緒にしないで欲しいんだけど!」
「一緒だよ!男なんて。僕殺されたくないから、うさちゃんも呼ぼう。」
「え!?」
今から水着を買いに行くんだよね?
そんなところに雪兎さんを連れて来たら迷惑以外の何ものでもない。
「迷惑だよ。」
「はぁ?迷惑なわけないじゃん!むしろ嬉しいでしょ!」
「?………じゃあ………とりあえず………メールしてみる。」
私は半信半疑だったがメールを打つことにした。
『今から麗様達と水着を買いに行くんですけど、柚樹君が雪兎さんも誘えと言うのでメールしました。お時間あるならどうですか?』
訳の解らないメールだと思う。
柚樹君は私がメールした事が嬉しいみたいだった。
暫くするとメールが返ってきた。
『今は無理だ。太陽をまいてから行くから場所だけ教えてくれ。』
って返ってきた。
兄が居ると面倒だと理解してくれたようだ。
私は雪兎さんに店の名前と大まかな場所をメールした。
雪兎さんが来てくれるのは嬉しい。
雪兎さんに可愛いと思ってもらえたら嬉しすぎる。
それが妹カテゴリーであったとしても。
麗様のお家の車で店にむかった。
車内では柚樹君が未来先輩をずっと説得していた。
「匠伯父さんは止めときなって!」
「別に良いだろ!大人の男が好きなんたよ!」
「じゃあ、僕が未来ちゃん好みになるから少し待ってよ!」
「お前に大人の男なんて無理だろ!」
「未来ちゃんのためなら頑張るよ!」
「なれたら考えてやるよ!無理だと思うけどな!」
未来先輩はたぶんへこんだ顔をする柚樹君が好きみたいだ。
そんな二人を微笑ましそうに見つめる麗様も嬉しそうだ。
店につくと麗様と未来先輩が直ぐに自分好みの水着を見に行った。
私は柚樹君と顔を見合わせた。
「何だかんだで未来ちゃんも水着嬉しいって思って良いよね?」
「だね。柚樹君にアドバイスしてあげよう!未来先輩が水着2つで悩んでたら両方買ってあげなよ!」
「え?」
「皆で温泉旅行行く用と、柚樹君と海かプールデートする用だよ!買うから見せてね!ってデートに誘うんだよ!」
「ひよちゃん頭良い!僕未来ちゃんの所行ってくる!」
柚樹君は満面の笑顔で未来先輩を追いかけた。
私はゆっくりと近くの水着から見て回る事にしたのだった。
気になった水着を見ていると麗様に捕まった。
「日和ちゃんも試着しましょう。」
有無を言わせない迫力で言われ試着室に押し込まれた。
仕方なく手に持っていた水着を試着することになった。
空色のフリルのたっぷり付いた水着。
着替えて試着室から出るとそこには雪兎さんが来ていた。
私はフリーズしてしまった。
心の準備がまだです。
「似合うよ。」
雪兎さんの言葉に私は試着室に戻りドアを閉めた。
「日和?」
ドアの前に雪兎さんが居る気配がある。
「あ、あの、雪兎さん来てたんですね。」
「ああ、今付いたとこだ。」
「お疲れ様です。」
「うん。日和良かったらもう少し見せてくれないか?」
雪兎さんは私の水着姿を見たいと言っているのだろうか?
意味が解らない。
私はおずおずと試着室から出た。
「うん。良く似合ってる。可愛いよ。」
雪兎さんの笑顔に鼻血が出そうです。
私は両手で顔を覆った。
「あの、恥ずかしいです。」
「え?日和が見てほしくて俺を呼んだんだろ?」
「違!私は………」
可愛いって言ってもらえたら嬉しすぎるって思ったのは事実だ。
本当に言ってもらったらこんなにも破壊力があるなんて、思ってなかった。
「き、着替えてきます。」
私はそれだけ言って試着室に逃げ込んだ。
ドアの前で雪兎さんが笑った気配がした。
着替えて出て行くと雪兎さんが待っていてくれた。
うー無駄に格好いいです。
雪兎さんは私に笑顔を向けた。
「それにするの?」
「まだ悩んでて………」
「俺も一緒に選んで良い?」
「?………良いんですか?」
「勿論だろ?日和はスタイル良いから何でも似合いそうだな。」
雪兎さんは柔らかく笑った。
な、何なんですか?その悩殺スマイルは?
無駄に格好いいだってば!
うー好きだよ~!
私が雪兎さんの笑顔に萌えて居る間に雪兎さんは水着を見始めたようだった。
「あ!うさちゃん来てる!」
「よ!」
そこで柚樹君が合流した。
雪兎さんは柚樹君に向かって軽く右手を上げて見せた。
「うさちゃんはひよちゃんの水着選んであげるの?」
「そのつもりだ。」
「そっか!あっちにエロい水着があったよ。」
「柚樹君!私着ないからね!」
「え?そうなの?うさちゃん悩殺するをじゃないの?」
ゆ、柚樹君………本気で止めて!
悩殺?無理だから!むしろ私がさっきされたから!
私は柚樹君に殺意のこもった眼差しを向けた。
柚樹君はぜんぜん気がついていない。
いや、気付かないふりをして居るに違いなかった。
「悩殺?する?」
「ゆ、雪兎さん無理ですから!」
「無理かな?日和ならできると思う。」
「か、からかわないで!」
私はかなり赤面している自信があった。
「ひよちゃんはうさちゃんの前だと可愛いね。」
「なっ!」
「僕の前だとあんまり表情変えてくんないじゃん。」
「え?そんなことないよ!」
「えーそんなことあるよ~!僕の事なんか意識してないからハグだって出来るんでしょ?」
や、止めて~!
私は柚樹君の口を急いで手でふさいだ。
「それ以上言うと、未来先輩にあることないこと言うよ!」
柚樹君はコクコク頷いた。
私がゆっくりと手を外すと柚樹君はニコニコしていた。
何だか酷いプレッシャーを感じた。
後ろに居る雪兎さんの方を見るのが怖い。
「日和。」
雪兎さんに名前を呼ばれました。
無視するわけにもいかないのでふりかえると、雪兎さんは柔らかい笑顔で私を見ていた。
何でそんなに優しい顔をしてるんですか?
「水着選ぼう。」
「………はい。」
何故か雪兎さんに手を握られ水着を選ぶはめになった。
水着って怖いんだね。
はじめて知ったよ。
雪兎さんが選んだ水着を着せ替え人形のごとく着せられ、満面の笑顔を向けられ辱しめられた。
しかも、かなりの枚数を雪兎さんが買ってくれた。
「申し訳ありません。」
私は今雪兎さんの家の車で送られています。
「どうして?俺は楽しかったけど?」
「でも、こんなにたくさん………」
「日和に着てほしかったんだ。俺の我が儘だから気にするな。」
雪兎さんは優しい笑顔で私の頭を撫でてくれた。
利益とお金が大好きな人に水着なんて買わせて良いのですか?
申し訳ないです。
シュンとする私に雪兎さんは言った。
「夏休みに入ったら、海にでも行こうか?モルジブ何てどうだ?」
「へ?」
「家族旅行みたいなものだろ?最近日和と遊ぶこともなかったからたまにはな!俺だって日和と遊びたいんだ!だから今日は楽しかった。日和が誘ってくれたからだ。ありがとう。」
雪兎さんの笑顔の理由が私と遊べたからなら嬉しい。
「あの、また誘って良いですか?」
「勿論。今度は服でも見に行くか?それとも映画?日和の好きな所に行こう。」
それは、デートみたいですよ雪兎さん!
私、勘違いしてしまいそうです。
口には出せないけど………
その後私は雪兎さんと他愛のない話をして帰った。
コメントもらえたら頑張れます。