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ハグ

次の日。

お昼休みに食堂に向かった。

私の知っている未来先輩の情報をまとめた物を柚樹君に手渡すためだ。


「柚樹君、例の物をお持ちしました。」

「さすがひよちゃん!仕事が早い。」


柚樹君は情報の入った茶封筒を手に喜んだ。

柚樹君の目の前には等の本人である未来先輩が座っていた。

なんだか申し訳なく思う。

未来先輩の横には麗様が座っていて、その横には麗様の婚約者の新宮帝(にいみやみかど)様が座っていた。


「あ!そうだ。今度さ、麗姉さんとみかん兄さんと温泉旅行に行くんだけどひよちゃんも行かない?」

「え?」


何故か柚樹君は帝様をみかん兄さんって呼んでいた。

そして、柚樹君は私にウインクして見せた。


「不安なら未来ちゃんも一緒に来てくれるから!」

「おい、私は行くなんて言ってないぞ!」


柚樹君の狙いは未来先輩との温泉旅行のようだ。


「未来先輩が行くなら行くよ!未来先輩ありがとうございます。」

「え?日和、温泉旅行行きたいのか?」

「未来先輩となら、行きたいです。柚樹君、温泉旅行どうやって行くの電車?」


私の質問に答えたのは麗様だった。


「伯父様が車を出してくれるの。水着着て良い所だから3人で買いに行きましょうか?」


麗様はニッコリと笑った。

麗様の言う伯父様とは藤沢匠(ふじさわたくみ)さんと言って麗様の伯父で、イケメン実業家だ。

ちなみに30歳である。

私がそんなことを考えているあいだ、麗様の横に居る帝様がうっとり麗様を見ている。

この二人はラブラブだ。


「麗と水着買いに行くのは嬉しいけど私今月水着買ってるお金無いから無理!」


未来先輩はそう言って断ろうとした。


「はい!僕がお金出す!麗姉さんと未来ちゃんとひよちゃんの分買う!だから、ついていって良い?」


未来先輩が嫌そうな顔をしていた。


「未来先輩、水着買ってもらって温泉旅行行きましょうよ!未来先輩の大好きな匠さんも来るなら行って悩殺しちゃえば良いですよ。」


私の言葉に柚樹君がイスから立ち上がった。


「ちょ、ちょと待って!聞き捨てならないんだけど未来ちゃんって匠伯父さんが好きなの?ただのドエロなおっさんだよ!」

「ドエロのおっさんって、大人の男の魅力だろうが!」


柚樹君は未来先輩の言葉にショックをうけていた!


「ひ、ひよちゃん!何でもっと早く教えてくれなかったの~!匠伯父さんに車頼んじゃったじゃん!」

「知ってるのかと思って。」


未来先輩はショックをうけている柚樹君が面白いのかクスクス笑っている。

柚樹君はそんな未来先輩を見てさらにショックをうけたようだった。


「うわ~ん!未来ちゃんが虐めるよ~!」


私はなんだか可哀想になって柚樹君を抱き締めて背中をぽんぽんしてあげた。

柚樹君も私の腰に手を回してしがみつく。


「よしよし、泣かない泣かない。」

「ひよちゃん優しい!しかも未来ちゃんと似た匂いがする。」

「ああ、未来先輩に教えてもらったシャンプー使ってるからかな?」


私がそう言った瞬間、誰かに勢いよく柚樹君を引き剥がされた。

兄と雪兎さんだ。

兄が柚樹君の首もとをつかみ、私は雪兎さんに後ろ手に庇われた。


「クソ野郎!俺のひよに何してる!」

「う~わ!タイミング悪。」


兄が柚樹君を殺しそうな勢いで睨み付けた。

私は雪兎さんの後ろから言った。


「会長!柚樹君は悪くないですからね!」


兄の視線が私の方を向いた。


「私が柚樹君にハグしたんです。私が!柚樹君を怒るのはおかしいでしょ?」


私の言葉に柚樹君は喜び兄と雪兎さんは驚いた顔をした。


「ひよ!こんなのハグしちゃいけません!」


兄は柚樹君をこんなの呼ばわりです。


「うーん。ちょっと可哀想になってしまって………最近お隣の小学生のゆうちゃんを泣き止ますのによく使う手だったってだけなんだけど………高校生男子には駄目でしたか。」

「日和。駄目だぞ。」


雪兎さんに軽く小突かれた。


「はい。ごめんなさい。」


私はとりあえず謝った。

兄は怒りがおさまってないようだった。

それを雪兎さんがなだめてくれた。

そして、雪兎さんは柚樹君の耳元に口を寄せて何やら話すと笑って見せていた。


「二度としません。誓います。」

「そうしてくれ。」


柚樹君は雪兎さんが苦手なようだ。

柚樹君の顔色が悪い気がしますが、何を言ったんですか?雪兎さん。

なんだか笑顔が怖いです。

雪兎さんは私の所まで来ると私の頭を撫でてくれた。


「日和も無闇に男に抱き付かない。約束だ。」

「はい。」


私にはこんなに優しいのに。

そんな事を思った瞬間兄に抱き締められた。

力いっぱいもがいたが兄の力には抵抗できそうになかった。


「こら太陽。日和が嫌がってる。」

「消毒だ。」


意味が解らない。

そして、ウザい。

雪兎さんに助けを求めるしかないのか?

私がすがるように雪兎さんを見ると雪兎さんは兄に笑顔でアイアンクローをした。


「いい加減にしないとかち割るぞ。」

「雪!痛たたたたた。はなすから!」

「早くしろ。日和が可哀想だろ。」


雪兎さんのお陰でようやく兄から解放された。

その時私は食堂にいた生徒達に注目されているなんて気がつかなかったのだった。

雪兎さんが柚君に耳打ちしたのは………


「俺の大事なものを奪うなら、俺はお前の全てを奪うよ。」


の予定です。

笑顔で言われたら怖いよ。



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