勧誘。
放課後。
秋ちゃんに一緒に来てほしいと頼んだが、ほかの子にスイーツバイキングに誘われて呆気なくおいてけぼりをくらった。
しぶしぶ生徒会室にむかう事になった訳だが………
はっきり言ってお金持ち組のメンバーに目を付けられたかも知れない。
返り支度をしていたら明らかに私の方を見てヒソヒソ話をしていた。
兄が放送したりするからだ。
雪兎さんは………別にいいけど。
ヒソヒソ話なんて気にしない。
だってまだなにもされてないし。
気にしろってオーラ出されてもあえて気づかないふりだ。
とりあえず、私はこの学校のお金持ち組の情報はほとんど頭に入っている。
うちの親に教えられた事に、情報は全てを支配する武器になる!ってのがある。
実際情報は役に立つ。
小さいときから記憶力のトレーニングさせられていたのだから、これだけは自信がある。
お金持ちなんて怖くない。
むしろこれから会わないといけない兄の方が恐い。
生徒会室につきドアをノックするとドアが開いた。
雪兎さんが開けてくれたようだ。
「ひよ!会いたかったぞ!」
兄です。
私は別にって言ったら泣くかもしれません。
「で?なんのよう?」
とりあえずとぼけてみます。
兄は眉間にシワをよせます。
「朝礼の時にひよと仲良さそうにしてた男は誰だ?」
「柚樹君だよ。昔遊んだ事があったよね?麗ちゃんの従弟の柚樹君。」
兄は少し考えてから言った。
「おい、そいつっていつもひよの事泣かしてた奴じゃないか!」
ちっ!覚えていたか。
「今は、泣かされたりしないよ。仲良しだよ。」
「な~か~よ~し~!」
「だー!友達だよ。柚樹君好きな人居るし!勘違い!私はたいちゃんの事が大好きだよ。せれじゃ嫌なの?」
私は兄の腕にしがみつき上目遣いで誤魔化そうとした。
兄は困った顔をしてから私の頭をポンポンして、ようやく笑ってくれた。
「日和、生徒会に入らないかい?」
突然の言葉に声のした方を見ると、雪兎さんが眩しい笑顔を私に向けていた。
「遠慮します。」
思わず速答してしまった。
良い笑顔すぎる。
雪兎さんの事は大好きだけど兄の側には居たくない。
「太陽は日和が側に居ないと心配で仕方ないんだよ。せっかく同じ学校に居るんだから側に居てやってくれないか?」
雪兎さんは兄に甘い!
そう言ってやりたい。
言えないけど………
「日和が居てくれたら俺も助かるんだ。駄目か?」
雪兎さんの役にたてる………
「私なんかが役に立つの?」
「うん。俺も日和が居たら嬉しいから。」
雪兎さんの笑顔にキュンとしてしまう。
兄に睨まれている気がするけど気にしない。
雪兎さんの役にたてるなら、やっても良いかも?
私が頷こうとしたその時背後から兄に抱き締められた。
「ひよ。俺と一緒に生徒会やろ!」
せっかくの雪兎さんとの時間を邪魔しないでほしい。
「………ちょっと考えて良いですか?」
私は雪兎さんに苦笑いを浮かべて聞いた。
「勿論。良い返事を期待してるよ。」
雪兎さんは優しい笑顔をくれた。
「それじゃ、帰っていい?」
兄にそう聞くと睨まれた。
何故か私は兄と雪兎さんに送られて家に帰ったのだった。