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写真

料理中に旦那様から指令を受けた娘が「ビールちょう~だい!」

っておねだりポーズをしています。

旦那様が萌え萌えしてるので無視して良いですか?

その日私は麗ちゃんとお昼を一緒に食べる約束をしていた。

食堂につくとそこに居たのは未来先輩だった。


「未来先輩一人ですか?」

「ああ、まだ一人だ。」

「………未来先輩は柚樹君の事、好きですよね。」

「うん。好きだよ。」


未来先輩は携帯をいじりながら躊躇うことなく言った。


「………柚樹君の秘蔵写真いります?」


未来先輩はゆっくりと携帯から私に視線をうつした。


「それを受け取ったら最後な気がする。」

「秘密にしときますけど?」

「ちなみにどんなやつ?」


未来先輩が多少なりとも気にしている。

これって、柚樹君頑張ればいけるかも知れない!

私は未来先輩に押し付けるつもりで用意していた写真を見せた。


「スーツで会議中三点セットです。」


未来先輩はチラッと私を見るとその写真を制服の内ポケットにしまった。


「日和は私にこれを渡して何をたくらんでる?」

「ぶっちゃけ、柚樹君と上手くいってくれたら良いな~って思ってるだけなんです。柚樹君には色々お世話になっているので手助けできたらなって思って!」


私はもう一枚写真を取り出すと未来先輩の方に伏せて渡した。


「これは?」

「柚樹君のスーツ&眼鏡写真です。」


私は未来先輩の後ろから柚樹君が近づいて来るのが解ったうえでその写真を未来先輩に渡した。

未来先輩がその写真に手をのばすより先に柚樹君がその写真を手に取った。

突然背後から伸びた手に未来先輩の顔が驚きに変わった。

そして、その手の持ち主が柚樹君だと解ってフリーズしてしまいました。


「………僕の写真が欲しいならあげるけど、これは無いでしょ!」

「未来先輩が柚樹君を見て笑顔になってほしいと思って!」


柚樹君は不満そうに口を尖らせて未来先輩にその写真を見せた。

その写真には柚樹君のスーツ&鼻付き眼鏡姿が写っていた。


「未来ちゃん!こんな写真じゃなくて僕の格好いい写真の方が良いよね!」


未来先輩はその写真を見るとプッっと吹き出し、クスクスと笑い始めた。

その笑顔は私が見ても可愛くて、私はすかさずその顔を写メにおさめた。


「ひよちゃんその写メ送って!」

「了解!」


未来先輩がめちゃくちゃ嫌そうな顔に変わる。


「未来先輩にその写真あげますから、好きなときに見て笑って良いですよ!」

「いや、未来ちゃんはこんな写真じゃないほうが良いよね!」


柚樹君が未来先輩に詰め寄ると未来先輩は柚樹君から写真を奪い取り可愛い笑顔を作った。


「これが良い。」


私はその顔を写メにおさめた。


「日和!いい加減にしろよ!」

「未来先輩が可愛い顔をするから衝動的に映像に残さないとって思ってしまう自分が居るわけです!勿論柚樹君に横流しするためですけど………」

「今すぐ消せ!」

「未来先輩にはその写真あげますから!」

「ありがとう。これ以外もあるならくれ!」


未来先輩の言葉に柚樹君が慌てて私に言った。


「ひよちゃんなら僕のまともな写真もあるはずでしょ!そっちあげてよ!」

「レアな秘蔵写真でしょ!」

「未来ちゃんが僕に惚れちゃうような写真があるでしょ!」

「未来先輩に笑顔になってもらわないと顔だけの男だって思われちゃうよ!良いの?」


柚樹君はそこで押し黙って未来先輩を見た。


「未来ちゃんはこんな写真でも見てくれる?」

「笑えるからな。」

「………未来ちゃんが良いなら良いや。僕にちょっとでも興味を持ってくれるならそれで………」


柚樹君は項垂れながら呟いていた。

未来先輩はそんな柚樹君をみつめて柔らかな笑顔になっていた。

私はその顔も写メにおさめた。

未来先輩はちゃんと柚樹君を好きになっているって解って私は嬉しかった。

柚樹君にも未来先輩にも幸せになってほしい。




麗ちゃんが来た時には柚樹君も復活してノートパソコンを開いていた。

未来先輩は相変わらず携帯をいじっている。

麗ちゃんは皆の分のお弁当も作ってきているらしかった。


「今日秋ちゃんは?」

「彼氏といちゃラブ弁当タイムを過ごしてる予定です。」

「彼氏といちゃラブ羨ましい!」

「麗ちゃんだって変わんないと思うけど?」


麗ちゃんは婚約者のみかちゃんと一緒に食堂に来た。

今もみかちゃんの横にピッタリくっついて麗ちゃんお手製弁当を食べている。

私の指摘に麗ちゃんは真っ赤になった。


「日和は雪さんとイチャイチャすればいいだろ?」


みかちゃんの言葉に私は少し俯いた。


「みかちゃんを黙らせるためには、何からばらせば良いかな?」

「ごめん。軽率な発言だった。」


とりあえずみかちゃんを黙らせたその時、

雪兎さんが食堂に入って来たのが見えた。

私はそのまま椅子を引いて今お弁当を食べていたテーブルクロスのかかったテーブルの下に滑り込んだ。

流れるような動きだったと私は一人で感動してしまった。


「みか!日和見なかったか?」

「さっきまで居ましたけど………喧嘩ですか?珍しい。」

「………違う。っと思う。」


雪兎さんの寂しそうな声に罪悪感がつのる。


「日和に会ったら連絡するように言ってくれ。」

「解りました。」


雪兎さんが食堂から出ていくのを確認するとテーブルに居た全員にテーブルクロスを持ち上げられた。


「日和ちゃん、雪君を避けるなんてどうしたの?私には話せないこと?」


麗ちゃんに心配そうに聞かれて仕方なく私は口を開いた。


「雪兎さんの回りに女が居るのです。」


私の言葉に柚樹君と麗ちゃんとみかちゃんが驚いた顔をした。


「とても可愛い人で、優しげで………私なんかよりお似合いだと思ってしまったのです。気持ちで負けてしまったのです。だから、雪兎さんの視界から外れてフェードアウトしようって思ってます。」


思った以上に声が寂しそうになってしまった。

麗ちゃんを見ると怖いほど綺麗な笑顔で私を見ている。


「日和ちゃんは私にとっては妹みたいな存在だわ。だから協力します。柚君!雪さんの所へ行って聞いてきて。日和ちゃんをこんな気持ちにさせた理由を!勿論日和ちゃんの気持ちはふせてね!」

「………僕の言葉で言って良い?」

「柚君の言葉でなくちゃね。」


麗ちゃんの言葉に柚樹君はゆっくり立ち上がって私に何かたくらんでいるように笑った。


「ひよちゃんを悲しませるなんて許さないから安心して。」


いやいや、その言葉!不安になります!


「柚!俺と麗もかなりキレてるってのをふまえて話せよ!」

「勿論!皆が居るから兎狩り!」


柚樹君はそう言って歩いていってしまった。

麗ちゃんはなんだか満足そうだった。


柚樹君と未来ちゃんも上手くいくと良いな!

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