見合い相手
雪兎さんのお見合い相手は川嶋百合子と言う人。
母親の正子は今、雪兎さんに娘とのお見合い志願している。
正子の言い分では、百合子が雪兎さんに一目惚れしてしまいお見合いしてほしいと言うものだった。
私が調べた百合子と言う女は………
栗色で背中までの髪の毛をゆるく巻いていて濃茶色の目はパッチリ二重で身長は156㎝。
可愛い見た目に頭もよく運動は苦手、料理上手で家柄は雪兎さんの遠い親戚って事もあって、そこそこのご令嬢だ。
調べてみて思った。
見た目可愛い。
雪兎さんの横で笑っていたらきっと見劣りしない………
私は醜い女だ。
雪兎さんの横にいて見劣りしない女を見つけたと言うのに悪いところを探して駄目な女だと思いたい。
雪兎さんの横は私の居場所だったはずだなんて心のなかでもう一人の私が叫んでいるのだ。
醜い女だ。
自分に嫌気がさす。
そんなある日、百合子が現れた!
エルモニアに転校してきたと聞いた時は息がつまる気がした。
可愛い見た目に優しい性格。
「雪様!お会いしたかったんですよ」
目の前で雪兎さんの右手をつかんで上目使いに見上げる姿は本当に可愛くて私は言葉を失った。
あんな可愛い生き物好きにならない訳がない。
私は絶望的な気持ちでそんな二人を見つめた。
「どちら様か知らないが、手をはなしてくれ。」
「はい雪様!私は川嶋百合子と申します!お見合いしてくださらないので私から来てしまいました!」
雪兎さんのひきつった顔に少しだけほっとしてしまった。
「雪様私は雪様に一目惚れしてしまったのです!私の心は雪様の物です!」
「俺はそんなもの頼んでいないので、クーリングオフしてください。」
「返却はききませんわ!」
「押し売りは犯罪だ。」
雪兎さんは迷惑そうだ。
私は雪兎さんの横に立った。
「川嶋さん、雪兎さんが困ってます。雪兎さんのためを思うなら節度のある距離を保った方が良いと思うけど?」
「貴女、宮浦日和さんよね!」
「もう、宮浦じゃないよ。」
「………宮浦じゃないの?そっか!じゃあ私頑張ります!」
百合子はニコッと可愛らしく笑った。
あまりの可愛さに怯んでしまった。
前向きだが、ちょっとほっとけない感じが可愛いと思わされた。
自分の可愛いげのなさを知っているから彼女の笑顔に怖くなった。
「私、ストーカー気質かも………兄があれだし………血のせいなのかな?」
「ヒヨリン?どうしたの?」
私の呟きに秋ちゃんが心配そうな顔をしていた。
私は苦笑いを浮かべて言った。
「実際に好きな人のまわりを調査して口実作って会いに行って。」
「まわりを調査してることがストーカーって事?」
「私が一番彼に相応しいのに!って思ったら最後だよね。」
「………ちょっと怖いね。」
秋ちゃんにドン引きされた。
それも仕方ないと思う。
「好きな人がストーカーじゃないって言ってくれたらストーカーじゃないんじゃない?」
「ゆって引かれたら死ねる。」
「あ~そうかも!」
どうしよう!私確実にストーカーだ!
「好きな人と距離をおこうと思います。」
「………大丈夫?」
「解んない。だって数年会わなくても好きだったし………ヤバイ!かなりストーカーだ!」
私は自分で自分が怖くなった!
「好きな人の事を考えないように、好きな事を探すのはどう?」
「好きな事?」
「ためしにコスプレでもする?」
「突然レベル高すぎじゃない?」
「ばれたか!ヒヨリンに着てもらいたいコスがあるんだよ!」
「………………やってみようかな?」
私が前向きな反応をしたからなのか秋ちゃんは嬉しそうに笑った。
私も秋ちゃんが私の事を考えてくれた事が嬉しくて笑った。
秋ちゃんが私の親友になってくれて良かったって本気で思った。
喉がいかれていて声がおっさんみたいです!
会社の人達に誰が喋ったのかと思った!って言われました!
同感です!




