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長くお休みをいただきました。


放課後。

兄と雪兎さんが送ってくれると迎えに来た。

二人の側にいれることが嬉しかった。



話は変わって令嬢の力量チェックは終了をむかえたわけだが、かなり大きな代償が残った。

兄のくれた財布、雪兎さんのくれたネックレス。

一番問題なのが父のくれた鞄である。

兄のくれた財布は市販品でまた同じものを買ってくれる事になった。

雪兎さんにもらったネックレスは雪兎さんが直してくれるらしい。

本当に申し訳なかったけど、笑顔で直させてほしいって言ってくれて嬉しかった。

………いや、それは良いや!

問題は父のくれた鞄なんだよ!

某有名ブランドに特注で作らせたスペシャルバッグだと知った時は死んだと思った。

勿論、西園寺が!

私が泣きそうなりながらどうしたら良いか悩んでいると、雪兎さんに抱き締められた。


「泣きそうな顔してた。」


仕方ないと思う。

父のせいで一生幸せになれない人間を作り上げてしまいそうなのだ。

私は雪兎さんに大丈夫だと言ってはなれてもらった。


「父のくれた鞄………どうしよう………」


兄は困った様な顔をしてから言った。


「西園寺だっけ?死んでもらうしかなくない?」

「駄目だよ!あの子は使えるもん。」

「………ひよ、使えるとかで人を見ちゃいけません。」


兄にそう言われて少し反省する。

兄の前では言葉を選ばなければ!

その横で雪兎さんがどこかに電話をはじめた。


「もしもし、雪兎です。今、時間良いですか?………はい。太陽の親父さんが日和にあげた鞄のレプリカが欲しいんです。………ストーカー的な意味ではなく………ちょっとした手違いで鞄が損傷してしまいまして日和が親父さんを悲しませたくないみたいで………お願いします。」


誰に電話したのか?

私と兄が同時に首をかしげると雪兎さんはニコッとわらってOKサインを作って見せ、電話を切った。


「誰にかけたんだ?」

「北森さん。」

「北森?」

「太陽のとこの親父さんは慎重な人だから2つ作って良い方をプレゼントしてる可能性がある!それがあるなら用意出来ると思ってさ!北森さんなら日和のために何でもしてくれるからな、3日以内に用意してくれるらしい。」


それに気がついた雪兎さんもだけど、3日以内に用意すると言い切る北森さんも凄い。


「日和は心配しなくて良い。」


もう婚約者じゃないのに、雪兎さんは優しい。

婚約者じゃないのにこんなに良くしてもらえる価値が私にあるのだろうか?

私はなんだか申し訳ない気持ちになった。

気にするななんて無理です。

こんなことになったのは私のせいなんだから。

私の視線が下を向いてしまったのは仕方がないと思う。

兄と雪兎さんは同時に私の頭に手をのせた。


「ひよは、悪くないだろ?そんな顔するな!」

「帰りに何が食べて行くか?気晴らしに良いだろ?」


兄と雪兎さんは私を慰めようと頑張ってくれていた。

気持ちを切り替えなければ。

大好きな二人に心配ばかりかけるなんてアホか?

私は二人に笑顔を向けた。


「ありがとう。」


私のお礼に二人は戸惑った顔をした。

失礼である!


「ひよ!可愛い!写メとるからもう一回さっきの顔して!」


兄はそのまま私を抱き締めた。


「うざ!」


私がもがくと兄は不満そうだった。

雪兎さんに助けを求めようと見ると視線をはずされた。

ショックだ!


「雪だってさっきの笑顔の写メ欲しいだろ?」


兄よ!止めてくれ!気持ちが大怪我する。

雪兎さんは兄を見ると言った。


「そうだな。」


社交辞令!

雪兎さんに気をつかわせないで!

私が気持ち的に打ちのめされた所で雪兎さんのスマホが着信を知らせた。


「はい、雪兎です。…………なにか?」


雪兎さんの冷たい声が電話の相手が嫌いな人物だと知らせている。


「………お断りします。失礼します。」


通話を終えた雪兎さんはスマホの電源を落とすと小さく舌打ちをした。


「雪、大丈夫か?」

「問題ない。」

「スマホの電源落とすほどなのに?」

「ウザいから切っただけだ。」

「ウザいって………見合いすすめてくるって言ってたオバサン?」

「………黙ってろ!」

「イライラしてんね。」


兄の言葉は衝撃的だった。

私が令嬢達の力量チェックなんてしているうちに別の場所からそんな話が来ているなんて!

さすが雪兎さん!

イケメン眼鏡で腹黒だけど頭の回転が早くて実は運動神経も良いスペックの高い人間をまわりがほっとく訳がないって事だ。




………見合い相手はどんな人だろう…………




雪兎さんを幸せにしてくれる人なのだろうか?

私は雪兎さんを見つめて思った。

見合い相手の事を調べようと。


あ~また違う方に日和ちゃんが頑張ろうとしています。


雪兎さん気付いて!


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