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秋ちゃん

寝てしまった。

桔梗ちゃんが来た日の、次の日私は秋ちゃんに捕まった。


「ヒヨリン!生徒会と付き合ってるって本当?」

「気のせいじゃない?」

「気のせいってなに?学校中その話でもちきりだよ。」


秋ちゃん………知ってるよ。

学校ついた瞬間から後ろ指指されていますから。

兄め!面倒臭い事を………空気よめよ!


「副会長だけじゃなくて会長とも幼馴染みって言ってたもんね。」

「幼馴染みみたいなものだよ。たいちゃんには私に話しかけるな!って言っといたんだけど………空気よめよ!って言いたい。」


私の言葉に秋ちゃんはニヤリと笑った。


「たいちゃんね~。」


に、ニヤニヤされた!


「本当に本当に付き合ってないからね。」

「はいはい、そう言う事にしとくよ。」


秋ちゃん信じて~!

回りに人が居なければ説明したい。

しないけど。


「もう、良いよ。秋ちゃんの馬鹿!」

「馬鹿じゃないもん!ヒヨリンの秘密主義者!」


私達はそのまま笑いあった。


「ひよには、良い友達がいるな。」


声がした方を見ると兄がいた。

教室の中が一気に煩くなった。


「なにしに来たの?」

「え?酷くない?」

「噂になってるの知ってるでしょ!空気よんで。」

「むしろ付き合ってることにするか?虫除けに。」

「うざ!」


私が嫌そうに言うと兄はショックをうけたようだった。


「日和がきびしい!」

「太陽!日和に迷惑かけるなよ!」

「雪!日和がきびしい!」


そこに雪兎さんがあらわれた。

今日も格好いい。


「悪いな日和。太陽は連れていくから。」

「いつもすみません、雪兎さん。」

「ひよ!俺と雪への態度が違いすぎないか?」

「「日ごろのおこない。」」


雪兎さんとハモってしまった。

嬉しい。


「何だよ!息ピッタリムカつく!」

「そりゃそうだろ。」


そりゃそうなのか?

雪兎さんはニコニコしている。

兄はなんだか不満そうだ。

私はまだふわふわした気分だ。


「ひよ、今日一緒に帰ろう。」

「なんで?」

「なんでは酷くない?」

「いや、たいちゃんと帰る意味が解らない。」


兄は少し口を尖らせて私の耳元に口をよせて私にだけ聞こえる声で言った。


「俺と一緒に帰るならもれなく雪もついてくる。」


物凄い魅力的な言葉に少し赤面してしまった。


「ムカつく!」

「たいちゃんが言ったんじゃん!」

「そこまで露骨な態度とられるとさすがに凹む。」

「ご、ごめんね!」


私が謝ると兄はニコっと笑顔を作った。


「じゃあ一緒に帰ろう。………家に寄ってく?親父が喜ぶ。」

「家に居るの?」

「今日珍しく休み。今頃死んだように寝てる。」


どうやら兄はお父さんと私を会わせるために呼びに来たようだ。


「じゃあ、寄ろうかな?お母さん夜勤続きで帰って来れないし帰り送ってくれるよね?」

「勿論。当たり前だろ?夕飯はひよが作ってくれ!」


なんでだよ!面倒臭いよ。

お手伝いさんが居るだろ!


「ひよが御飯作ってくれたら親父喜ぶから。」

「…………良いけど………雪兎さんの分も作りますか?」


私が雪兎さんの方を見ると雪兎さんは驚いた顔をした。

え?これって雪兎さんは兄と一緒に帰る気が無いんじゃ?

兄のせいで恥をかいた。

私は兄を睨んだ。

兄は私が視線を向けた事が嬉しいようで、ニコニコしている。

見たんじゃなくて睨んだんだい!


「日和が大変じゃないなら、おねがいしようかな?」


雪兎さんに気を付かわせてしまった。

兄のせいだ!


「ひよ、俺悪くないから!ってか雪の好きなもんだけ作ったら俺と親父泣くからな。」

「………たいちゃんだけ泣かす!」

「雪~!ひよが苛めるよ~!」

「たまには良いんじゃないか?」

「!ひよ、雪が苛めるよ~!」


何故か兄に抱き締められた。


「ぎゃーっ」

「ぎゃーは可愛くない!」


私は兄の腕の中からしゃがんで逃げ出すと言った。


「無闇に触るな!」

「ひよが反抗期だ。」

「雪兎さんたいちゃんが子供扱いする!」


雪兎さんの方に視線をやると、雪兎さんは右手で口を押さえて笑いをこらえているようだった。


「わ、笑われた!」

「雪が酷い!」


兄と私は同じようにショックをうけて見せた。


「いや、あまりにも懐かしくて。悪い。」


そう言われてみれば、兄とこんなやり取りを長く続けたのは久しぶりだった。

雪兎さんはまだ笑いがおさまらないのか肩をゆらしている。


「雪笑いすぎだぞ!」

「雪兎さんツボに入っちゃったみたいだね。雪兎さん見て冷静になるなんて斬新なんだけど。」

「あ、解る!」


兄と意気投合していると雪兎さんは笑うのを止めて笑顔をつくった。


「なんだ、もうやめるのか?お前ら二人は言い合ってるのが一番笑えるのに。」


私と兄は雪兎さんから一歩離れた。


「ひよ、ドSが居るよ。」

「雪兎さんはドSが似合うけど、ねぇ~。」

「俺を本気で怒らせたいならやるけど?」

「「ご、ごめんなさい!」」


私と兄は更に雪兎さんから離れ、雪兎さんは爽やかな笑顔を作った。


「雪怒んないで!俺も日和も雪のこと、一番愛してるから!」

「お前の愛はいらん!マジで!」

「ドS!」


兄と雪兎さんのやり取りを見たあと秋ちゃんの方を見ると秋ちゃんはポカーンとした顔で二人を見ていた。

どう説明するか?

私が悩み始めると雪兎さんがそれに気がついた。


「秋ちゃんも呼んでやったら?」


ゆ、雪兎さん!何故秋ちゃんを秋ちゃんと呼ぶのですか?

瞬時にそれを思ってしまったのは仕方がないと思う。

私は気をとり直して秋ちゃんを見た。


「秋ちゃんも一緒にいこう?用事とかある?」


私の言葉に秋ちゃんは我にかえった。


「いいの?」

「秋ちゃんが来てくれたら嬉しい。」


私が笑うと秋ちゃんも笑ってくれた。


「じゃあ、放課後迎えに来るから!」

「教室にいろよ。」


兄と雪兎さんはそう言ってさって行った。

クラス中の人に見られたが気にしない。

放課後までには噂が回るだろう。

そうしたら、お金持ち組はどう出るのだろう?

楽しみ!

………私、性格悪いかも………

そんなことを思いながら私は自分の席についた。


仲良しですね。



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