お土産
週末皆様と温泉旅行に行きました。
麗様は帝様に可愛いを連呼され赤面。
未来先輩は隙あらば触ってこようとする柚樹君にイライラMAX。
匠さんは相手がいない同士で私に優しくしてくれたが、麗様と未来先輩がギブアップのため私は強制的に女子専用のお風呂に連れていかれたのでほぼ女子会と化した。
帰りの車の中で男子の文句が半端なかった。
私達女子は寝たふりをしてそれを聞き流し、後で2度と行かない事を固く誓った。
月曜日。
生徒会の集まりにお土産を持っていった。
「定番の温泉まんじゅうです。」
「「………」」
兄と雪兎さんは複雑そうな顔をしてフリーズしてしまった。
なんなんだろう?
「ひよ、温泉に行ってきたのか?」
「うん。」
「日和、誰と行ったんだ?」
「麗様と帝様と未来先輩と柚樹君と匠さんで行ってきました。」
「「それトリプルデートじゃないか?」」
二人が珍しくハモって言った。
私は少し考えて言った。
「いや、ほぼ女子会だったよ。」
「「ほぼ?」」
「水着着用可の所だったから最初は皆でって感じだったんだけど、帝様と柚樹君が麗様と未来先輩に猛プッシュしたもんだから逃げる事になりほぼ女性専用のお風呂に居たので女子会でした。」
兄と雪兎さんはまたフリーズした。
大丈夫だろうか?
「ひよ、お前は柚樹とつるむの禁止!」
「同感。日和、君は男に対して危機感が無さすぎる。」
兄と雪兎さんは怖い顔だ。
「でも、帝様は麗様しか見てないし柚樹君も未来先輩しか興味ないし匠さんは私みたいなガキには興味ないよ。」
兄と雪兎さんは深いため息を付いた。
「ひよ、お前は自分が可愛いってわかってない。」
兄よ!それは兄フィルターのせいでしょ?
家族の欲目なんて信じないよ!
私は雪兎さんの方を見た。
「日和、俺も太陽も日和が心配なのは解るよな。出来れば事後報告じゃなくて事前にメールでも電話でもしてほしい。何かあってからじゃ遅いだろ。」
雪兎さんの言葉は私を本当に心配するものだった。
雪兎さんがこんなに困った顔をしているのは私のせいだ。
「ごめんなさい。次からはメールします。」
「解ってくれれば良いよ。」
雪兎さんは優しく笑うと私の頭を撫でた。
雪兎さんの手の温もりが嬉しかった。
「ひよは雪の言うことは良く聞くよな。」
兄が不貞腐れたように自分の椅子の上で体育座りをしてみせます。
私は兄にも心配をかけてしまった事が申し訳なくなった。
そこで、兄の元に行くと兄を抱き締めた。
「ごめんね!たいちゃんこれからは連絡するね!だから拗ねないで。」
私の言葉に兄は私の腰に手を回すと、ぎゅっとしがみついた。
そのまま兄の頭を撫でると兄の腕の力が強まった気がした。
「本当にごめんなさい。たいちゃん。許してくれる?」
私は兄の頭をなで続けながら聞いた。
「もう少しぎゅっとしてくれたら許す。」
「了解です。」
私と兄は暫く抱き締めあった。
「そろそろ良いんじゃないか?」
雪兎さんにそう言われてはなれたけど、兄はもう少し抱き締めあって居たかったみたいだ。
「雪が邪魔する………」
そんな兄を横目に雪兎さんは腕を広げて私を見た。
「俺も!ハグしたい。」
「………?な、ななななな何て言いましたか?」
「俺もハグしたい。」
聞き間違えではなかったようだ。
私は雪兎さんから一歩後ずさった。
「こら!雪ひよをハグして良いのは血の繋がった兄の特権だ!」
「………日和。おいで。」
「こら!雪!」
さすがに雪兎さんにハグされたら赤面だけではすまないかも知れない。
あうー。
雪兎さんに私がまだ好きだなんてばれたくない。
「ゆ、雪兎さんごめんなさい。無理です。」
「何故?」
うー。
雪兎さんが好きだからです!なんて言えるか~!
私は兄にしがみついた。
「ゆ、雪兎さんダメです。」
「ひよ!可愛い!」
兄に滅茶苦茶抱き締めれたが、雪兎さんにされるよりは大分ましだと思う。
雪兎さんは無表情で私達を見ていた。
「日和と太陽は仲良すぎだろ。」
「羨ましかろう!ひよは俺の事が大好きだから!な!」
兄の無駄なプレッシャーを感じ仕方なく頷いた。
「ひよ可愛い!マジ好き!」
兄にギュウギュウ抱き締められてしまった。
面倒臭いが、今は一番安全な場所だと思う。
「ひよは雪より俺の方が好きだよな。」
私は暫くフリーズしてから呟いた。
「………それは即答出来ないけど………」
「日和。」
雪兎さんは私に優しい笑顔を向けた。
だから、笑顔の破壊力が半端ないです。
私は雪兎さんの笑顔から逃げるように兄の胸に顔を埋めた。
「可愛い可愛い可愛い可愛い。」
「たいちゃん苦しい。」
兄に力一杯抱き締められ流石にもがいた。
苦しい。
私は兄から離れるために腕に力を入れたがびくともしない。
それを雪兎さんが手を貸してくれて逃げ出すと逆に雪兎さんに抱き締められてしまった。
うぎゃー!
雪兎さんが近い!
半端なく近いよ~!
私はかなり赤面してしまった。
雪兎さんに離してほしくて雪兎さんを見上げると爽やかな笑顔を向けられ諦めた。
顔を見るなんて脳みそが沸騰しそうだ。
私は雪兎さんから視線をそらした。
兄よ。たすけて。
恥ずかしくて死ねる。
「雪、ひよがフラフラしてるから離してやれ!」
「?日和大丈夫か?」
兄の言葉に雪兎さんが私の顔をのぞきこんだ。
さっきよりも近くなる顔に私はどうすることもできず頭がぐるぐるして倒れた。
兄いわく、私の顔が尋常ではない赤さになっていたらしい。
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